仮面ノリダーVSシンデレラガールズ   作:カイバーマン。

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恐怖、ぴにゃ男

主題歌・「復活・仮面ノリダーまたぶっとばすぞぉ!」

 

木梨猛&ハナコwithその辺にいたニュージェネレーションズ

 

赤い~マヒュラ~ 正義の印~♪

 

アイドル大好きノリダーが~♪

 

悪いジョッカーぶっとばすぞぉ~~!♪

 

レッツ ゴーヨォ~!  敵は強いぃん~♪

 

ノリダ~金的!(金的!)

 

ノリダ~凶器!(凶器!)

 

好きなアイドルはおニャン子一筋ぃ!(私達は!?)仮面ノリダー♪

 

ノリダ~ハナコォ!(ワン!)

 

ノリダ~この犬ください!(ダメだよ!)

 

今回の相手はなぁに男ぉ!?(何男だ!)

 

仮面~ノリィヤ~!!♪

 

 

 

 

仮面ノリダー・木梨猛は改造人間である

 

彼を改造したジョッカーは、世界征服をたくらむ悪の秘密結社なのだ

 

これはノリダーがジョッカーの魔の手から、世界を守る為に日々戦い続ける物語である。

 

 

 

 

 

始まりはとある町(中目黒)の昼下がり、白いパンタロンと植物と動物をこよなく愛する仮面ノリダーこと木梨猛は

 

「けものがいてもけだものもいる、ホントの芸能界がきっとここにあ~る~!」

 

道の上を上機嫌にスキップしながら、不自然な形をした髪を靡かせながら犬の散歩をしている真っ最中であった。

 

「いよぉ~しハナコ! お家まで全力ダッシュだぁ!」

 

「ワン!」

 

猛が力強くそう叫ぶと、リードに繋がれていた小型犬が返事をするかのように叫び、彼が予想していた以上のスピードで駆け出していく。

 

「うわぁ待て! 待ちなさい! ペース早いって! おじさんもうそんな速く走れないって!」

 

小型犬なりに俊敏な動きで完全に散歩の主導権を握ったハナコは、猛の必死の制止も聞かずにそのまま彼を引きずって瞬く間に我が家である喫茶店・アミーゴの前へ辿り着くのであった。

 

「全くコイツめ~、こっちの年を考えろよな~、ぶっとばすぞぉ!」

 

「あ、おかえり猛さん」

 

「ただいま凛ちゃん! 今日も店番ご苦労!」

 

ハナコを抱き抱えながら猛が店のドアを開けると、カウンターに一人立っていた少女が出迎えてくれた。

 

彼女は渋谷凛、訳あって猛がオーナーとして引き継いだ喫茶店アミーゴで住み込みで働いている従業員である。

 

オーナーである猛があちこち出歩いて不在が続く状況でも、友人の協力がありながらも一人で店を切り盛りできる程の若くして中々できる子であり、猛もしっかり者である彼女には頭が上がらないのだ。

 

「ハナコの散歩大変だったでしょ? その子最近凄く元気に走り回っちゃうから」

 

「いやいや参ったよ~! あっちこっち引っ張り回されちゃってさぁ! ホント疲れたからその辺にいた大人しそうな丸っこい子犬連れた女の子がいたモンだから、「すみませんウチのコレとそちらのワンちゃん交換しませんか?」って言っちゃったよ! ハハハハ!」

 

「ウチの犬を勝手に交換しないで下さい……」

 

「30分交渉したんだけど無理だったなぁ……あと15分あればいけたかな? どう思うハナコ?」

 

「いやだから、ハナコを勝手に余所に渡さないでってば」

 

「相手の名前はアッキーっていうんだけど!?」

 

「名前とか関係ないし……」

 

ハナコの頭をわしゃわしゃと撫でながら豪快に笑い声を上げる猛にジト目を向けながら、凛が冷静に慣れた様子でツッコミを入れていると

 

カランコロンと音を立てて店のドアが勢い良く開いた。

 

「こんちわ~! 手伝いに来たよしぶりん! うわ! たけさんが店にいるの珍しい!」

 

「いらっしゃい未央」

 

「おぉ~久しぶりだな未央ちゃ~ん!」

 

手を挙げてハイテンションで店の中へとやって来たのは本田未央という凛と同年代の少女であった。

 

彼女は凛が通っている学校のクラスメイトであり、いつも明るく誰とでも仲良くなれてしまう子で、複雑な環境である凛ともすぐに親しい間柄の友人となり、彼女の保護者である猛からもすぐに気に入られた。

 

