いろは「雪ノ下さん…だよね?」
数日後私はあの一色さんに呼び出されていた。話したいことがあるから放課後に屋上に来てと言われて。
雪乃「えぇ、はじめまして一色先輩」
屋上に着いた瞬間からなにかピリピリとした空気が流れているような気がした。生唾を飲み込み私は警戒心を抱きながら挨拶をした。
いろは「そんなかしこまらなくてもいいですよ、たった1年早く生まれてきただけですし」
雪乃「そう、分かったわ。それでどうして私を呼び出したのかしら?」
無駄に長々と時間を使い、相手のペースに引きずり込まれる前に私は先手を打った。これなら、こちらのペースに持っていきやすいし質問をしやすい。
いろは「率直に聞きますが雪ノ下さんと比企谷君ってどんな関係なんですか?」
前に見たキャピっとしていた雰囲気とは違い、少し重苦しい感じがした。これが彼女の素の部分なのだろうか。姉さん程ではないにしてもここまで皮を被ってるなんてある意味凄いわね。
雪乃「そうね、恋人と言ったら貴方はどうするのかしら?」
質問を質問で返すていう愚行。だけどこれはこれで挑発として使える。昔同級生に問い詰められた時に正論で問い詰め返したら泣いて帰って行かせることに成功した程に強力なのだ。
いろは「それならそれでもいいと思います」
雪乃「え?」
私は彼女の意外な返答に困惑してしまった。だって彼女のあの行動は比企谷君を異性として好いているものにしか見えなかったから。
いろは「私、実は違うクラスの女子から虐められていたんですが比企谷君が助けてくれたんです」
いろは「顔で勝てないからって精神的に追い詰めるとか…本当にクズみたいな女だなって私を虐めてた子達に言ってくれたんです」
彼らしいわね。私も何度も助けられてきた。それは姉さんもおなじ。彼にはたくさんのものを与えてもらった。
いろは「そんな優しい彼だから、報われて欲しいと思ったんです。少しでも楽しく過ごして欲しい、私を助けてくれた恩返しをしたいって。だから私は彼が幸せならそれでいいんです。」
雪乃「貴方は、それでいいの?」
いろは「え?」
雪乃「自分の気持ちを押し殺してまで無理して辛くないのかしら」
いろは「……」
雪乃「私は貴方のことを知らないし分からないけれど、私だったら嫌、自分の好きな人が違う女子と一緒に居るだけで胸が張り裂けるような痛みを感じる程に辛いもの」
いろは「ぽっと出の私が雪ノ下さんや由比ヶ浜さんに適うわけないじゃないですか!それも雪ノ下さんに関しては雪乃ってフランクな感じに呼んでもらえるほど近しい存在なのに 私の入れる余地なんて何処にあるんですか」
私とあんまり変わらないのね…
雪乃「私だって最初は入る余地なんて無かったわ…比企谷君は姉さんの事が好きで 傍から見たら両思いにしか思えないほどに仲がよかったんだもの」
いろは「両思い?」
雪乃「えぇ、その頃の比企谷君は姉さんの事しか見えてなかったわ」
いろは「それからどうなったんですか?」
雪乃「姉さんが私に気を使って比企谷君の事振ったの。そこからね比企谷君が一人に固執するようになったのは。でも何とか持ち直したけれど」
いろは「それなら、どうして比企谷君はいつも1人なんですか?」
雪乃「1人?」
いろは「どこか寂しげな表情で外を見たりしてますよ、たまにですが、戸塚君や由比ヶ浜さんが話しかけたりしてるけど、昼休みも普段1人で何処かに行っていますし」
雪乃「あんまり気にする事はないわ、比企谷君自分の時間を邪魔されるの嫌いだから」
いろは「そうなんですか?」
雪乃「えぇ、面倒な人でしょ。我儘で自己中で捻くれて、それでも根はすごく優しくて」
八幡「悪かったな自己中で捻くれてて」
何故か帰したはずの比企谷君が出てきた。
いろは「ひ、比企谷君!?」
雪乃「いつから聞いていたのかしら?」
八幡「雪ノ下さんだよね?の所から」
という事は全部ね…
雪乃「はぁ…盗み聞きなんて呆れるわ、罰として今日はあなたの家に泊まらせなさい」
八幡「一色 すまんな色々気を使わせて 俺のことは気にしなくていい、俺はやりたいようにやってるだけだから」
長くなりそうだから キリ悪いけどここで切ります
次話で続き描きます!