仮面ノリダーVSシンデレラガールズ   作:カイバーマン。

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走れ猛、346プロで大暴れ

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! どこだどこだどこだぁ!!」

 

恐ろしい怪人・ぴにゃ男の魔の手によって、渋谷凛が346本社のどこかの部屋で捕まってしまう。

 

ジョッカーの卑劣な策略に激しい怒りに燃えながらも、木梨猛はビルの中を颯爽と走りながら探し回るのであった。

 

「どこだどこ……お、ここなんか怪しいぞ! 開けてみよう!」

 

ふと目に留まったあるレッスン部屋の前に止まると、社会人としての常識を持たない猛はノックもせずに勢いよくその部屋のドアを開いた。

 

「失礼しまーす!」

 

「ぎょわぁ! い、いきなりなんにゃー!」

 

「うわぁ! なになになに!?」

 

 

突然ドアを開けて元気よく入って来た猛に、部屋でレッスンを受けていた二人のアイドルが戸惑った様子で各々リアクションしながら後ろに下がる。

 

猫好きアイドルの前川みくとロック好きアイドルの多田李衣菜

 

二人は猫とロックを掛け合わせた異質なユニット、アスタリスクとして活躍中のアイドルである。

 

「うえぇ~~い!! どうも木梨猛でぇ~す!」

 

「なんかすっごいテンション高いし鼻の穴が異様に大きいおじさんだにゃ……もしかして李衣菜ちゃんの知り合い?」

 

「いやなんでその特徴を上げた上で私の知り合いだと思うのかな? こんな変なおじさん知らないよ」

 

何を根拠にそんな事言い出すのだと、李衣菜はみくにむかって顔をしかめる

 

「まあ確かにこのやや強引にかっ飛ばしてくる所には私と同じロックを感じるけどね」

 

「なるほど、李衣菜ちゃんの持つにわかロックと同じならこのおじさん、あまり大した事無いって事だにゃ」

 

「はぁ!? だからにわかじゃないって!」

 

普段からロックだのなんだの執拗に連呼している李衣菜だが、実を言うとそこまでロックというモノに詳しくない。

 

みくはいつもの様にその辺をイジって茶化し始めていると、そこへ猛が無理矢理二人の間に割り入って

 

「喧嘩はよしなさ~~い!!」

 

「にゃあ!」

 

「うぇ!?」

 

平和を愛する木梨猛は、例え女の子同士の口論でもすかさず止めに入るのだ。

 

そしていきなり現れた事にビビる彼女達を一瞥すると、彼はふと李衣菜の方へ振り向いて

 

「なに? ロック好きなの?」

 

「いやまあ好きとかそういうのじゃないんですよ、私自身がロックなんです」

 

「ごめんちょっと言ってる事全然わかんない」

 

「えぇ、なんで!?」

 

李衣菜独自のロック論を理解出来なかった猛は考える動作すらせずに首を傾げると、続いてみくの方へ振り返り

 

「君は猫耳付けてるけど、猫好きなの?」

 

「ふふーん決まってるにゃ! みくは猫ちゃんアイドルだから!」

 

「好きな食べ物は?」

 

「ハンバーグにゃ!」

 

「魚じゃねぇのかよ!」

 

「いたっ!」

 

「魚食え! 貝を食え!」

 

「あいた! か、貝は関係にゃ!」

 

猛の質問に堂々とはっきり答えるみくであったが、まさかの好物が魚ではなく肉類だと判明すると、キャラ設定もっと練ろという厳しい猛のチョップが容赦なく彼女の登頂部を襲う。

 

「痛いにゃー! 普通に暴力だにゃー!」

 

「ハハハ、みくちゃん魚食べれないもんねー、猫好きアイドルとして私もそれはどうかと思うよ」

 

「はい次!」

 

「え!? もう私終わったんじゃないんですか!?」

 

「油断してただろ~! もう完全に自分の出番終わったと思ってただろ~!」

 

頭を押さえてマジで痛がっているみくを笑っていたら猛からの突然の奇襲にきょどる李衣菜。

 

てっきり流れ的にみくとの掛け合いがオチで終わりだと思っていたのに、ここに来て自分に回って来るとは思っていなかったのだ。

 

「今からロックにまつわるクイズ出します、答えれなかったらデコピン」

 

「えぇ!?」

 

「ちなみに俺のデコピンね、大分昔、結構やんちゃしてた頃にスタッフにやった事あるんだけどさ、もうずっと悶絶しっ放しでその日全然使いモノにならなかったぐらい強烈に痛いから」

 

「ちょ! それ笑えない奴じゃないですか!」

 

「はい! クイズスタート!」

 

