異世界に勇者召喚されたと思ったら、異世界の侵略から地球を守る戦隊ヒーローになった件について。 作:グレン×グレン
こっからが、バトルの本番だぜ!!
その直前。墜落天渡は考える。
目の前で、理不尽が起きている。
あの時と同じだ。強盗が、両親を殺した時と同じだ。
この世は本当に理不尽にできている。千年以上前の宗教絡みという理由で、十数年前に生まれた自分までもが敵視される事すらある。
心底嫌だ。吐き気がする。
何故だ。自分達がそこまでされるような事をしたというのか?
ただ目についたから。ただ堕天使に生まれたから。ただ、勇者となる者の近くに居たから。
そんな理由で、自分は何度も理不尽に巻き込まれた気がする。
しかもだ。これが自分だけなら周りの者全てを妬めたのに、大抵の場合は自分以外にも理不尽が襲い掛かっているのを自覚する他ないのだ。
世界に多々ある理不尽に比べれば、自分は幸運な方だという自覚すら持ててしまっては、ぐれる事もできない。
そして、その理不尽は挙句の果てに自分の周りにいる者達にまで牙を向いている。
地獄のような奈落の底に堕とされ、生きる為に必死だっただけの一ノ瀬朧。
冷戦状態という中で親族を粛清され、それゆえにかつての正義を信じられなくなった、八重垣宝珠。
そして、助けられた恩を返したいと願い、返した果てに死に瀕している咲花弥左。
許せない。
守りたい。
理不尽が理由もなく自分の周りを蹂躙する事が許せない。そんな怒りが込み上げる。
自分の手が届くところぐらい、せめて理不尽から誰かを守りたい。そんな願いが込み上げる。
その二つの思いが高まりに高まり―
悪魔祓いとして、主と正義の為に生きていくのだとばかり思っていた。
それは、目標だった人が粛清された事で、信じられなくなった。
教師として、生徒を守らねばならないと痛感した。
結局、自分は生徒を守れていない。
どこまでも未熟なのだろう。成熟する前に逃げてきたのだから当然だが。
その結果がこれだ。結局生徒を危険に晒し、そして守る事も出来てはいない。
だけど、そのままでいいわけがない。
信徒として未熟だ。悪魔祓いとして未熟だ。教師として未熟だ。大人として未熟だ。
だが、未熟であるなら、それこそ熟さなければならないのだ。
ここで逃げるわけにはいかない。此処で倒れるわけにはいかない。ここで死ぬわけにはいかない。
自分の未熟を言い訳に、守らねばならぬ者を守れないなどという無様を晒すわけにはいかない。
未熟であるからこそ、やらねばならぬ事は星の数ほどあるのだから。
だから立ち上がれ。
その思いのままに、宝珠は立ち上がろうとして―
咲花弥左は、意識も朦朧としていた。
このままだと死ぬのは確実だ。それは怖い。
それに、このままだと皆死ぬかもしれない。それも怖い。
何より、生きていてくれた朧が死んでしまう。それが怖い。
あの状況下で、朧は自分を助けてくれた。
誰にでもできる事ではない。それはきっと難しい事だ。
荷物持ちとして、自分ではどうしようもない魔獣達との戦いの最前線に送られて、怖かっただろう。
戦う力のある自分達ですら、パニックを起こしてあの様だった。
なのに、朧は冷静に自分を救ってくれた。
きっと、彼のような人が本当に強いのだ。
そんな彼が、自分の所為で死んでしまうだなんて、絶対に嫌だ。
そして、自分も死にたくない。
死ぬのは怖い。そして、朧は弥左に死んでほしくないと願っている。
だから死ねない。
生きて、もっと恩返しがしたい、朧に助けられた分、自分もまた、朧を助けたい。
だから、生きねばならないとその手を伸ばし―
そして、三人はついに至った。
「「「我が光輝を宣誓する!!」」」
「我は理不尽を憎む弱者なり。我は不条理を嘆く弱者なり」
「我は教え子を守らねばならぬ者なり。我は神の子を守らねばならぬ者なり。我は、そのどちらもろくにできぬ愚者なり」
