魔族と人間が共存する世界に何をなせるか?(仮タイトル) 作:ローファイト
シリアスは長続きしない。
それはもはや世の理w
人物設定が分かりにくいかもですね。
人物設定集でも作った方が良いかもしれませんね。
ピート登場です。
引っ越し早々、暁家で夕飯を馳走になり、自室に戻った横島とアリスは……
(とりあえず暁古城と接触できたのはいいが、これからどうしたものか。暁古城、第四真祖。確かに吸血鬼と同じ反応だな。体内をめぐる気も相当ある。眷属、いやこの世界では、眷獣か……何体か内包してるが……でっかいエンジンを積んでるが、本人に操縦技術がないために、全く使いこなせていないような感じだ。それよりもだ。妹の凪沙ちゃんだ。彼女も眷獣と同じ反応の物を一体内包してる。しかも厄介そうな奴だ。聞いてないぞ、まったく。あとは姫柊雪菜ちゃんか……あの子、霊能者だな。相当な使い手だろう。多分日本政府が派遣したとかいう暁古城の監視役か……まだ、中学生じゃないか、どこの世界も同じか……)
「アリス。さっきの三人の本は抜き取れた?」
「はい。なぎさお姉ちゃんの本は二冊ありました。でも、一冊は違うお名前です」
アリスはそう言って、手から四冊の本を顕現させた。
アリスは横島の血縁の実の妹ではない。
さらに年下ですらない。実年齢は横島よりはるかに年上だ。
アリスは宇宙創成期から存在する全世界図書館の管理者。宇宙のすべてを記録する使命を帯びている。そして、最古の神である創造神や冥界の王と同じく、宇宙が創造された時からその身は存在していたとされる。その存在は神、魔とも分類できず、現在も神や魔の最高指導者すらもその扱いに憂慮してる状態であった。アリスは基本的に宇宙や世界にとって無害な存在だ。ただ、その特殊な存在故に利用される可能性もあった。実際に魔神の一柱に、最近本人の意思とは無関係に利用されたのだ。
幸いな事に、その魔神とは因縁があった横島がその魔神を倒すことで解決をしたのだった。だが、それ以降アリスは横島を兄の様に慕うようになる。そんなアリスをこれ幸いと、神と魔の最高指導者は横島にそのまま押し付けたのだった。
アリスは全世界図書館の管理者の能力として、人に触れることで、その人の人生を自動で書き綴る本を一瞬にして作成(抜き取る)する事できるのだ。そしてそれを、自らが管理してる異空間に存在する全世界図書館に納めていく。こうして、宇宙すべての存在を記録していくのだ。普段は自らの分身体ともいえる眷属(分霊)が無数に存在し、それらがその役目を負い、全宇宙から記録を集めている。
「凪沙ちゃんから二冊?」
横島はアリスから古城と雪菜、凪沙の本を受け取り、その本をちらりと一通り目を通す。
人から取り出せる本は普通は一冊だ。
人の人生は高々100年程度。その人生は綴るのに一冊で十分なのだ。もし一冊の範疇に収まらない量の情報量があるのであれば、その後二冊、三冊と増えていくのだが、よっぽどの特殊な例だろう。
しかし、どう考えても凪沙は14歳の人間の女の子だ。二冊出てくるとは到底考えにくい状況だった。
「アリスも読みたい、です」
「はい、また後で見せてね。……なるほど、凪沙ちゃんの一冊は前の第四真祖アブローラの物か」
横島は再度凪沙から取り出した二冊の本をちらりと中身を見てから、アリスに四冊の本を返す。アリスは早速、ソファーに腰かけ床につかない足をぶらぶらとさせながら、受け取った本を気分よさげに読み始めた。
凪沙から取り出した本の二冊の内の一冊は、前第四真祖アブローラ・フロレスティーの物だった。
そう、凪沙にはアブローラの魂が混在してるのだ。そのため、凪沙から二冊の本が出現したのだった。
「相当厄介だな。あいつがこの世界が滅びかけてると言ったのも、強ち間違ってはないかもしれない」
