異世界に勇者召喚されたと思ったら、異世界の侵略から地球を守る戦隊ヒーローになった件について。   作:グレン×グレン

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そろそろ序盤も終了します。

事実上、異世界編はプロローグも同様。これが終わってD×D原作とクロスしてからが本格的な戦いの幕開けです。

……つまり、ここからが本当の地獄です。


18話 侵略の狼煙

 

 そして王都に到着して、五人は堂々と王都に侵入を試みた。

 

 いや、これは侵入ではない。凱旋だ。

 

 そして、そのついでにやることも確定している。

 

「……瀬間さんでしたか。何やら問題児だとは思いましたが、まさかそのような凶行を行っていたとは……!」

 

「いや、まあ証拠はねえからボコれねえんだが」

 

「その件についてもすぐにわかるから、安心しろ」

 

 怒り心頭状態のイーンに、いちばん怒るはずの朧が戸惑い、そして渡がとりなす。

 

 実際問題、朧は喬樹の表情で確信しただけで、実際にどうやったのかどころか、本当にやったのかすらわからないのだ。

 

 だがしかし、それも堕天使の技術なら解決はすぐに済む。

 

「検査装置で奴をしらべれば、神器を持っているかどうかもどんな神器なのかもわかる。奴が独立具現型神器の使い手ならば、下手人は奴でほぼ確定だ」

 

「ま、やばいのは同種の神器持ちが何人もいることだけど、先生の知識的に、学校の一クラスレベルの人数でそんなことはめったにないから下手人はわかるでしょ」

 

 宝珠もそう告げ、誰もが少し緊張感を抱きながら、決意を固める。

 

 喬樹の件はいろいろとややこしいことになるだろう。だが、それでも全体的にはいいことではあるはずだ。

 

 死んだと思ったクラスメイトが生還したのだ。確かに朧はあまり好かれていなかったが、それでもその死に大半の者たちが衝撃を受けていた。

 

 変わり果てた朧を見れば逆に衝撃を受けるだろうが、死んでないだけでも気が楽になるだろう。

 

「たぶん、宝幸さんはすごい喜ぶね……」

 

 すこし複雑そうな表情を浮かべながら、弥左はそう朧を茶化す。

 

 朧はそれに頬を掻きながら、こちらもまた複雑そうな表情を浮かべる。

 

「あ~、しかしあいつにはちょっとガツンと言った方がいいかもしれねえなぁ」

 

 実際問題、その行動の原因は学園のマドンナの好意を一身に浴びていることだ。そういう意味では宝幸真白にも原因はある。

 

 周りがそれで不快感を抱いているのに全く気付いていない、その視野の狭さは確かに問題だ。朧がこういうことになった以上大丈夫だとは思うが、念のためにいろいろと指導するべきかもしれない。

 

 渡も真剣に同意して、額に手を当てる。

 

「確かにな。責められるべきは下手人だが、宝幸にも不手際はある。本格的に説教をした方がいいのは明白だ」

 

「確かにねー。ちょっと呼び出して矯正試みた方がよかったかも。先生マジで反省してるわ」

 

 宝珠がそう言ってため息をつきながら、王都の方を見る。

 

 ついでに朧に作ってもらった探査機器で確認すれば、既に空飛ぶ船が隠匿をしながら浮かんでいる。

 

 あれが堕天使勢が用意した救援用の船だ。次元の狭間の探査をしたいということで作っていたものを、急遽改造して長距離移動できるように改造したものだ。

 

 あれがある限り、最悪の事態になってもある程度はどうにかなる。

 

 強引に生徒たちを救出して、離脱するという手段が取れなくもない。後々が大変だが、それでも相手の思い通りに事は運ばせない。

 

 イーンもそれは認めてくれた。つくづく、彼女がこの世界では希少な精神性を持っていることに感謝するほかない。

 

「んじゃまあ、凱旋するとするか」

 

 朧はそういいながら、一歩前に踏み出し―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我が光輝を宣誓する』

 

 

 

 

 

 

 

 

 その起動詠唱(ランゲージ)に、全員が凍り付いた。

 

 それは、心具を具現化させる呪文の言葉。

 

 それは、件の悪魔と反抗者たちしか知らない、この世界最大級の神秘。

 

 そしてそれは、文字通り唯一無二の武器を具現化する、祝詞。

 

『我は偉大なりしエルルの代弁者。我が代弁は絶対命令。我が代弁は世より重し』

 

 それは傲慢たる主の代弁者の宣誓。

 

『故に、エルルの配下よ我が意に従え。それこそが世界の法則である』

 

