彼は決して私達を拒む事は無い。我儘や、自分でやるべき事どは自分でしろと言うが、お出掛けや旅行…私達が急に泊まりに来ても、準備から何から何までしてくれる。それは彼の優しさからなのだろうか?
たまに心配になる事がある。私たちの存在が彼に迷惑をかけているのでは無いか?無理をさせているのではないか?そういう風に思ってしまう時がある。
陽乃「比企谷君〜アイス持ってきて〜」
比企谷君のベッドの上で足をパタパタさせながら本を読んでいるのは私の姉で、今の私にとって1番のライバル的な存在である
八幡「はいはい、雪乃もいるか?」
雪乃「え、えぇお願いするわ」
かく言う私もすぐ彼を頼ってしまうわけで、姉さんの事を咎めることも何も出来ないのであった。
比企谷君が居なくなり、静寂の訪れたこの空間。別に一緒の部屋に居るのは姉なわけで気まづい訳ではないのだが…何故か姉さんの事を意識してしまう。だが、姉さんは変わらず足をパタパタさせながら本のページを捲っていた。
だが、比企谷君の足音が聞こえなくなった時、姉さんはパタリと本を閉じ、ムクリと起き上がりヘッドから足だけを降ろし、こちらを向いて座った
雪乃「どうかしたのかしら?」
陽乃「この前…比企谷君とデートしてたよね?」
この前というのは、サブレを比企谷君の家で預り…私が怯えていた日の事である。でも…姉さんにはその時の話はしていないし、知り合いにあったのも川崎さんだけ…
雪乃「えぇ、したわよ二人きりで昼前から夕方までららぽに」
陽乃「ずっるーい!!私も行きたかった〜!なんでこういう仕事は全部私に回ってくるのよ!」
姉さんはかなり忙しい人間だ。時には雪ノ下家の長女として、時には優秀な大学生としての仮面を付け 色々と面倒事をこなしている
雪乃「仕方ないじゃない…私には社交性とかそういうのは無いのだから」
陽乃「なら…今度の花火大会の挨拶回り雪乃ちゃんがやってくれる?本当に挨拶して回るだけだから 社交性とかそういうのは必要ないし」
花火大会…出来ることなら比企谷君を誘って行きたかったのだけれど…姉さんもそりゃ行きたいわよね……
陽乃「あ、ごめんごめん無理して変わらなくてもいいのよ?そりゃ私だってたまには比企谷君と行きたいけど…元々私の仕事だから」
毎年毎年って訳ではないけれど…姉さんが高校に上がってから2年連続姉さんが挨拶回りに行っていた。一昨年も去年も私と比企谷君の二人で行き、花火が始まる頃に合流する。これがいつもの流れであった
雪乃「べ、別に無理では無いのだけれど……」
正直言って私は渋っていた。もしこの一日が原因で比企谷君が姉さんのものになってしまったら…とつい考えてしまう。
八幡「あっつ……アイス持ってきたぞ」
タイミング悪く比企谷君が帰ってきてしまった。実際エアコンを付けているのはこの部屋だけで カマクラもこの部屋のベッドの上で丸くなって寝ている
陽乃「ありがと〜」
雪乃「ありがと」
とりあえず話は中断し私達はアイスを食べる事にした