「いやいや待って待って待って下さい!」

 

過去の検証で己のデコピンは尋常じゃない程痛いのだという事をわかっている猛は、明らかに焦っている李衣菜に向かって笑いながらクイズを開始した。

 

「俺達が昔歌ってたロックソングの! ある曲名を当てなさい!」

 

「……ロックやってたんですか?」

 

「そこから知らねぇのかよ! はいそれじゃあヒント、「ガラガラヘビが……」この言葉の次は!?」

 

「ガ、ガラガラヘビが……ロックだね……? つッ!」

 

自分達が若い頃に歌ってた事さえ知らなかったばかりか、引きつった笑みを浮かべながら思いきりふざけて答えた李衣菜を

 

芸能界の先輩として猛は無言で渾身のデコピンを彼女の額にお見舞いした。

 

「「やってくる」だろ! 765プロの子達が歌った事もあるんだぞこの曲!(実話)」

 

「つ、うぉぉ~……」

 

予想以上の威力に李衣菜は両手で頭を押さえながら痛みに顔を歪ませると、フラフラしながら壁にもたれかかってしまう。

 

それを見てみくはすぐにハッとある事に気付いた。

 

「李衣菜ちゃん……あまりにも痛すぎてリアクション取れなくなってるにゃ、うっすら目に涙出てるし」

 

「うそぉ!? そんなに痛かった!? ごめんやり過ぎた!」

 

彼女が痛みで思わず泣いてる事を知った猛は、すぐに血相変えて李衣菜に駆け寄ると、慌てて謝りながらすぐ周りのスタッフに向かって叫ぶ。

 

「誰かー! 湿布持って来てあげてー! あの、本当にごめんなさいね? おじさんもう全然手加減せずにやっちゃったから」

 

「だ、大丈夫です……」

 

「あのお詫びに収録終わったら飯驕るから、何が好き?」

 

「さ、魚……」

 

「みくはお魚嫌いだから肉が良いにゃ!」

 

「おめぇに聞いてねぇよ!」

 

つい若手芸人に対するノリで思いきりやってしまった事に深く反省する木梨猛

 

お詫びとして、猛は収録後にアスタリスクを銀座のお店に連れて行く約束するのであった。

 

 

 

 

 

 

一方その頃、恐るべき狡猾なる怪人・ぴにゃ男はというと

 

「うっぴゃー! ぴにゃさんお仕事おっつおっつ~☆」

 

「はー……もうホントきっついわぁこの仕事」

 

「きらりがマッサージしてあげるからぁ~、もっと頑張るに~☆」

 

「頑張りますに~」

 

346プロの敷地内にあるアイドル専用のマッサージルームで

 

ちょっとだけ長身の個性的アイドル、凸レーションのメンバーの一人、諸星きらりに何故かマッサージを施されていた。

 

着ぐるみの状態でうつ伏せで寝そべりながら、上に跨っている彼女に背中を揉まれ

 

丁度いい力加減にぴにゃ男は満足そうにくつろぎつつ、傍にいるきらり以外の凸レーションのメンバーにも声を掛ける。

 

「みりあちゃんはおいくつですか?」

 

「みりあは11歳だよ! 小学五年生!」

 

まずは自分の左側にいたアイドル、赤城みりあに話しかけるぴにゃ男。元気一杯に喋る彼女に彼も思わずにやけてしまっていた。

 

「それでね! 妹が生まれたの! だから私お姉ちゃんなの!」

 

「あ~お姉ちゃんか~、じゃあこれからはもっと頑張らないとね~」

 

「うん! 少しでもお母さんが楽できるよう私頑張るよ!」

 

「いやーそんな事も考えてるなんて偉いなーみりあちゃんは、お姉ちゃんとしてママの力になってあげてねー」

 

グッと拳を握って無邪気にガッツポーズするみりあに、ぴにゃ男はニヤニヤしながらすっかり癒されていると

 

そこへもう一人のアイドル、城ヶ崎莉嘉が彼と話したがっていた様子で目を輝かせながら近づいて来た

 

「ねぇねぇぴにゃ男君! ぴにゃ男君は前にお姉ちゃんと一緒に仕事した事あるんだよね!」

 

「あるよー、莉嘉ちゃんのお姉ちゃんはデビュー当時から見ててね、すっごいやりやすくて楽しかったよ~」

 

「そうそう! お姉ちゃんも同じ事言ってた! あの二人が色々と業界の事教えてくれたって!」

 

彼女の姉とは何度か一緒に仕事しているぴにゃ男は、きらりのマッサージで眠そうにしながらも、莉嘉の話をちゃんと聞いてあげる。

 