横島は先ほど、ちらりと目を通した前第四真祖アブローラ・フロレスティーの記録をつづった本の内容を思い出し、独り言ちる。
横島が言う《あいつ》とは……
2週間前、北極海の海上。
雷鳴が鳴り響き、大気は震え、海がうねり、さながら惑星創世期の様相であった。
「ピーーーーーーーートォーーーーーー!!」
「横島ーーーーーーー忠夫ォォォーーーーーーーー!!」
海上上空では二つの人影が人の目では到底追い付かないようなスピードで、入れ替わり立ち替わり交差し、激しい戦闘を繰り返していた。
黒髪にバンダナをした青年は、右手に霊気を内包した小さな珠を数個浮かび上がらせ、左手に燦燦と輝く剣を振るう。
金髪の青年は、眷獣を十数体従え、手からは霊気を収束させたビームのような物を出しながら、ありとあらゆる攻撃を黒髪の青年に放っていた。
2時間程だろうか、そんな天変地異さながらの攻防を繰り広げた後。
二人は戦闘をやめ、海上に浮かぶ小さな岩礁に並んで腰を下ろしていた。
「横島さん相変わらずですね。元気そうでよかったです。神に咎人として囚われたと聞いていたので……僕も相当力を付けたんですが、まだ貴方に勝てる気がしません」
「ピート。久しぶりだな!……それと、すまなかった」
「事情はほぼ、知ってます」
「すまん。勝手にこんなことをした上に、記憶まで奪って……本当にすまん」
「僕の眷獣の一つが過去と未来を見据える事が出来るんです。ようやく最近、本来の力を最大限に発揮できるようになり、それで分かったんです。そして記憶と取り戻しました。今迄、永遠に近い命を持つ第一真祖である僕が、なぜ1200年間までの記憶しかないのか疑問に思っていました。この世界の前に別の世界で生活していた事を、本当の……その前の世界では800年生きていた事、本当の名はピエトロ・ド・ブラド―であった事……そして、あなたの事を……」
ピートはこの世界で第一真祖忘却の戦王(ロストウォーロード)キイ・ジェランバラーダ、世界最強の吸血鬼にして、夜の国、戦王領域の王として君臨していたのだ。
「すまん」
「謝らないでください。僕は事情を知ってると言いました。でも記憶を取り戻した時の僕は何故この世界に居るのかがわからなかった。第一真祖キイ・ジェランバラーダとしてここに存在したのかを……僕はその事を必死に探しました。そして、僕に従う72の眷獣の一つである主人の魔神が教えてくれました」
「その眷獣の主人というのは、ネビロスの手の者か?」
「……察しが良いですね。魔神が眷獣を通し僕に教えてくれました。そう、あなたが妖怪妖魔と人間の争いを止めるために最終手段として、世界分離を果たした事を……そして、あなたはその罪で天界の咎人となった事」
そう、横島たちが魔神アシュタロスを倒した数年後に、人間と妖怪妖魔の間で決定的な亀裂が入り、世界を巻き込む戦争が起こらんとしていたのだ。
横島はその戦争を阻止するために、人間と妖怪妖魔の間に入り、ピートや他の仲間の力を借り、和解折衝を行っていたのだが、ついには止めることができず、全面戦争に……
そこで、横島は最後の切り札を使ったのだ。
『世界分離』
横島は888個の文珠を操り、世界を二つに分ち、人間と妖怪妖魔の世界を次元ごと二つに分離しようとしたのだ。お互いがこれ以上傷つかないようにするために……
それは奇しくも、アシュタロスが目指した宇宙再創世とほぼ同じ。宇宙の理の禁忌であった。
そもそも、横島がなぜそのような神や魔神にもなせないような事が出来たのかは、また別の機会に。ただ、その頃の横島は斉天大聖老師の下で、斉天大聖老師に匹敵する力を手に入れていたとだけ言っておこう、