「我は救われし者。救われたがゆえに死を拒み、救われたがゆえに助力を望む」
「故に我、せめて届く手の内は守護せんと吠える守護者なり」
だから全て守るなどと言わない。ただ、己の手が届くところぐらいは守りたいのだ。
「悟った以上なす事は一つ。我、弱者を守る為の力を欲す守護者へと返り咲かん」
だからこそ、今からやり直そう。少なくとも、目の前の子供達は守って見せる。
「故に我、我らに襲い掛かる死を祓う。死よ、痛みよ、苦しみよ。ただ安らかに燃え尽きよ」
だから、死などに負けてなるものか。それをどうにかしないといけないのならば、自分がどうにかしてやろう。
「「「心具、顕現」」」
その瞬間、彼らは正の心を光に変える。
そいて、同時に一斉に具現化した。
「
渡が具現化するは、無骨な鋼の一対の籠手。
「
宝珠が具現化させるは、銃身で挟まれた板のような剣。
「
弥左が具現化させるは、翼を模した腰に装着される鞘。
突撃しながら振り降ろされる鋼の魔獣の爪。
それを、翼を広げた渡が籠手で防ぐ。
轟音が響くが、渡の籠手には傷一つつかない。それどころか、爪の方が僅かに欠けるほどの頑強さだ。
「無事か、一ノ瀬!!」
「墜落天!? っていう、羽ぇ!?」
目の前でトンデモな事が起きて、朧は目を見開いた。
しかしそんな隙を作ってくれるほど相手も愚かではない。
両手の爪を構えると、遠慮なく攻撃を連続で叩き込む。
だがしかし、それすら最早対処可能な脅威でしかない。
それら全てを両腕の籠手を使って防ぎ、渡は吠える。
「何度も私から大事なものを奪えると思うな、理不尽!!」
「良い事言ったわね、先生感動したわ!!」
そしてその瞬間、左右から銃撃が鋼の獣を襲う。
装甲を削りながら、弾丸を放つ二振りの銃剣は、空を自由に舞い攻撃を開始。
そして、その瞬間に、赤く輝く羽のようなナイフが、渡と宝珠の身体に突き刺さる。
それは一瞬で光になると、2人の体を覆い、負傷を治療した。
「先生、墜落天君! それはお願い!!」
そして自分にもナイフを突き刺して傷を癒しながら、弥左は其のまま朧を庇う様に立ち上がる。
これこそが、三人が手にした新たな力。
極めて頑丈な極小規模の防御結界の生成。
自由に操る事ができる銃剣。
治癒の力で出来た短剣の創造。
それら全てが高位の神器に匹敵する性能を発揮し、鋼の獣を圧倒する。
しかし、それでもなお強大なのが鋼の獣。
そう簡単には倒されない。自分を超えるだけの力を示してみろと、咆哮を上げながら激戦を繰り広げ―
「―おい、俺を忘れてんじゃねえぞ、ガラクタ野郎」
其の声に、反応して視線を向けた時、鋼の獣は手遅れである事を察した。
その瞬間眼前に移ったのは、円錐と円筒が組み合わさった、筒状の物体。
「……即興で作ったHEAT弾頭だ。潰れろ、ジャンクになりな」
その言葉と共に、鋼の獣の頭部は粉々に砕けちった。
本作品のオリジナル異能、心具はどうだったでしょうか。
文字通り、「心」を「具」現化する能力ですね。モチーフにしたのは最近大変なことになっている中二バトル作品ブランドLightの「zero Infinty -devil of Maxwell」の殲機です。とはいえ、インフレのパターンなどを考慮して、あくまでかなり参考にしているだけでまんまというわけではありませんが。具体的にはエゴとイドで大幅な格差は生まれないてきな感じです。
一度本気でこういった「精神性を形にした武器」とかやってみたかったんです。これがこの作品かきたかった理由の一つですね。これ掛けただけでもだいぶすっきりしたぜ!!
そんなわけで、D×D本編と合流したら、イッセー達にも何らかの形で使わせたいと思っております。これ投降したら活動報告で募集する予定ですので、もしよければどうぞ。