翌日から本格的な練習が始まった。俺は一年でありながら昨日の試合で目をつけられたのかレギュラー陣と共に練習することが多かった。
陵南の練習はキツいと聞いていたが、俺としてはそうでもなかった。練習後一人でシュート練習をする余裕があるほどだ。
だが、いくらなんでも始めて初日目にこんなことがあっていいのか?
???「………あ………か……ず…ま……さん……?」
声がしたので振り向いてみると…
八神「………と…も…か………?」
中学の時付き合っていた湊智花がそこに立っていた。
八神、智花「「…………………」」
お互い何を話したらいいのか分からない。別に嫌いで別れたんじゃない。俺が中2の時アメリカに留学し、暫くは連絡を取っていたのだが、馴れない生活や自分と同等以上にバスケが上手い人達に出会ってしまい、3ヶ月も経ってもレギュラーになれない現状に監督からポイントガードに転向するよう進められ、馴れないポジションの為練習後も一人で毎日練習しバスケ漬けの毎日を送っていた。そのお陰で更に3ヶ月後俺はレギュラー獲得。その後も誰にも追い付き追い抜かれたくなかった為練習後の練習も欠かさずやっていた。
だが、その性か、俺は智花との連絡を途絶えた。日本に帰ってきてからも最初はチームメイトのレベルの低さにつまらなく思っていたが、偶々公園で出会った仙道さんに出会い、仙道さんと一緒にプレイするために今日までバスケ漬けの毎日を送った。
最早俺の頭の中にはバスケのことが一杯で智花のことを忘れかけていた。先日竹中に会うまでは…
その智花が今目の前に立っている。最後に会ったのはまだ体が小さく幼さが残ったような感じだったが、今は背は若干大きくなったか、以前とは違い女子特有の出るとこ出てる体つきになり顔も若干大人っぽくなり以前より魅力的な女になっていた。
智花「…あ……あ…の……?」
八神「……久しぶりだな、智花。」
智花「!?……うん!」
八神「竹中から聞いたときは驚いた。まさか智花も陵南に来ていたなんてな。」
智花「私だけじゃなく真帆たちもだよ。」
八神「そうだったな。…ところで」
智花「ん?」
俺は持っているボールを智花に渡した。
八神「やるか?久々に。」
智花「!?うん。」
それから俺と智花は久々に1ON1をやることになった。
俺と智花の1ON1。3本先取したほうが勝ちだ。これは俺達がいつもやっているルール。言葉で交わさなくてもお互いに分かっていることだ。最初のオフェンスは智花。
智花「………………」ダムダム
八神「………………」
智花が右に抜きに来たのでそれを防ぎに動いた直後智花は
【クルッ】と反転ロールターンでかわしに来たがこれは智花の得意なドリブルだったためすぐに対処したがその後さらにロールターンやって逆をつかれた。
八神「!?」
そして智花はそのままレイアップをうった。
『バン』
智花「えっ!?」
抜いたと思っていたが八神すぐに反転シュートブロックに跳んでいた。
八神「フーッ、危ない危ない。さて、次は俺からだ。」
智花からボールを貰いドリブルをついた。そして俺は素早い動きで右側を抜いた。
智花「速い!?」
ズバッと抜いた俺はそのままレイアップを決めた。
八神「あまいな、智花。」
智花「うっ…でも次は決める!」
そう言い次は智花のオフェンス。今度は智花は右から左へのクロスオーバー、ストップからのジャンプシュート。しかしこれも八神に反応され止められた。
智花「くっ!」
八神「おっし。んじゃ俺の番な。」
次の八神のオフェンスは、緩急をつけながら左右に小刻みに動きレッグスルーで左にいきストップ&ジャンプシュート。智花は全く反応できずに決められた。
八神「おいおいどうした?智花らしくねぇじゃん。今日は調子悪いのか?」
智花「そうじゃないよ。…和真君が上手くなったんだよ。…でも私はあきられない。」
八神「…フッ、そうこなくっちゃな。」
智花は性格は内気だがバスケのことになると人一倍負けず嫌いになる。俺もそういうところがあるからわりと気に入っている。