 自らの言葉は主の意思。故に手に従うものは己の言葉に盲従せよ。そう言わんばかりの上から目線の命令が、今ここに具現化する。

 

『心具顕現、神命宣誓、我が意は主の意なり(ゴッド・オーダー)

 

 そして、その言葉は放たれた。

 

『この世界に住まう全ての者たちよ。唯一存在エルルより、命令が下された』

 

 その言葉に、いち早く我に返ったイーンが驚愕する。

 

「これは、カーディナ教皇!? いったい何を……?」

 

「いや、それよりまずいわよ!?」

 

 そして宝珠は速攻で走り出す。

 

「お待ちください、宝珠先生!!」

 

「落ち着けよ先生! どうしたってんだ!!」

 

 駆け出す渡や朧たちに、宝珠の声が飛ぶ!!

 

「忘れたの!? 心具の詠唱は、己の心の在り方だけじゃなくて、能力の根幹すら示すのよ!?」

 

 その言葉に、いまだ心具を具現化させていないイーンを除く誰もが息をのんだ。

 

 心具の詠唱は、己の心の形を具現化するための、いわば説明文のようなものだ。

 

 化け物となってでも生き残るために必要なものを得るとの、朧の宣誓。そして必要な武器を作る能力を手にした。

 

 弱者であることを認めながらも、自分の手の中のものを守り抜くという、渡の宣誓。そして極めて頑丈な腕を手にした。

 

 未熟であることを認めながら、だからこそ役目を果たさんという、宝珠の宣誓。そしてそのための武器を手にした。

 

 助けられたことに報いるために、死を遠ざける力を欲する、弥左の宣誓。そして、死を遠ざける癒しの力を手にした。

 

 そしてその通りの能力を具現化する以上、詠唱の内容は能力の説明ともいえる。

 

 すなわち、この絶対存在の直下としてお前たちは命令に従えという心具が具現化する能力は―

 

『唯一存在エルルは、我らに異世界にわたるすべを与え、そして、異世界の勇士たちと共にその世界を統べろと申された!!』

 

「……やられた!! 今回の召喚の目的は、現地協力者の確保……!」

 

 舌打ちする宝珠と共に、誰もが王都に突入する。

 

 すでに国民たちは何かの捕われたかのように、ぼんやりと、そして恍惚の表情でその映像を見つめている。

 

 その時点で能力の詳細を把握し、誰もが戦慄する中、言葉が続く。

 

『これまでの魔獣達との戦いは、そのための試練である! そして、唯一存在エルルは新たな力を得るための手段すら用意して出さったのだ! 我らの勝利は確定である!!』

 

「「「「「「「「「おぉ……」」」」」」」」」

 

『『『『『『『『『『エルル様……!』』』』』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『『『『『『うぉおおおおお!!!』』』』』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何かにとりつかれたかのように大歓声が上がる中、渡たちは城に突入する。

 

 そして、全力で謁見の間についた時―

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぅ? どうやら影響を受けてないものが何人かいたようだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 全ての王侯貴族をひれ伏させ、一人の男がそこにいた。

 

 軽装の鎧を身にまとった、貴族のような男。

 

 その姿を見、そして後ろに展開される紋章を確認した渡と宝珠は、目を見開く。

 

「……初代ベルゼブブの紋章……だと!?」

 

「アンタまさか、旧魔王血族の―」

 

 渡に続いて宝珠が声を漏らした瞬間、瞬時に魔力でできた槍が放たれる。

 

「我が光輝を宣誓する!!」

 

 とっさに心具を具現化させて、それを受け止めた渡は、それでも衝撃を殺し切れずに、宝珠を巻き込んで後ろに飛ばされる。

 

「渡!」

 

「宝珠先生!」

 

 朧と弥左がそれを受け止める中、イーンは激怒の表情で、その男をにらみつける。

 

「貴様!! お父様たちに何をしましたの!?」

 

「何をしたとは意外だな。先ほどの心具と宣誓で、能力ぐらい読めているだろうに」

 

 そうあざける男は、手を広げて名乗りを上げる。

 

「俺は、真なる魔王であるベルゼブブの末裔、シャルバ・ベルゼブブ。この世界の真の役目である、地球侵攻を行う者たちの統率者の一人だ」

 

 その言葉に、イーンはもちろん、誰もが意味を理解する。

 

 つまり、既にこの世界の支配は完了している。カーディナの心具は洗脳能力なのだろう。あの言葉で、誰もが地球侵略のために命を捧げる尖兵と化したのだと。

 

『……久しぶりだな、シャルバ……っ』

 

