比企谷君が私のお兄ちゃん?   作:ゼロ少佐

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9話

私は今…恋をしている

彼を見ているだけで胸の奥から暑くなってくるのが分かるほどに。今の私は彼と一緒に居るだけでとても幸せを感じられ…そして同時に罪悪感が私を押し潰そうとしてくる。

 

 

 

私の誕生日の日の夜…パーティが終わり私達が帰ろうとした時、彼は私にこっそり誕生日プレゼントを渡してくれた。

 

その時渡されたものは、小さな箱で、少しオシャレな感じがしていた

 

そのプレゼントを家に帰ってから開き、中身を確認した。彼から貰えるプレゼント…それを考えただけで小躍り出来そうな程嬉しいのに、わざわざ私の為に選んでくれたものとなると、もう私は嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

 

もちろん みんなの前では平静を装っていたけれど、少し綻んで居たかもしれない

それ程にその日は私にとって嬉しい日であったのだ

 

小さな箱を開け、中身を見ると

そこにはネックレスが入っていた

 

ジャラジャラしているようなものではなく、清楚な感じが出ている私好みのものであった

 

ネックレスを手に取り、付けてみた

 

陽乃「比企谷君に見てもらいたかったな…」

 

鏡の前に立ち似合う自分の姿を見ると

不意にそんな事を思ってしまった

 

ネックレスを外し、箱の中になおそうとすると、箱の側面に小さな手紙を見つけた

 

その2つ折りで挟まれていた紙を広げると1本の花とメッセージがあった

 

「これが俺の気持ちです」

 

メッセージにはそう書かれてあり、一緒に包まれていた花はスターチスであった。

 

 

 

陽乃「………ずるいよ、こんなの諦めれなくなってしまうよ…」

 

 

スターチスの花言葉

 

 

変わらぬ心、永久不変

 

 

 

 

 

 

陽乃「比企谷君………ごめんね」

 

私の声は誰にも届くことも無く

虚空に消えていった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ごめんなさい、比企谷君の事弟としか見れないの…」

 

私は1度彼を振った…

私は自分の心を偽り、彼を拒絶した

自分の為ではなく妹の為に…

彼を傷つけることで雪乃ちゃんに意識を向けさせようとした。それ自体は成功したのだが

 

彼は雪乃ちゃんの事を妹としてしか扱わなくなってしまった

 

きっと彼は雪乃ちゃんの事を好きにならないようにするため、彼は雪乃ちゃんに対して妹という壁を作った

 

「そう…ですか……俺にとって陽乃さんは、勘違いでもなく、紛いも無い本物でした…」

 

そういい彼はその場を去って行った

それからというもの、私から彼に近づいて行くこと、彼が私に近づいて来る事は極端に減った…いや減らしたのであった

 

それが私に出来る償いだと思っていた

彼を傷つけた私が 今更どの面下げて会えばいいのか分からなかった。

けれど、結果的にそれは…私にとっても比企谷君にも辛いモノとなってしまった

 

それから私は逃げるように高校を卒業し

GWまでたったの1度も比企谷君と連絡を取ることが無かった

 

だからGWの時に久々に比企谷君に会えた時は物凄く嬉しかった。何よりも彼が昔と同じように接してくれることが嬉しくて仕方なかった

 

あの件のことも気にしない様子で

以前と変わりないやり取りは私の心を救ってくれた

 

だけど、私は比企谷君に対して半分ほど嘘の混じった作り話をしてしまった。

 

当然、即興で思いついたものだから、中身はグダグダで、人の心を動かすものでは無いのだけれど…

何故か私には響いてしまい、そして、比企谷君にも響いてしまった。

 

あの話をもし本心にするのなら、2人に嫉妬ではなく…雪乃ちゃんに嫉妬し…そして円の中ではなく、本当は私が隣に居たいと思っていた…になってしまう…それ程に私は比企谷君の事が好きなのだ

 

でも彼はその話を聞いて、私が居なくなってからの数ヶ月間…辛い思いをしていたという事が違う意味で伝わった。

 

陽乃「我ながら酷い話ね……妹の為に好きな子を振ったのに、彼はまだ私の事を好きだと言ってくれるなんて……」

 

陽乃「でも、私が選ばれたら雪乃ちゃんは……」

 

姉として…私は妹の幸せを奪いたくない

だから焚きつけるような事もしたし

嫌われるような事もした

 

全ては雪乃ちゃんの幸せの為に…

 

でも、もし私が居なくなれば……2人は………

 

 


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