インフィニット・ストラトス ~少女とクロガネ~   作:エヌ

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少女とクロガネ-3

「まさか…起動させた!?」

 

私は信じることが出来なかった。

 

アイカワの元で運用試験をしていた時、あまたのテストパイロットが起動することが出来なかったアレを。

 

今、少女が起動させたのだ。

 

(これは、はやくタチバナさんに戻ってもらわないとな…)

 

計画が白紙になるまでの1週間の間だけだったがアイカワの地位を継いでプロジェクト総括になった男がいる。

 

今IS運委の連中が行っているはずのタチバナヒロナリと言う男である。

 

もともとサブ・プログラマとして働いていたがしっかりとアイカワの死後処理をした人物であり、マキナ計画の主軸を担う人材でもあった。

 

「ヤグルマ!早くISコア剥離装置(リムーバー)を!」

 

「分かってる!」

 

二人いる警察のうち一人…はヤグルマヒデノリ。もう一人はカゲヤママサトと言う。

 

どちらも旧知の中であった。彼らはISコア剥離装置という特殊な装置を持ち込んでいた。

 

警視庁には3台しか存在しない貴重なものだった。

 

ヤグルマが剥離装置を起動させ、起動したペインキラーへ撃ち込む。

 

しかし、()()()()I()S()()()()()()()()()()()

 

「効かない…だと?」

 

ヤグルマは驚く。

 

「カゲヤマ!彼女はもう到着したか!」

 

彼女-とは「万が一」つまり今のような状況の為、呼んでいた人物であったが彼女の都合上若干遅れるという話であった。

 

「もうすこ……!!」

 

少しと言おうとしたときである。

 

 

()()()()()()()()()()()が入場したのだ。

 

 

「来ました!!」

 

カゲヤマが叫んだ。

 

「ごめんなさいね。遅くなって!」

 

そういって彼女はランスを構える。

 

モスクワの……赤い霧……

 

私はそう呟いた。

 