 そして通信機が起動し、アザゼルが姿を現す。

 

 それに嫌悪感を丸出しした表情を向けながら、シャルバもまた言葉をはなつ。

 

「久しぶりだな、薄汚い(カラス)の長よ。すまないが、この世界は我々魔王末裔が支配させてもらった」

 

 そう得意げに告げるシャルバに、通信機越しのアザエルは舌打ちする。

 

『やられたぜ、悪魔ってのは文字通りの意味だったってことかよ』

 

「そうだ。そしてこの世界の技術は掌握した。その総数をもってして、我々は地球は愚か、冥界も天界も支配させてもらう」

 

 その言葉に、誰もが戦慄する。

 

 しかしそんななかアザゼルは阿保かといわんばかりに鼻で笑う。

 

『あり得ねえ。最上級クラスがゴロゴロいて、加えて人類には核もある。それをこの世界の戦闘レベルでどうにかする? 心具があるとはいえ、できると思ってるのか?』

 

「ふふふ。わかっているのだろう、アザゼル? 貴様がどうやって連絡を取ったのかは知らないが、あの遺跡を知っているのなら、この世界の本当の技術水準レベルも想定できるはずだ」

 

「「「「「『……!』」」」」」

 

 その言葉に、正気の者たちが皆戦慄する。

 

 そうだ、あの世界の反乱者たちの技術は、魔獣は、中級クラスが手こずる程度にには高水準だ。

 

 そしてそんな魔獣を作り出すことができる犯行者たちを圧倒するほどに、その悪魔側の技術は強力だった。それが、数百年も研究開発が進んでいるのだ。

 

 あんなものなわけがない。この世界の技術は、意図的に下げられているだけだ。本来はもっと上がある。

 

「ドーピング技術から生体改造にその他もろもろ。使い捨ての兵士としては十分だ。それ以外の強化手段もいくつもあるしな」

 

 そう告げるシャルバに、イーンは絶句する。

 

 王侯貴族として、民を導き慈しむことを命題としてきた彼女からすれば、それがすべて異世界侵略のための家畜も同様などという事実は、受け入れがたいだろう。

 

 それでも、崩れかけた脚に力を込めて、イーンはシャルバをにらみつける。

 

「……ふん。混じり物のくせに偉そうに」

 

 それを真っ向から受け止めたシャルバは、心底から不愉快な表情を浮かべて右手を構える。

 

「もういい。貴様らは此処で死ね」

 

 そしてその瞬間、一瞬で収束された魔力が、圧縮された弾丸と化してイーンに迫る。

 

 その威力は最上級悪魔クラスの一撃そのもの。腐っても魔王末裔なだけあり、シャルバの戦闘能力は決して油断できるものではなかった。

 

 それを一瞬とは言え迎撃しようとしたイーンだが、すぐに気づいた。

 

 ……これは、自分が受け止められるような威力ではない。

 

 憎悪すら抱かせる存在が、それだけの実力を持っているという事実。王国を蹂躙されている自分が、それに上がらうことができない事実。そして、犯行者たちの努力すらあざ笑うかのような差に、イーンは歯噛みし―

 

「させん!!」

 

 ―割って入った渡が、再びその攻撃を両腕の籠手で受け止める。

 

 再び余波で吹き飛ばされかけるも、しかし今度は宝珠たちがその背中を支える。

 

 そして、踏ん張った渡は受け止め切った。

 

 その事実にシャルバはわずかに目を見開き―

 

「さっきから、むかつくことばかりしてんじゃねえか、ああ!!」

 

 ―その言葉とともに朧が放ったHEAT弾をとっさに障壁で防ぐ。

 

「……下等な人間風情が、そんなガラクタで俺に牙を剥くか!!」

 

「下等上等! ガラクタ程度にビビって結界張るようなチキンが偉そうにしてんじゃねえ!!」

 

 額に青筋を浮かべて吠えるシャルバに、朧もまた目を血走らせて怒鳴る。

 

 にらみ合いになる二人。

 

 そして、朧は歯ぎしりをしながら、シャルバに殺意を向ける。

 

「この世界がどうなろうが、迷惑かけられた俺が気にする義理はねえ。だがなぁ、てめえのやり口は気に入らねえし、てめえが渡や宝珠先生(身内)に手ぇ出してる時点で、こっちは喧嘩売られたと判断してんだぜ、あぁ?」

 

「フン。真なる魔王の末裔である俺を、旧魔王などと呼称したその猿が悪いのだよ」

 

 本心から怒り心頭に燃えているシャルバの言い分に、朧は舌打ちを返す。

 

