何時からだろう?私が比企谷君のことを好きになったのは。気がついた時にはいつも、隣に比企谷君が居た。何処に行くにも、何処で遊ぶにも比企谷君が一緒に居て、私もそれを許容していた。彼と一緒にいる時間がとても好きだった。
何時からだろう…比企谷君の恋人になる事を諦めようと思うようになったのは…
それは、雪乃ちゃんの視点でものを考えてみるようになってからだ。つい、興味本位で雪乃ちゃんがどのように感じとり、どのような事を思って日々を過ごしているのかと考えてしまったのは。
その時に気がついてしまった
雪乃ちゃんがいつも見ている先には
私の大好きな彼…比企谷君が居ることに
それに気がついてしまった私は…あれだけ待ち望んでいた…比企谷君からの告白を断った
その日の晩は初めて枕を濡らした
今まで、泣くという事すらあまり経験していなかった私が号泣した
後悔した、運命を呪った
だけれど、1番辛いのは比企谷君の筈だ
そう思ってしまった私には…
もう泣く事すら許されなかった
自分より辛い思いをしているのに
それを耐えてる彼が居る
他人は他人と考えればそれで終わりなのだが、私にとって比企谷君は家族そのものであった…
それだけ近かったからこそ 2人して傷ついた
それが、全ての始まりだ
雪乃「姉さん…姉さん!」
朝、目を覚ますと
目の前に雪乃ちゃんが目の前にたち
私の体を揺すっていた
陽乃「…雪…乃ちゃん?」
雪乃「凄い魘されていたけれど、大丈夫なの?」
体を起こし、ベッドに座ると
雪乃ちゃんが心配そうな顔でこちらを見ていた
どうして私が雪乃ちゃんの家に居るかって?
雪乃ちゃんは高校に入ってから一人暮らしを始めたんだけど…母さんが毎週金曜日は私が泊まりに行くように命じられているからだ…
そして今日は土曜日…
普通の大学生ならバイトやら、遊びに行ったりしているのだろうが…私はそうではない
基本家で過ごすか…たまに出かけたり、家の用事で動いたりと…くだくだ過ごしている
陽乃「ごめん、少し嫌な夢見ちゃって」
こうして、たまに今のような夢を見ることがある…まるで私にこの気持ちを忘れさせないように
雪乃「………比企谷君の夢?」
陽乃「え?」
突然比企谷君という単語が出てきて
私は固まってしまった
雪乃「姉さん…魘されてる時に ごめんね…比企谷君って言ってたから」
雪乃「姉さん、数ヶ月前 比企谷君と何があったの?」
雪乃ちゃんが真剣な表情でこちらを見つめながら昔あったことを尋ねてきた。
……雪乃ちゃんに言えるわけないじゃない。雪乃ちゃんの為に身を引こうとしただなんて
そんな事を言ったら雪乃ちゃんはきっと、思い詰めてしまう。私が比企谷君の事を好きになったから…と
陽乃「雪乃ちゃん、私にも……比企谷君にも人に言えない秘密事くらいあるんだよ」
そう言い私は部屋を出た
誰かに言えないではない、雪乃ちゃんに言えない事
雪乃ちゃんを傷付けたくないから
比企谷君によって、やっと自我をもった雪乃ちゃんを変えさせたくないから
何よりも雪乃ちゃんに幸せになって欲しいから
私の気持ち…彼に気付いて欲しいのに
気が付かれたくない…
彼の事が誰よりも好き…
この気持ちはきっと抱いてはいけなかったのだろう。けれど私は抱いてしまった。
私がこういうことを感じられるようになったのも…君のおかげだね…たくさんの感情を貰い…そして楽しい時間を貰った…君は認めないだろうけど、私たち姉妹は君に救われてるんだよ
だから、もう一度…助けに来て……比企谷君