今ではちょくちょくこの店にやって来ては手伝いをしてくれるので、店員一人と不在気味のオーナーしかいないこの店にとっては、社交的な彼女の存在のおかげで大いに助かっている。

 

「全くいつも元気モリモリだなぁ未央ちゃんは! おじさんなんか犬の散歩しただけでヘトヘトだってのに! その若さをわけてくれよ!」

 

「いやぁ~老いは怖いですなぁたけさん、ま、店の事は若くてピチピチのこの看板娘に任せてくれたまえ!」

 

「あざーす! お世話になりやーす! 老後の面倒もお願いしやーす!」

 

「それは無理だわぁ~!」

 

「無理かぁ~!」

 

ずっと年上である筈の猛であろうと物怖じせずに砕けた感じで自然に会話できる未央

 

そんな彼女と店の中で喋っているとこっちまで笑顔になって来る。

 

「ていうか老後の面倒ならたけさんさぁ~、そろそろ運命の相手を探した方が良いんじゃない? もう年なんだしそろそろ相手見つけた方が……」

 

「は! 未央!」

 

「へ?」

 

しかしその猛の笑顔は彼女の一言でアッサリと崩れ去った。

 

未央のついうっかり放った発言に凛が慌てて叫ぶも時すでに遅し

 

引きつった笑みを浮かべて固まっていた猛がしばしの間を置いた後……

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! マリナさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

「えぇ! ちょ! どうしたのたけさん!? マリナさんって誰!?」

 

ハナコをカウンターの上に置くと突然両手でうずくまり、大人でありながらも少女たちの前で恥ずかし気も無く泣き出してしまう猛。

 

この泣き方はただ事では無いと未央も流石に感じ始めていると、「はぁ~」と凛が重くため息をついて

 

「そういえば未央にはまだ話しておかなかったね、実は猛さんにはマリナさんっていう心に決めた人がいたの」

 

「そうだったの!?」

 

「マリナすわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

「うん、それで猛さんとマリナさんは無事婚約して、このまま一緒にこの店で幸せに暮らそうとした束の間……」

 

そこで言い辛そうに一旦言葉を区切ると、凛は静かに首を横に振って意を決したように

 

 

 

 

 

「タイ人に、変な男二人を連れた顔の濃いタイ人にマリナさんを奪われちゃったんだ」

 

「タイ人に!?」

 

「それで今、マリナさんはそのタイ人と青山で幸せな家庭を築いてるんだって……」

 

「あちゃ~……可哀想にたけさん、まさか婚約者をタイ人に奪われるなんて……」

 

「マリナすぅぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

 

カウンターにうつ伏せながらずっと泣き叫ぶ猛に、凛から事の顛末を聞いた未央は彼の隣に静かに座ると

 

優しくその頭を撫でてあげるのであった。

 

「辛かったねぇたけさん、お気の毒に……」

 

「俺も銭金出れば良かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

年下の女の子に慰められながらもなお悲痛に叫び続ける木梨猛

 

いつもは明るく振舞っている彼ではあるが、愛するマリナを失った事で、彼には今もなお痛み続ける大きな傷が出来てしまったのだ。

 

負けるな木梨猛、負けるな仮面ノリダー

 

愛する者を失おうと戦い続ける

 

それが世界の命運を託された、哀しき改造人間の宿命なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてマリナさん喪失に猛が悲観に暮れてタイ人に怒りを燃やしている頃

 

遂に奴等が再び動き出したのだ。

 

「フッフッフ~、時は満ちました、今こそ先代の後を継ぎ……」

 

薄暗く、そして赤く輝く謎の秘密基地にて

 

左目に眼帯を付けた、白い軍服の少女がある恐ろしい計画を実行しようとしている真っ最中であった。

 

その者の正体は……

 

「この! しまむー大佐が新生ジョッカーで世界を征服しちゃいますよー!」

 

「「「「「イーーーーー!!!!」」」」」

 

「しまむー大佐! 頑張ります!」

 

「「「「「イーーーーー!!!!」」」」」

 

彼女の名はしまむー大佐

 

かつて世界を征服しようと企んでいたジョッカーを再結集させ、新たな人員と共に仮面ノリダーの抹殺を企んでいたのだ。

 

見た目は可憐な少女ではあるが、その実態は生まれ持って悪に魂を売った恐ろしい娘なのである。

 

ジョッカーの皆さんも相変わらず健在で、彼女の一声に一同高々と手を掲げて叫ぶ。

 

「でもまだ私達には倒すべき相手が残っています! その男だけはなんとしてでも我々新生ジョッカーで抹殺しないといけません!」

 