「それでぴにゃ男君ってすんごいお姉ちゃんの事をイジリまくってたでしょ! 私テレビで観てたけど、お姉ちゃんがぴにゃ男君にマジで投げられてるの見て笑っちゃったよ~!」

 

「あのねぇあの子はね、もうこっちがどんな事してもなんでも来いってデビュー当時から凄い頑張ってたのよ、だからおじさんもねぇ、ホントやりやすくて凄い感謝してるの」

 

「お姉ちゃんもぴにゃ男君に感謝してたよ! 緊張している時に優しく声を掛けてくれたり、テレビで目立てるよう派手にイジってくれたから、おかげで人間としてもアイドルとしても成長出来たって!」

 

「も~そういう恥ずかしい事を言うもんじゃありません! おじさんそういうの照れちゃうから! 大した事してないから!」

 

懐かしい話と姉がそんな事を言っていた事を莉嘉から教えられて、照れ臭そうに止めてくれと苦笑いを浮かべるぴにゃ男、するとそこへ……

 

「あれ? 莉嘉? こんな所でみんな集まって何してんの?」

 

「あ! お姉ちゃん!」

 

「!?」

 

不意にマッサージルームに入って来たアイドルに、さっきまで和らいでいたぴにゃ男の表情が一変した。

 

何故ならそこへ現れたのは先程まで莉嘉と話していた彼女の姉の……

 

「美嘉坊ォーッ!」

 

「にょわ~ん☆」

 

「ぴにゃさんが立ったー!」

 

「えぇ!?」

 

今はもうすっかり売れっ子カリスマギャルとして一人前のアイドルへと成長を遂げた莉嘉の姉である城ヶ崎美嘉が

 

収録だというのも知らずにガチで偶然この場に居合わせてしまったのだ。

 

「ああ! よく見たらこの人! うそ!?」

 

「びっくりしたぁ~きらりん一回転しちゃったぁ~」

 

するとぴにゃ男はさっきまでとは打って変わって凄まじい鬼の形相を浮かべると、きらりが背中にいるのも忘れて即座に立ち上がって彼女の方へ静かに歩み寄る

 

「貴様……! よくも俺の前にノコノコと姿を現せられたモノだな……!」

 

「いや……てかなんですかその恰好!? 今日は一体どんなお仕事で来たんですか!?」

 

「ちょっとばかり売れたからって調子に乗りやがって……! 美嘉坊のクセに随分と天狗になってるみてぇじゃねぇかオイ!」 

 

「なってませんから! あ、てかその仇名、超懐かしいですね」

 

「俺も懐かしいなと思った……」

 

拳を鳴らす様な仕草をしながら鋭い眼光を光らせ、ゆっくりと美嘉に迫るぴにゃ男。

 

まるで獲物を狙う狩人の様に

 

「今から俺は、芸能界の先輩として貴様に一から再教育を施してやる……!」

 

「は!? いやいや待って下さい私! 今回ただ偶然ここに居合わせただけで!」

 

「うるっせぇ! 美嘉坊のクセに口答えしてんじゃねぇよコノヤロー!」

 

「ふぐ! イダダダダダ!」

 

ここに来て自分は部外者だとあたふたしながら言い張る面の厚い美嘉にぴにゃ男はすぐに駆け寄って制裁

 

彼女の腕に自分の腕を回すと、そのままアームロックをかけていく。

 

「やれぇ凸レーション! 天狗になったカリスマギャルにお仕置きだぁ!」

 

「うきゃ~! 突撃だにぃ~☆」

 

「お仕置きだぁ~!」

 

「お姉ちゃん覚悟~!」

 

「いやちょ! アンタ達まで何この人に乗せられて悪ノリしてんのよ! ていうかみりあちゃんまで!?」

 

その恐るべき策略であっという間にアイドルグループ、凸レーションを洗脳し操る事に成功するぴにゃ男。

 

運悪く偶然この場に来てしまった不幸な娘、美嘉は、成す総べなく彼女達率いるぴにゃ男の手にかかるのであった。

 

「みりあちゃん! カリスマギャルのお尻をぺんぺんしなさい!」

 

「はーい!」

 

「みりあちゃんッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリスマギャルが小学生に尻をぶっ叩かれてる頃

 

そんな事も知らずに木梨猛は一人悩んでいた。

 

「うーん困ったー……凛ちゃんがどこにも見当たらないぞ、一体どこへ行ったんだ……」

 

あちこち走り回ってたのに一向に凛が見つからない事に猛は焦りを感じつつ

 

 

「あ~~~~! いい湯だな~~~~~!」

 

