桃源郷を目指して ※ボツ   作:ツヅラP

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6話:『パイのススメ』著者:八原九十九

 ……B……D……おおッ!!? この娘はA!! いいもん持ってんなー。

 

 

 現在、俺はバイト先である山吹ベーカリーにて仕事の傍ら、特技のおっぱいスカウターでお客様の乳ランク付けをしていた。

 

 山吹ベーカリーはPoppin'Partyのドラム担当、山吹沙綾の親が営んでおり、ご婦人方や女子高生に人気のパン屋さんである。

 

 

 そして、今の時間帯は部活終わりの女子高生が多く、店にとっても俺にとってもゴールデンタイムであった。

 店内は飢えた女子高生で混雑しているため、普通ならてんてこ舞いになる。そう、普通なら。

 

 

 ________だがしかし!! おっぱいに囲まれた俺には関係のない話だ。

 

 俺は目にも留まらぬ早さで、お客様を捌いていき、それと同時にお胸様を拝見する。

 

 

 フハハハハハ!! 天はおっぱいの上におっぱいを造らず、おっぱいの下におっぱいを造らずぅぅぅぅぅぅぅ!!!!! 

 

 

 

 ────

 ──ー

 ー

 

 

 

「ありがとうございましたー」

 

 

 最後のお客様がお帰りになり、店内は落ち着きを取り戻す。

 俺は先程まで感じていなかった疲れがどっと押し寄せて来て、椅子に座り込む。

 そして、疲れを吐き出すかのように大きく息を吐く。

 

 

 

「フウー……」

 

 

 ゴールデンタイムが終わると終業時間まで残り僅かになるので、今からすべきことは空になったラタン、バスケット、トレーなどの片付けだ。

 俺はそう考えていると、後ろから声を掛けられる。

 

 

「九十九君、お疲れ様」

 

 

 声の主はそう言って、お茶を差し出してくる。

 俺はお茶を受け取り、お礼を言う。

 

 

「千紘さん、ありがとうございます」

 

 

 そう言うと、声の主──山吹千紘さんは微笑んで返してくる。

 

 千紘さんは沙綾を含む三児の母であるが体型は崩れておらず、長女の沙綾はもう高校生だというのに、その美貌は二十代でも通じるほど若々しい。

 だが、醸し出す雰囲気は人妻の色気そのものというある意味恐ろしい人で、俺の夢を知る数少ない人の一人でもある。

 

 俺は受けったお茶を飲んでいると、千紘さんがある提案をしてくる。

 

 

「もしよかったら、今日うちで夕食を食べていかない?」

 

 

 そう言われ少しの間考えるが、今日は母さんの帰りが遅いことを思い出し、せっかくのお誘いであるので、ご相伴にあずかることにした。

 

 

「フフッ、純と紗南も喜ぶわ」

 

 

 純と紗南は、沙綾の弟と妹だ。

 昔から遊びに付き合っていたので、よく懐いている。

 

 その後、少しだけ世間話をした後、千紘さんは夕食の支度のためにキッチンに戻り、俺も空いたものを片付けようと立ち上がるが──

 

 

「こんばんはー!!」

 

 

 ________ビクッ! 

 

 突如、背後の扉の方から響く大声に怯んで、また座ってしまう。

 声から誰かは判っているが、取り敢えず確認するために振り向くと──

 

 

「おい香澄ッ! いきなり大声出すんじゃねーよ!」

 

「えっと、有咲ちゃんも、その、大きいよ?」

 

「アハハ、ただいま〜……」

 

「あ、うさぎの形だ。可愛いー」

 

 

 おっと、香澄と沙綾だけかと思ったらPoppin'Partyのメンバーが勢揃いしていた。

 俺は予想が外れたことを悔やまず、むしろ心の中で歓喜しながら、それぞれに挨拶をする。

 

 

「こんばんは香澄。何か買ってくか?」

 

「うん! 待ってて、すぐ決めてくる!」

 

 

 戸山香澄

 花咲川女子学園の一年生で、Poppin'Partyのリーダーであり、ギター兼ボーカルだ。

 見ての通り、陽気で騒がしいが、彼女のその前向きな性格は長所と呼ぶに相応しいものである。

 そして、彼女のアイデンティティである猫耳のような髪型は、友希那を虜にする程の魅力が詰まっている。現に俺も、あの髪型になってからは猫耳にメロメロである。……C。

 

 

「いらっしゃいりみ。ごめんな、チョココロネはもう売り切れてるんだ」

 

「ううん、大丈夫だよ。また朝に買いに来るから」

 

 

 牛込りみ

 りみも花咲川女子学園の一年生、というか、Poppin'Partyのメンバー全員が同じ学校の一年生である。

 因みにりみはベース担当だ。

 内気で少し臆病なところがあるが、それらは小動物的な可愛さを引き上げる要素でしかない。そして、りみは妹属性持ちである。

 お兄ちゃんはりみにprp──コホン、メロメロさ! 