智花のオフェンスだが迷いがあるのかドリブルをついてなかなか攻めてこない。だが、ディフェンスのほうから動くわけにもいかないので待っていたが10秒経っても攻めてこない。集中力が切れそうになった瞬間右へのドライブなんの小細工もなし、その分今までよりもスピードあった。行きなりのことで反応が遅れてしまったが後ろからボールだけをはじきなんとか止めた。
八神「ヤバいヤバい。危うく抜かれるところだったよ。」
智花「ん〰️〰️〰️〰️〰️!抜いたと思ったのに〰️〰️〰️。」
八神「さて、次で最後だ。最後は本気でいくぜ。」
そう言い八神はドリブルを始めた。今までと違い高速のドリブルで前後左右に動き生粋。ストリートボーラーのような動きを始めた。基本に忠実な智花に取って真逆のプレイ。当然智花にはまったくついてこれず、そのまま智花を抜きにかからず右に動きクイックからのジャンプシュートが決まり、3対0で八神が勝った。
智花「は〰️〰️………全く歯が立たなかった…。」
八神「昔とは違うさ。思春期の男と女では体力や筋力に差がある。身長差もあるしな。アメリカにいたときは最新の科学トレーニングを積んで栄養管理も徹底されていたからな、ポジションもフォワードからガードに変えられたから色々覚えなきゃいけないことができて日本にいた頃以上に練習を欠かさなかったからな。」
智花「…だから音信不通になったんだ…」
八神「…智花には悪いと思っている。でも、あの時の俺はバスケにだけに取り組まない付いていけかったんだ…」
智花「…私は…邪魔物なの…?」
八神「そうじゃない!俺だって智花のことは大事だ!それは今も変わらない。でも海外留学は1年しかない以上それに全力で挑みたかったんだ。」
智花「………私のこと……今も…大事なの……////////」
八神「!?/////////」
智花の言葉に俺は真っ赤になった。勢いで言ってしまったが今俺は智花に告白紛いなことを言ってしまったのではないだろうか。…だがこれで一つハッキリわかったことがある。俺はまだ智花が好きなんだ。そうじゃなかったら智花が邪魔者と言ってすぐに否定する言動はしなかっただろう。
八神「//////ああそうだよ。俺はまだ俺はお前に惚れてんだよ!だからって俺から連絡途絶えたんだ!どの面下げて会いに行けってんだよ!」
かなり恥ずかしかったせいで逆ギレという最低の告白をしてしまった。俺は後悔した。
八神「(終わった…何逆ギレしてんだ俺。どう考えても悪いのは俺じゃないか。もっと上手い言い方だってあるだろ。それなのに俺はいつも智花といると平常でいられない。)」
そんなことを考えていると…
智花「//////和真君。……私も……和真君が……好…き…です」
智花が俺にそんなことを言ってきた。
智花「私…ここに和真君が入学するって真帆から聞いて…どうしても会いたくて…それで私もここに来たの…」
智花は俯きながら、目から小粒の涙を流し、俺にそう言ってきた。
八神「(…ああ、俺はまた智花を泣かせちゃったな…いつも心配されては泣かせ、いつも恥ずかしさのあまり思ってもいないことを言っては泣かせ、俺はつくづく駄目な彼氏だな…)……智花。」
智花は俯いていた顔をあげた瞬間俺は智花の唇を俺のそれで塞いだ。
八神、智花「「………んっ………っ………」」
いつまでしていただろう。俺はこのままの状態が凄く気持ちよくて離れられなかった。智花も俺の背中に手を回して俺を求めてくれた。俺達が離れたのはそれから7分後の事だった。
八神、智花「「……………………」」
お互い何を話したらいいのか分からない。離れたと言ってもキスを止めただけで体は離れなかった。凄く居心地がよく安心するからだ。
八神「…………智花。」
智花「…………はい。」
八神「……俺はやっぱり智花が好きだ。これからも俺は智花を泣かせることがあるかもしれない。でもその涙を俺は嫌な涙じゃなく嬉し涙にして見せる。だから俺と付き合ってくれ。俺から離れないで側にいてほしい。」
智花「……離れていったのは和真君の方だと思うんだけど…でもこれからは私が和真君から離れない。離さない。だから私を彼女してください。」
智花は泣きじゃくりながら俺に言った。
それから俺たちはそのまま、さっきよりも深くお互いを求め口づけをした。
離れたのは10分後。それから練習は終わり恋人繋ぎをしながら家へ帰っていった。