 そのわずかな会話で、この男が血統主義の上に無駄にプライドが高いことを把握できた。

 

 言葉は通じるようだが話は通じない。まず間違いなく、自分たちに都合がいい展開以外は聞く気もない手合いだ。

 

 そして、今の攻撃で朧たちがシャルバを倒せる可能性が低いことも察っすることができた。

 

 現段階で最大火力である、錬金術と各種魔法で補正までした大型HEAT弾頭。それをあっさりと防いだシャルバは、まず間違いなく自分たちより強い。

 

 普通に戦えば、勝ち目がない。

 

 それを五人全員が理解して、どうにか勝ち筋を見出そうとした、その瞬間だった。

 

「……一ノ瀬か? テメェ、マジで生きてるどころかキャラ変わってんじゃねえか」

 

 その言葉に、朧は反射的にターニャを叩き込む。

 

 声を聴いた瞬間に憎悪の感情を思い出した。しかもストレスが急激に溜まっているこの状態では、反射的に攻撃を叩き込んでも罰は当たらないだろう。

 

 だが、その弾丸は展開された十枚以上の障壁ではじかれる。

 

 そして弾丸が地面に落ちる甲高い音をきっかけに、その方向から一人の少年が現れた。

 

 ―それも、十人以上の自分と同じ姿の兵士を連れてだ。

 

 明らかに独立具現型の神器。それも、それなりに高水準なものだ。

 

 その事実に警戒の度合いを高めながら、朧は怒声を上げる。

 

「てめえ、なんでここにいやがる、瀬間ぁ!!」

 

「決まってんだろ? 地球侵略の前準備から帰ってきたんだよ、一ノ瀬ぇ!!」

 

 朧の怒声を気持ちよさそうに受け止めながら、瀬間喬樹は楽しそうに哄笑をあげた。

 

 瀬間喬樹。二年A組のクラスメイトにして、朧相手にマウントを取っていた不良。

 

 その瀬間が、平然とした表情でシャルバに視線を向ける。

 

「シャルバさんよぉ? こいつは俺に殺させてくれねえか? マジでむかつくから始末したかったんだよ。殺し損ねたってのもマジでむかつくからさぁ、頼むぜ?」

 

「……まあいい。こんな猿をわざわざ殺せば、ベルゼブブの名に傷がつきかねないからな」

 

 シャルバはそういって瀬間に譲るが、しかし、それだけで状況を理解することができた。

 

 瀬間は、自発的にシャルバに協力している。

 

「瀬間君!! あなた、こいつらがなにしようとしているかわかってるの!?」

 

「決まってんだろ、八重垣先生よぉ! 勝ち組になる手段ができたから、勝ち組になるってんだろぉ?」

 

 そうあざけるように宝珠の叱責を切り返すと。瀬間は楽しそうに嗤う。

 

 その様子を見るだけで、宝珠も渡も自分の失態を察することができた。

 

 瀬間喬樹は不良だった。彼は、朧を意図的に殺そうとした疑いがある。

 

 だが、そんなことがかすんで見れるぐらいの、危険性を喬樹は隠し持っていた。

 

 間違いない。場合によってはこの男は、清栄町に住んでいた時点で朧を殺していた可能性すらある。

 

「……瀬間君、わかってるの!? この人たちは、地球を襲おうとしてるんだよ!? 私達のお父さんやお母さんだって、何されるかわからないんだよ!?」

 

 弥左がそう問いただすが、その言葉に瀬間は嘲笑を浮かべる。

 

 おまえは何を言っているんだとでも言いたげなその表情に、誰もが寒気を感じた。

 

「……おいおい、そのオッサンは地球から通信してるんだろ? だったらもう手遅れだって、知ってるんじゃねえか?」

 

『……あ? 何言ってやがる、てめえ?』

 

 急に話を振られたアザゼルが怪訝な表情を浮かべた、その瞬間だった。

 

『アザゼル様!! 大変です!!』

 

 映像から見えないところで、堕天使と思しき男性が大声を張り上げる。

 

 そのただならぬ声色に渡たちは嫌な予感を覚え、そして喬樹は愉快そうに笑い―

 

『……清栄町に、西洋風の鎧を付けた暴徒が千人以上現れて暴動を行ったそうです。清栄町の住民は、ほぼ全員が惨殺されたと……!』

 

 その言葉に、渡たちは絶句した。

 




勿論エルルはシャルバではございません。禍の団は小物の集まりですが、それを抜きにしても戦闘能力でもカリスマ性でも雑魚いシャルバではここまでのことはできないです、ハイ。
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