 ……F

 

 

「おかえり沙綾。今日一緒に夕飯食うことになったから、よろしくな」

 

「ほんと!? やった♪」

 

 

 山吹沙綾

 Poppin'Partyのドラム担当だ。

 沙綾は、よく家の手伝いや弟と妹の面倒を見ている孝行娘で、その面倒見の良さから、俺はPoppin'Partyの母と呼んでいる。ママァ〜……。

 だが、年相応の可愛らしいところもあり、ママと少女の二面性を持つ逸材である。……C-

 

 

「おっす。たえ、オッちゃんたち元気か?」

 

「うん元気。今度様子見に来てね。あとこれ下さい」

 

 

 花園たえ

 ギター担当だ。

 頭の中には不思議の国が広がっており、かなりの天然である。

 たえと付き合いの短い人は『何だこいつ』と思うかもしれないが、長年の付き合いである俺は彼女の独特なペースに愛着すら感じられる。

 ついでに、たえは兎を二十羽飼っている。 ……E

 

 

「どちら様ですか?」

 

 

「何で私で落とすんだよッ! いい加減にしろ!!」

 

 

 市ヶ谷有咲

 ツッコミ兼キーボード担当だ。

 元引き篭もりであるために、ぼっち思考が強い。

 有咲はロリ巨乳に金髪ツインテ、ツンデレとかなりの強属性が複数備わっており、特定の層にバカ受けしそうである。

 俺も出会った時からその魅力に魅了されている。

 ……Sッ!! 素晴らしい。乳神様は有咲のことがお気に入りのようだ。

 

 そして、俺は有咲の胸を、磨き上げたテクでバレない程度にチラ見していると、たえから突き刺さるような視線を感じる。

 

 どうせしょうも無いことに違いないが、滅茶苦茶気になるので、たえに理由を聞く。

 

 

「たえ。如何かしたか?」

 

 

 すると、たえは予想だにしなかった爆弾を放つ。

 

 

 

「さっきから九十九が有咲の胸を見てたから気になって」

 

 

 エッ

 

 

「エッ」

 

 

 俺の心の声と有咲の声がハモった。

 凄い偶然だね♪ 僕ら仲良しこよ──って違うッ!!! 

 突如放たれた爆弾により、場は完全に凍ってしまった。

 放った本人は『訳がわからないよ』といった感じで疑問符を浮かべている。

 

 

 たえは何時もそうだ。

 よくわからないタイミングで鋭くなる。

 チッ、勘のいい美少女は大好きだぁぁ!! ちきしょぉぉぉ!!!! 

 

 だが、いくら嘆いたところで時間は巻き戻せない。

 香澄と沙綾は大丈夫そうだが、他の反応は著しいくない。

 有咲は真っ赤な顔で両腕で体を庇うようにクロスしながら睨んでくる。……カワイイ。

 

 

 そして、りみ。

 正直りみが一番やばい。

 ハイライトが消えた目を向けながら、ゆらゆらと此方に近づいて来る。

 

 ヒィィィィィィィィ!!! 

 

 

「ねえ九十九君。有咲ちゃんの胸を見てたって……ほんとぉ?」

 

 

 幽鬼と化したりみを見て思い出した。

 板に近い胸の彼女は、俺がこの手の話題をすると人が変わることを。

 それだけ愛されてると思えば嬉しいが、今の状況は全く嬉しくない。

 

 

 俺は現状を打破するべく行動する。

 今のりみ、というか、周りに焦りや動揺を見せたら即ゲームオーバーだ。

 dead or alive この極限状態で俺は最善を選ぶ。

 

 

 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け──……。

 

 内面は荒れているが、それを一切表に出さず、能面のような表情でりみに告げる。

 

 

「なーに言ってんだ。俺は有咲のツインテールを見てたんだよ。兎の耳みたいだなと思って」

 

 

 かなり苦しい言い訳をするが、それを感じさせないように堂々と言い切った。

 そうすれば──

 

 

「あー! ほんとだ、有咲兎みたい!」

 

「有咲、触っていい?」

 

「ちょっ、触んな! それに似てねーから!!」

 

 

 何とかなったみたいだ。

 りみも渋々だが納得したみたいで、いつもの調子に戻り、有咲たちの方へ向かっていく。

 そして、今まで傍観していていた沙綾が近づいて来て、耳元で囁く。

 

 

「危なかったね。任せて、フォローしとくから」

 

 

 そう言って、彼女も皆んなの方へ歩いて行く。

 

 ママァ〜……。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 その後、沙綾以外の皆んなは帰って行き、俺は山吹家で夕食を頂いていた。

 

 

「ハハハ、何時も悪いね、九十九君のおかげで助かってるよ」

 

 

 この人は沙綾の父親の山吹亘史さんだ。

 優しく思いやりのある人である。

 

 

「そんな、俺はバイト何ですからこき使って下さい」

 

「ねーねー! つく兄! 今度また遊ぼー!」

 

「私も私も!」

 

 

 純と紗南はそう言って、俺を遊びに誘ってくる。

 俺にとって彼らは大事な友達である。

 確か、今週末は店が休みだったはずだ。

 

 

「おう、いいよ。週末に公園でキャッチボールでもするか」

 

 

「「やったー!」」

 

「沙綾もどうだ?」

 

 

 Poppin'Partyも休みだってことは知っている。

 香澄たちと出掛けるかもしれないが、一応駄目元で誘ってみた。

 しかし、そんな心配は杞憂だったようで、沙綾は嬉しそうな顔で頷いた。

 

 

「うん。ちょうど予定もないし、ついて行くね。お弁当も作ってくよ」

 

「「「わーい!」」」

 

「フフッ、この子たちったら♪」

 

「いいじゃないか。楽しんでおいで」

 

「「「はーい!」」」

 

 

 そして、夕食は終始明るい雰囲気で進み、俺は幸福感に包まれたまま、沙綾に見送りされる。

 

 

「んじゃ、帰るよ。見送りありがとな」

 

「ううん、気にしないで。それと週末、楽しみにしとくから♪」

 

 

 この時の沙綾の笑顔は、見守られてるような、けれども一緒に遊ぶことを心待ちにしてるような、そんな言葉にしにくい笑顔だった。

 だが、ただ一つ言えることがあるとすれば、その笑顔はとっても魅力的であったということである。

 

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