 

~~~

 

 

目を見開くとそこは草原だった。

 

草木が柔らかな風で揺れ暖かい日の光が照らしている。

 

「ここは…?」

 

「気が付いた?」

 

いきなり後ろから声がした。

 

「貴女…誰?」

 

目の前にいる女性は綺麗な栗色の髪をしている。

 

「んー私は…そうね。ミウって呼んで?」

 

「ミウ…さん?」

 

ミウと名乗った女性は私と同じくらいの背丈だが胸は遥かに大きかった。

 

顔も可愛らしく、声もきれいだ。アイドルと言われても信じられる。

 

「……//」

 

私がそう思いつつ彼女の顔を見ていると、ミウさんの顔が赤くなった。

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「いや、そう思われるの久しぶりだなって…」

 

「心読めるんですか…」

 

「まぁ、それは置いておいて、なんで貴女がここにいるかってこと。」

 

「……そういえばなんでなんですか?」

 

確か…全部嫌になったことは覚えている。

 

しかし、さっきまで感じていたあの感情は今もうない。

 

というより先ほどまでが少し異常だったとも考えられる。

 

(あれ、人の心ってこんなに落ち着くの早いんだっけ…?)

 

事柄を外から観察しているような、赤の他人の泣きわめく姿を見ているような、

 

そんな錯覚さえ起きていた。

 

よかった。マキナ用ナノマシンは正常に働いてるみたい…

 

ミウさんが何か言ったように聞こえたが小さくてよく聞こえなかった。

 

「そうだ、あの声……あれって」

 

「そう。私。そうしないとあなたはこっちに来れないからね」

 

「こっち…?」

 

「えっと、とりあえず順を追って説明するね。先ずあなたはトラックにひかれかれたでしょ?」

 

「はい…。」

 

「そのトラックには解体予定のISが積まれてたのはわかる?」

 

「そこまでは…ニュースで…。」

 

「そのISが私。」

 

「へ?」

 

「貴女、IS学園に入りたかったんでしょ?ならコアとの共鳴って知ってるわよね?」

 

「はい…。ISとの相性がいいほどコアをよく認識できるって…ええ!?」

 

「そう。今まさにそれが起きてるのよ。」

 

確かこの共鳴現象はほんの一握りのISパイロットしか起こせないはずであった。

 

それこそ、織斑千冬やアリーシャ・ジョゼスターフクラスのパイロット。

 

「貴女がほぼ死にかけのあの時、私ねピンときちゃったんだ。」

 

「ピン…?」

 

「そう。ああ、私のうまく動かせるのはこの人なんだなって。」

 

いまいち話がうまくつかめない。とどのつまり、I()S()()()()()()()ということなのだろうが、

 

そんな事例今まであっただろうか。

 

「それで、あなたの体が適合したから私の特殊防御システムが働いたってわけ。」

 

「ぶつかる直前に絶対防御が発動した…と?」

 

死にかけでピンときたという発言に矛盾するが考えられるような事象はそれしかない。

 

「あーそういうこと…だね。」

 

ミウさんもそういっている。

 

「じゃあ、これからもよろしくねって言いたいところなんだけど…」

 

「どうしたんです?」

 

ミウさんが気まずそうな顔をする。

 

「あのね、リムーバーってわかるかな?」

 

「一回だけコアを使用不能にできる装備…ですよね?」

 

「うん。実は私ねそれ効かないんだけど」

 

何やら軽めにすごいことを言っている。

 

「それがどうしたんですか…?」

 

「あなたを戻そうと警察の人使ったみたいなの。それで私効かないじゃん?で…」

 

「で…?」

 

「うん…そのIS学園の生徒会長が来ちゃった…」

 

IS学園の生徒会長と言えば知らぬ人はいない有名人である。

 

更識楯無。ミステリアス・レイディを操るロシアの国家代表。その実力は将来ブリュンヒルデ確実とまで噂されるほど…

 

それが来ているということは、つまり…?

 

「今暴走してると勘違いされてるみたい。」

 

「な、何でそうなるんですか!」

 

「うぅ…ごめん…昔の癖でつい手を出しちゃった…」

 

「出しちゃった!?」

 

「私を止めようといろいろしてきたからついうるさいなぁって思って生徒会長にナイフ投げちゃった…の…」

 

昔の癖でとはこの人は今まで一体何をしてきたのか。

 

「いそいで私とお別れしなきゃ倒されちゃうってことになるかな…でも安心して!私はこう見えても防御は結構自信あるから、あなたに制御を任せた瞬間やられるってことはないと思う。」

 

そういわれるとふわっと身体が浮かんだような感覚に襲われる。

 

「じゃあ、またね。」

 

 

~~~

 

 

「参ったわね…」

 

目の前のISはほとんど攻撃を仕掛けない…が圧倒的な堅固性を誇っていた。

 

ISの暴走…それは確かなのだが外に出る気配もなく一度こちらにナイフを投げてきただけである。

 

幸い部屋にいた四人は避難済み。さらにここは更識家の所有するビルの地下…

 

いくらでも暴れられる…のだが、ラスティ―・ネイルも蒼流旋も最大出力のアクア・ナノマシンをまとわせているが一向にSEがなくなる気配がない…

 

「アレ…使わないとだめかしら…」

 

これだけ攻撃をしないならやってみる価値はある…

 

「アクア・ナノマシンを一点に…今ッ!」

 

蒼流旋にもてるすべてのアクアナノマシンを集中…突貫!