横島が成そうとした宇宙の禁忌である『世界分離』に、最高神が寸でに気が付き、横島の世界分離を阻止するために動く。
横島も最高神の動きに気が付き、世界分離を急がせた。
何とか分離に成功させたのだが、事を急いだ結果、分離した世界とは別に、偶発的にその中間のような世界が3つ出来上がってしまったのだ。
当初の目的通り、一つは元の世界、人間だけが住まう世界。分離した先の世界、妖怪妖魔や悪霊などが住まう世界。
そして偶発的にできた世界は3つ。
一つは霊的エネルギーが満ち溢れているが、生命が存在しない死の世界。
一つは特殊能力者や亜人たちが存在する世界。
そして、もう一つはこの世界、元の地球と似通った世界。人と人種に近い妖怪妖魔が同時に存在し共存する世界。
横島が行った世界分離は、元居た生命体も分離した世界に振り分け分するという荒業であった。
さらに横島は世界分離を敢行する前に、自分という存在をなかった事にするために、人類から自分の足跡、要するに記憶を消したのだ。特に親しい人間に対しては入念に。
「………」
「本来ならこの世界はなかった。完全に分離するところを最高神に止められたため、この丁度中間のような世界が偶然出来上がったと、僕ら妖怪妖魔の一部と人の一部がこの世界の始祖となったと……」
「すまん」
「横島さん、いつからそんなにネガティブになったんですか?僕はこうして生きてますし、こう見えてこの世界で僕は一番強いんですよ。しかも広大な戦王領域、大国の主です。僕の一言で世界を動かす事だって出来るんです。……それに一番苦しかったのは横島さんじゃないですか」
「いや……俺はみんなを裏切ったもいいところだ」
「裏切った?いや、僕たちに力が無かったからです。そして横島さんにすべてを押し付けてしまった。横島さんにはその力があったから。だから僕たちを救ってくれた」
「……カオスのじーさんも、マリアも同じような事を言ってくれたよ。俺はその言葉でだいぶ救われる。ありがとうピート」
「何を言ってるんですか、お礼を言うのは僕達のほうです。世界を分離し僕らを救った神のような存在の癖に……というよりも、ドクターカオスとマリアに会ったんですか?ネビロスの手の物の話によると、そっちの世界では100年後と聞いてましたが……いや、カオスとマリアだったら生きてますよね」
「ピート、聞いて驚くなよ。カオスのじーさん。こっちの世界では世界一の金持ちで成功者だ。ボケてないしな」
「えーーーー!?あのドクターカオスが?」
「そうだぞ。しかし、迷惑度が数段階上がってるけどな」
「ふふふふっ、なんだか楽しそうですね」
「いろいろあったけど、まあな」
「………横島さん。タマモさんはたぶん僕より先に記憶が戻ってます」
「タマモ!?タマモもこの世界に?しかも記憶が?なんでだ?」
「タマモさんはこの世界では第三真祖ジャーダ・ククルカンと名乗り、混沌界域の王ケイオスブライドとして君臨しております。おそらく彼女も眷獣の力で記憶を取り戻したものと」
「タマモが……」
「僕は記憶が戻り、ジャーダがタマモさんだと確信しておりました。今のタマモさんは当時とは違い、傾国の美女そのものです。姿は変わろうとも面影はあった。だから、思い切って聞いてみました。すると『二度とその話はするなと』怒りをあらわにし、横島さんをいつか殴り飛ばして八つ裂きにすると息巻いてました」
「……まじで怒ってるなタマモの奴。まあ、それは俺の罪だ。甘んじて受けるしかないな」
「だから、僕は横島さんをこの世界に呼ぶ事を話してません。彼女の介入があったら、僕のお願い事に支障がでますからね」
「俺を魔神と神を通して呼んだ要件ってなんだ?」