しまむー大佐が叫ぶと、彼女の背後にあった大きなモニター画像に一人の男がパッと映った。

 

「そう、仮面ノリダーです!」

 

その男こそ木梨猛、世界征服を企むジョッカーにとって避けて通れない永遠の宿敵である。

 

「先代・ファンファン大佐があらゆる改造人間を投しても勝てなかった仮面ノリダー! それを今度こそ! 新世代の私達で倒しちゃいましょー!」

 

「その通りですしまむー大佐、もはや仮面ノリダーなど今の我々の敵ではありません」

 

「先代の恨みを晴らす為、今こそ我々の力でノリダーを亡き者にしましょう」

 

「は! その声は!」

 

力強くジョッカーの皆さんに叫んでいるしまむー大佐の下に

 

突如白衣を着た二人組の男が現れた。

 

急いで彼女が振り返ると、二人して黒縁メガネを掛けた男が静かに微笑む。

 

「オッギー博士にヤ・ハーギ助手! ここにやって来たという事は既にもう!」

 

「はい、私と助手によって、見事、新たな改造人間、超改造人間を創り上げました」

 

「我々は賢いので」

 

オッギー博士、そしてヤ・ハーギ助手

 

この二人は先代ジョッカー亡き後、しまむー大佐の下で恐ろしい改造実験を繰り返し続け

 

過去の改造人間よりもずっと強く凶悪な、超改造人間計画を実行していたのだ。

 

そして今、二人の実験の成果が誕生した事をお披露目にやって来たのだ。

 

「いやー博士、我々は本当に恐ろしいモノを造ってしまいましたなー」

 

「その通りです助手、この改造人間を超えた怪物、超改造人間を使えば仮面ノリダーなど敵ではありません」

 

「前置きは良いですから!」

 

我ながら完璧だと自信満々に答える博士と助手にしまむー大佐が彼等の方へ歩み寄りながらせがみ始める。

 

 

「早く! 早くその超改造人間を見せて下さい!」

 

「この子生意気ですね博士」

 

「年上に向かって何様なんでしょうね」

 

「え?」

 

「てか俺等の方が芸歴上だよね?」

 

「まあアイドルなんてこんなモンでしょ、どいつもこいつも生意気な娘ばっかだし」

 

「す、すみません……」

 

「いやそこ、マジで受け止めなくていいから」

 

「俺等も言わせられてるだけだから、本気にしちゃダメよ」

 

部下の割にはやや冷めた様子でブツブツと文句を呟き合う博士と助手に、思わずしまむー大佐の方が申し訳なさそうに謝ると、苦笑しながら博士と助手は手を出して制止する。

 

「それじゃあしまむー大佐! 見て下さい! 我々の最新科学の下によって造られた! この超改造人間を!」

 

「さあ出てこい! 実はほぼほぼ助手である私が一人で行い! 博士はほとんどなんにもしてない中で創り上げた最高傑作!」

 

改めて博士と助手が叫ぶと、突如出入口らしき場所からプシャー!強いスモークが炊かれ始め

 

思わず「おお!」と呟くしまむー大佐の前に、スモークの中から大柄なシルエットが浮かび上がり……

 

 

 

 

 

「その名も!」

 

「ぴにゃ男ー!」

 

「ぴーにゃーーーーー!!!」

 

不気味なBGMと共に博士と助手が叫ぶと

 

スモークからヌッと極めて珍妙、目つきの悪いブサイクな着ぐるみを被り、素顔だけは口の部分から曝け出している奇怪な大男が現れたのだ。

 

「ぴーにゃにゃにゃにゃにゃ! 俺様はぴにゃ男……ジョッカーの名の下に憎き仮面ノリダーを殺す為に生まれた超改造人間なのだぁ~!」

 

「す、凄いです! コレがノリダー抹殺の切り札、超改造人間なんですね!」

 

「フッフッフ、コレを着せられ長時間待機させられていた時のあの苛立ち……久しぶりに思い出したぜぇ!」

 

「うわ!」

 

現れて早々不吉な事を呟く超改造人間・ぴにゃ男。

 

しかしその眼光は殺意も込められ一層鋭く光っており、その恐ろしさに思わずしまむー大佐が一歩後ずさりする程であった。

 

「コ、コレなら絶対ノリダーに勝てる気がします! よーしぴにゃ男! 早速ノリダーの所へ行って戦って来て下さい!」

 

「その前にしまむー大佐、言っておきたい事がありますぴにゃ……!」

 

「へ? なんですか?」

 

「……実はこの私、ぴにゃ男には……共に戦う相方がいるのですぴにゃ……!」

 