 

ミストルティンの槍。自らの防御と引き換えに最大限の攻撃力を放つその一撃が…

 

 

今放たれ…

 

「んっ…あれ?戻って…これた?」

 

目の前のペインキラーがいきなりペインキラーは制御を取り戻したのである。

 

「やばっ!」

 

そう叫んだのは楯無

 

「へ?」

 

今更加速を止めることが出来ず…ミストルティンの槍はペインキラーに直撃した。

 

 

~~~

 

「んっ…あれ?戻って…これた?」

 

私の事を送り出してくれたミウさんの姿とあの草原は見当たらない。

 

あの部屋だった。

 

そういえば戻ってきた瞬間からアラームが響く。

 

振り向くとものすごい速さでこっちに突撃してくるISが…

 

「やばっ!」

 

そう叫んだ。

 

「へ?」

 

水をまとった槍はペインキラーの腹部を貫く。

 

インジケーターはSEが0になったことを示す。

 

本来なら絶対防御の発動をもってしてもかなりの衝撃が襲うはずである。

 

しかしそれは………なかった。

 

ペインキラーを纏った私は何事もなかったかのようにそこに立っていた。

 

振動も衝撃も一切なかった。ミウさんが防御は得意と言っていたけどまさかこれほどまでとは思わなかった。

 

そのまま私は光に包み込まれ、ペインキラーは腕輪に戻る。

 

「貴女!無事!?」

 

「え…、あ、大丈夫です。」

 

「驚いた……ミストルティンの槍でも絶対防御を貫けなかったなんて……」

 

それは違う。ミストルティンの槍は確かに私の絶対防御を貫通していた。

 

しかし、それのさらに内側に特殊な防御機構が内蔵されいる……といったほうが正解なのだろう

 

なぜだろう。ミウさんと会ってからこのISの事が手に取るようにわかる。

 

「ともかく、初めましてね。森本椿さん。」

 

彼女は笑みを見せる。

 

「あの…ほかの皆さんは…?」

 

「ああ。大丈夫よ。全員別の場所にいるから…」

 

「そうですか。よかった…ミウさんが勝手なことするから…」

 

「ミウさん?」

 

「ええ。このISって言ったらいいんですか?」

 

「このIS…ってもしかしてISコアと共鳴したの!?貴女!!」

 

「たぶん…」

 

うんミウさんがそう言ってた。

 

「はぁ…ISも規格外と思いきやパイロットも規格外なのね…。」

 

 

~~~

 

 

「はい。はい。分かりました。タチバナ主任へお伝えします。」

 

女のほうが電話を切る。

 

「おいおい。主任はよしてくれ。もうあのプロジェクトは…」

 

「本日お伺いしたのはあの機体の裏付けだけではないのです。」

 

「何…?」

 

「ペインキラーが稼働を始めた以上、タチバナ主任貴方は倉持技研へ移っていただきます。」

 

「倉持…技研だと!?」

 

「はい。これよりマキナ計画は()()()()()()()()()へ移行しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




説明以外の初めてのきちんとした後書きになります。

この回でプロローグが終わります。

次回は学園に入るまで。次々回よりIS本編へ移行します。

ここで小ネタといううか解説みたいなものを。


① 森本椿 本作の主人公です。名前の由来は仮面ライダー剣の相川始役森本亮治さん。剣崎一真役椿隆之さんより取っています。

② タケヤマ 彼女は何も考えず名付けました。今後登場は少ないと思います。

③ ヤグルマ カゲヤマ どちらも地獄兄弟より取っています。下の名前はそれぞれの役を演じられている俳優さんのお名前からとりました。

④ タチバナ 仮面ライダー剣の橘さんより取っています。下の名前は橘さんの中の人である雛形浩成さんより取りました。

⑤ 名無し研究員 彼は今話の初めの視点の人物です。今後名前は出て来るかと

⑥ アイカワ 彼も相川始より取っています。

⑦ ミウ 彼女は鉄のラインバレルの九条美海がモチーフです。それ以上は語りません。

⑧ マキナ計画 これは鉄のラインバレルより機体やら武装やらを持ってくるためのものです。

⑨ ペインキラー こちらは鉄のラインバレルの九条美海のマキナです。姿かたちはアニメ版です。

⑩ 相転移装甲 ガンダムSEEDシリーズのフェイズシフト装甲です。


以上分からない箇所がございましたら感想で質問お願いいたします。

さて、最後になりますがこちらが処女作であるため文章が迷走する場合がございますがご了承ください。

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