走ったせいで汗まみれになった体を洗う為、一人お風呂に遣っていた。

 

凛を探している内に猛が辿り着いた場所は彼女がいる筈の本社内ではなく、まさかのアイドル達が住んでいる寮施設である。

 

いつの間にか迷い込んでしまった猛は、勝手にお邪魔し勝手に部屋に侵入し、そして勝手に風呂に入っていた

 

すると入浴中の猛の所にゆっくりと戸を開けて誰かが顔を覗かせ……

 

「あら? 誰か入ってるのかしら……ってきゃあ!」

 

「いや~ん! エッチ~!」

 

何も知らずに風呂場を覗いてしまったのはラブライカ、新田美波であった。

 

まさか風呂場に男が入浴していた事も知らず、悲鳴を上げてしまう彼女に猛は両手で胸を隠しながら叫ぶ。

 

「も~入ってるんだからノックぐらいしなさいよね~!」

 

「す、すみません……って誰ですかあなた!? ここ女子寮ですよ!?」

 

「ミナミィ? どうしましたかぁ?」

 

「アーニャちゃんは来ないで!」

 

怪しい男が勝手に風呂に入っていた事に気が動転しつつも、美波は一体誰なのだと猛に問いかける。

 

すると騒ぎを聞きつけてか、彼女と一緒にいたのであろうもう一人のアイドルもひょっこり顔を覗かせて来た

 

ラブライカで美波の相方を務める、アーニャことアナスタシアだ。

 

すると猛は風呂に浸かりながら陽気に彼女に手を振って

 

「わぁお、オーチニ プリヤートナ」(はじめまして)

 

「オーチニ プリヤートナ~」(はじめまして)

 

「ミニャー ザヴート アーニャ、カーク ヴァス ザヴート?」(私の名前はアーニャです、あなたの名前は?)

 

「ミ、ミニャー ザヴート タケシ!」(私の名前は猛です)

 

「カーク ヴィ パジヴァーイチェ?」(調子はどうですか?)

 

「あースティードナ!」(恥ずかしいです!)

 

「おープラスチーチェ!」(すみません!)

 

なんと北海道生まれのロシア育ちであるアーニャのロシア語に、猛はちょっと危なげながらも笑顔で返す。

 

それを見て美波は少し驚いた様子で

 

「凄い、アーニャちゃんとロシア語でお喋りしてる……」

 

「改造人間ですから!」

 

「は、はぁ……」

 

狭いお風呂の中で水かきしながら猛は自信満々に叫ぶ。

 

ジョッカーに改造された彼はあらゆる言語を聞き取り、使いこなす事も可能なのだ(ただし熊本弁は除く)

 

「そういえばミナミ、ヤー、さっき凄いモノを見ちゃいました」

 

「いや現在進行形で凄いモノが目の前にあるんだけど……」

 

 

目の前で見知らぬおっさんが勝手に風呂入っている方が問題ではなかろうかと美波は思いつつも

 

アーニャは嬉々として彼女に向かって話し始めた。

 

「んーリンがですね、ぴにゃこら太? 黒いぴにゃこら太の格好をしたプロデューサーと、シンデレラ・プロジェクト専用のお部屋にいましたー」

 

「な、なんだってー!」

 

「きゃあ! い、いきなり立ち上がらないで下さい!」

 

自分達シンデレラ・プロジェクトのメンバーがいつも集まっている部屋に凛がいるのを見かけた、とアーニャが言った瞬間すぐ様お風呂から立ち上がる猛

 

これには美波も慌ててアーニャの両目を自分の手で隠すが心配無用。

 

猛はちゃんとこうなる事をわかっていて事前に海パンを装着していたのだ。

 

「君は凛ちゃんの居場所を知っているのかい! 俺は彼女を助ける為にここに来たんだ! 是非そこまで案内してくれ!」

 

「ダー、いいですよー」

 

「スパシーバ!」(ありがとう!)

 

「パジャールスタ」(どういたしまして)

 

「さ、さっきからアーニャちゃんどうしてそんなに平然としていられるの? うわ! こ、こっち来ないで下さい!」

 

しかし海パンを付けているとは言え、男の裸をモロに見せられ美波は赤面しながら遂に逃げてしまった。

 

かくして猛は、計算通り凛がいる情報をゲットし、アーニャの案内の下、彼女が捕まっている場所へと向かうのであった。

 

「待っていろよ凛ちゃん! 必ずジョッカーの思い通りにはさせないぞぉ! ヤー スタラーユシ~!」(俺、頑張ります!)

 

「ジラーユ ウダーチ」(幸運を祈ります)

 

「いいからまず服着て下さい服!」

 

次回に続く

 

 

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