比企谷君が私のお兄ちゃん?   作:ゼロ少佐

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3話

むんむんとした暑さが蔓延る今日

私は珍しく外に出ていた

 

前々から気になっていた小説家の人の新作が出たので、内心興奮しながら本屋に向かっていた。

どんな内容なのだろうか

どのように、読者を惹き付けるのか

まだ本を買ってすらないのにドキドキが止まらない

 

そんな興奮の中私は駅前の本屋にやってきた

ここは別に家から近い訳でも無いのだが、レパートリーから、新刊の発売など、とてもいい店なのだ

 

新刊コーナーで気になっていた小説を手に取り、レジに持っていき、そして購入した。

 

早く家に帰って読もう

そう張り切っていたのだが

 

外に見えたとある二人組みの姿を見据えてしまい、私はそちらに気が傾いてしまった

 

 

 

「ごめーん、お待たせ 待った?」

 

そこには、オシャレをしいつもより少し嬉しそうな顔をしながら男の子の方へ向かっていく姉の姿があった

 

「待ちましたよ…こんな暑い中 何十分も」

 

相手の男性は面倒くさそうな声を出しながらも いつもとは違う姉の姿に 見惚れていた

 

そう、その男性は 私の兄みたいな存在で、初恋の相手……比企谷八幡がそこに居た

 

陽乃「ごめんってばー それに、八幡に可愛い姿見て欲しくて頑張っちゃったんだから〜」

 

そう言いながら姉さんは比企谷君の腕に抱きついた

 

え?八幡?前まで比企谷君って呼んでたわよね?

 

八幡「そ、そうだったんですね/// 可愛いですよ陽乃さん」

 

照れたような顔をしながら 姉さんの事を褒める比企谷君……

 

そこから2人はブラブラとウィンドウショッピングをし、喫茶店に入り 会話を楽しみ…そして

 

 

 

陽乃「んーっ!八幡今日はありがとね」

 

公園のベンチに座り、体を伸ばし

姉さんはいつもの調子で比企谷君にお礼を言っていた

 

八幡「こちらこそ…まぁ、楽しかったですよ 本当は暑くて外に出たくなかったですけど…」

 

彼は顔を少し赤くしながら

捻デレていた

 

そんなふたりが見つめ合い…そして

 

陽乃「八幡……」

 

八幡「陽乃……」

 

夕日に彩られた公園のベンチに座る美少女と平凡な男子

 

そのふたつの影が1つに重なろうとしていた

 

 

 

「ダメっ!!!!!」

 

私がその2人の間に割ってはいろうとすると

激しい光に襲われ目の前が真っ白になった

 

雪乃「はぁ、はぁ… あれここは?」

 

目を開けると知っている天井と彼の姿があった

 

八幡「おぉ、起きたか…魘されてたけど 嫌な夢でも見たのか?」

 

え?比企谷君?どうして…さっきまで姉さんと……もしかしてさっきのは夢?

 

ここは比企谷君の部屋のベッドで…そして姉さんは居ない……完全に夢オチね。

 

でも本当に夢でよかった…

 

雪乃「ごめんなさい、あまり寝れてなくて」

 

八幡「一応陽乃さんに連絡したぞ 後で迎えに来てくれるらしいから 特にないと思うが準備だけはしとけよ」

 

姉さん……

 

さっきの夢の事を思い出し頭がズキッとした

比企谷君と姉さんは仲がいいし

姉さんも多分……比企谷君の事が好きなんだと思う

 

そういう素振りは見せたことが無いのだけれど、比企谷君以外で姉さんとここまで長く一緒に居られた人は居ないだろう。姉さんも比企谷君には気を許してるみたいだし…比企谷君の方は分からないわね…

 

中学時代 いろんな人から裏切られ

そして、少しずつ壊れていった

 

優しくされるだけで勘違いをし

酷い時にはクラス中で噂されたりと

辛い目にあっていたのだから

 

 

 

あの時は姉さんも私もどうして私達には好意を寄せてくれないのか本当に分からなかった

 

 

 

だけど今ならわかる

私達のことは家族同然のように扱ってくれていたからだ。比企谷君にはもう信頼できるのは家族しかいなかった。その比企谷君にとっての家族の輪の中に私たちが入り込んでいた…逆に言うと家族としてしか扱われていなかった。

 

 

皮肉な話ね家族同然に扱われるほど距離が近くなっているのに…私達のことを異性としてちゃんと認識してくれてないだなんて…

 

 

 

暫くするとチャイムがなった

多分姉さんが迎えに来たのだろうか

 

比企谷君が玄関の方に早足で向かっていき、

ドアを開けるとそこには

 

陽乃「ひゃっはろー!久しぶり!」ダキッ

 

八幡「うぉっ!陽乃さん!」

 

姉さんが比企谷君の胸に飛びつき

抱きついていた

 

比較的早くに2人は離れリビングに上がってきた

 

八幡「すごい荷物っすね、今までどこかに行ってたんですか?」

 

陽乃「あーこれね、これはーー」

 

もしかして…

 

陽乃「私と雪乃ちゃんの着替えでしたー!」

 

やっぱり、あの大きな荷物の時点で

怪しいとは思ったのだけれど

やっぱりそうだったのね…

 

雪乃「別に私は泊まるだなんて一言も言ってないのだけれど」

 

陽乃「んー?なら帰る?帰るなら帰ってもいいよ〜その変わり比企谷君は貰うけどね♪」

 

雪乃「……」

 

そう言って彼の腕に巻き付くかの如く

抱きついていった

 

八幡「は、陽乃さん当たってます…」

 

比企谷君が腕に力を入れ引き剥がそうとするが両腕を使って抱きついているので、腕が離れることは無かった

 

陽乃「比企谷君、当ててるのよ」

 

雪乃「姉さん!離れなさい!」

 

その姿を見て…私は声を荒げてしまった

 

陽乃「ビクッ…ど、どうしたの?」

 

八幡「おい、何怒ってるんだよ こんなのいつものことだろ?」

 

雪乃「…っ」ダッ

 

そのまま私はリビングを飛び出し、そのまま比企谷君の部屋に引きこもった

 

一体私は何がしたいのだろうか…何であんな事をしてしまったのか…

 

そんな疑念が私を襲ってくる

私は布団の中に包まり

そして私は夢の中に逃げ込んだ


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