「相方!?」

 

突然のぴにゃ男からの進言に驚くしまむー大佐、咄嗟に博士と助手の方へ振り返ると彼等も「え?」と口をポカンと開けて

 

「いや知らない知らない、だって俺等、あの人しか造ってないから」

 

「ちょっと~、あの人また勝手に段取り変えたでしょ~」

 

凄味のある目つきでいるぴにゃ男から察するに、彼は嘘をついていない様子だが

 

彼を造った本人である博士と助手はなんの事だかさっぱりわからない。

 

するとぴにゃ男は突然自分が出て来た方にバッと振り返り

 

「いよーし来い! 私と同じ肉体を持つ同志! その名も! ブラックぴにゃ男!」

 

「「「ブラックぴにゃ男!?」」」

 

しまむー大佐だけでなく博士と助手で三人口を揃えて驚くと

 

再びスモークが沸き上がり、中からぴにゃ男と全く同じの形をしたシルエットが浮かび上がって……

 

「ぴ、ぴにゃあ……」

 

「ええ!? プ、プロデュ……!」

 

「博士、あれぇ……番組企画担当の人じゃないすか?」

 

「あーそういや打ち合わせで顔合わせた人と似てるねぇ」

 

恥ずかしそうにバリトンボイスで呟きながら、ぴにゃ男の着ぐるみと同じく目つきの悪い男が申し訳なさそうに顔だけ出していた。

 

三人はそれを見てすぐに誰なのか気付くと、その反応を見てぴにゃ男はイタズラっぽくニヤリと笑い

 

「その辺ウロついていた所を見計らって……その場で捕まえてスタッフのみんなで無理矢理改造手術させました」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「もー何考えてんだよこの人ー! やっぱ頭おかしいよホント!」

 

「裏方だからね! 裏方だからねその人!」

 

悪びれも無く堂々と暴露するぴにゃ男に博士と助手はただ呆れながら笑っているが

 

しまむー大佐だけは明らかに動揺した様子で、ぴにゃ男と新たに出て来たブラックぴにゃ男を交互に見つめる。

 

「あの、コレってって一体どういう……」

 

「しまむー大佐!」

 

「は、はい!」

 

恐る恐る尋ねようとする彼女ではあるが、それをぴにゃ男が近い距離で大声を上げて黙らせると

 

彼はまだ後ろで棒立ちのままどうしていいのか困っている様子のブラックぴにゃ男をクイッと顎で指し

 

「アイツちょっと、仕事ナメてるみたいなんで、ちょっとヤキ入れてやっていいですかぁ?」

 

「ヤキ!?」

 

「おいおいおーい! なんだよさっきの「ぴにゃ」はよぉ! もっと腹から声出せぇ!」

 

「そ、そう言われましても……」

 

きょどるしまむー大佐を尻目に、ぴにゃ男はヤンキー口調でブラックぴにゃ男に絡み始めるが、相手の方はただただ困った様子で顔を引きつらせるばかり。

 

「私の専門はアイドルのプロデュースで……このような仕事は全くの専門外でして……」

 

「甘ったれた事言ってんじゃねぇよ! 前に仕事した765プロのプロデューサーはな! ちゃんと俺等と一緒に体張ったんだぞ! 春香と一緒にもじもじ君やったんだぞアイツは!」

 

「それは以前拝見しましたが……」

 

「346の看板背負ってんなら……ここで結果出さないでどうする! 765に負けたくねぇんだろ!」

 

「しかし……」

 

「ほらほら声もっと大きく! 雄叫び上げるように「ぴにゃあ!」だ、行くぞ!」

 

「わ、わかりました……!」

 

突然の状況に頭の中がパニックになる相手であっても、慣れた様子で巧みな話術で無理矢理自分のペースに引っ張るぴにゃ男。

 

そしてそこから、ぴにゃ男によるブラックぴにゃ男の為のボイスレッスンが始まるのであった。

 

 

 

 

「はい登場シーン! どーん!」

 

「ぴ、ぴにゃあ……!!」

 

「声が小さい! もっと張るんだよもっと! 根性出せって!」

 

「ぴ、ぴにゃあぁ!」

 

「もっとだもっと! 赤羽根に負けんな武内!」

 

「頑張ってくださいプロデューサー!」

 

「ぴぴぴにゃぁ!!!」

 

 

かくして、新たにノリダーの脅威として現れた新生ジョッカー

 

新たな手駒と共に立ち上がった彼等を前に、果たして仮面ノリダー・木梨猛は打ち勝つことができるのか。

 

次回へ続く。 

 

 

 


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