「この世界は壊れかけてる。神と魔が間接的に介入できるこの世界は、欲望を持った邪な人間や妖怪妖魔、ここでは魔族ですが、その力を利用し、お互いの種を滅しようとしている……しかもそれすらも口実なのかもしれない。この世界を我が物にしようと暗躍する何者かの存在が蠢いている。今迄、僕ら魔族側の三大長である第一真祖から第三真祖が何とか抑えてきました。しかし、僕らだけでは抑えが効かなくなってきたのです。そこで僕たちは、こうなる事を見込み、何百年もかけ、新たな真祖、第四真祖を生み出した。しかし、不完全なもので、今はある人間の少年がその業を背負う事に……僕の願いは、新たな第四真祖暁古城少年を、陰ながら支えてほしい。一年でいいんです。彼は人間から第四真祖となり、日が浅い。未だ眷獣すらまともに扱えない未熟な真祖だ。彼を亡き者にしようとする者、利用する者も現れるでしょう。彼をそんな輩から守り、彼が自分を守れるぐらい力を得られるよう。……できれば導いてほしい。一年あれば、世界を救ったあなたなら出来るはずだ」
「導くって言ったってな~、真祖って吸血鬼だろ?俺はこう見えても人間だぞ。お前やお前のお仲間の方がいいんじゃないか?」
「僕はバンパイアハーフですが、僕を本当の意味で鍛えてくれたのは、人間の唐巣神父です。……それに恥かしい事ですが、身内は信用できる者が少ないんです」
ピートは首を横に振る。
「陰ながらって、本人に知られない様にって事か?」
「それが本当は望ましいですが……まかせます」
「わかった……ピート。俺は皆に大きな借りがある。その願い引き受けた」
「ところで、話の途中で急に瞬間移動のように現れて、横島さんの膝の上で楽しそうに本を読みだしたこの子は?」
戦闘を終え、ピートと岩礁の上で話をしている横島の膝の上にアリスが突如として現れ、何もなかったように本を読み始めていたのだ。
「アリス。今は俺の妹だ」
「え?どういうことですか?横島さんに妹なんて……」
「……カクカクシカジカだ!(前記述参照)」
横島はアリスについて大まかな説明をする。
「えーーーーー!?それって最高神や魔の最高指導者と同格、それよりも上の存在ってことじゃ……」
「まあ、そうなるな」
「……もう、驚かないと思ってましたけど、いつも横島さんには驚かされる。……でも良いんですかね、この世界に現れて」
「いいんじゃない?今は俺の妹だし、神でも魔でも無いんだし」
「軽いですね……まあ、横島さんだし」
元の地球と環境がそっくりなこの世界は、人と、そして人種に近い妖怪妖魔が混在する世界だった。
横島が世界分離を行った後。時代は遡り、1200年前の状態からこの世界独自の歴史が始まり、そして今に至ったのだ。元の地球と大きく異なるのは、魔族(妖怪妖魔)と人間との勢力が拮抗していたため、それぞれが国を建国し、歴史を重ねて来た。
その歴史の中では人間と魔族との争いは多くあった。もちろん人間同士、魔族同士の争いも絶えなかった。
近年は争いも無くなり、ある程度の緊張保った拮抗した状態となり、平和な時が流れていた。
その平和は、最も力を持った魔族、第一真祖、第二真祖、第三真祖がこの世界のバランスを維持するために尽力した所が大きい。
そして、その第一真祖キイ・ジェランバラーダの本性は、世界分離前の地球での横島の親友、バンパイアハーフのピエトロ・ド・ブラド-であった。
第三真祖ジャーダ・ククルカンもまた、その本性は横島の同僚のタマモ…九尾の狐、大妖怪玉藻前だったのだ。
しかし、世界のバランスは悪意を持った人や魔族、さらには天使の介入もあり、崩れ去ろうとしていた。
記憶を取り戻したピートは願った。
崩れ行くこの世界の平和に楔を打ってもらうために……横島忠夫に会いたいと。
ピート登場、そのうちタマモも……
次からいよいよ、ストブラの戦王の使者編に本格参入。
ギャグは忘れないよ。多分><