異世界に勇者召喚されたと思ったら、異世界の侵略から地球を守る戦隊ヒーローになった件について。   作:グレン×グレン

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……感想、来ないなぁ( ;∀;)


4話 事態急変

 

 それから一夜明け、イーンは清栄学園二年A組の生徒たちを呼び出した。

 

 既に実戦経験がある、勇者のリチャードは此処にはいない。

 

 彼は自身の力を示し、そして積極的に大陸の端にある魔獣達が乗り上げてくる海岸へと向かっていた。

 

 生徒たちは訓練を積んだうえですぐに追いかけたいという様子だったが、イーンはしかしそれを押しとどめるように話し始める。

 

「……ここまでの訓練をよく乗り越えましたわ。次からは、実践訓練を経験してもらいます」

 

「よし! ついに俺たちもリチャードと肩を並べんだな!?」

 

 手を打ち付ける猛に、イーンはしかし苦笑を浮かべると首を横に振る。

 

「いきなり闇大陸の魔獣は危険ですから違います。まずは、トリアーチュル遺跡というところに向かってもらいますわ」

 

「ええー?」

 

「もう大丈夫ですって、私達めちゃくちゃ強いじゃないですかー」

 

「でもダンジョンってRPGっぽいよねー」

 

「ちょっと面白そうだな」

 

 などと生徒たちが思い思いに告げる中、額に手を当てるのは渡と宝珠。

 

 視線が合うと、お互いをいたわるような感情を向けてしまう。

 

「……心中お察ししますわ」

 

 イーンはそういうが、それはその二人を見たからの言葉である。

 

 とはいえ、生徒たちは「まだ戦場で活躍できない」という同情だと受け取ったらしく、けげんな表情は浮かべなかったが。

 

 それをあえてスルーし、イーンは簡単に説明をする。

 

 トリア―チュル遺跡。それは全五十層からなるといわれている大迷宮。

 

 一階層の広さが町にも匹敵し、それが五十もある極めて広大な遺跡。

 

 この遺跡は、冒険者や傭兵、新兵の訓練によく使われている。

 

 それはこの迷宮が、階層が不覚になるにつれて強力な魔物が出現することが理由の一つ。更にもう一つの理由として、遺跡に出現する魔獣の何割かから、亡骸から魔法の道具の材料に使える素材をとることができるからだ。

 

 深く潜れば闇大陸の魔獣すら超える魔獣が出てくることもあるが、そのぶん鉱石は強力なものが取れる。逆に浅いところなら大したことのない鉱石しか取れないが、逆にそれほどの危険はない。

 

 難易度が階層と直結しているため、目安が設けやすい。これにより、訓練場としてはすさまじく有効なのだった。

 

 この世界は魔法の道具を中心として文明を起している。そういう道具の材料となるものを算出する意味でも、非常に重要な地域として運用されている。

 

 とはいえ、そのトリアーチュル遺跡だが、数年前から謎の霧が発生して最下層部には行けなくなっているらしい。現段階でいけるのは、せいぜい三十階層程度だ。

 

 そして、今回試すのは十階層程度。あくまで実戦訓練程度である。

 

 すでに優れた戦闘能力を発揮している大半の生徒たちは、すぐにでも本格的な実戦に参加したいと息巻いていた。

 

 とはいえ、それでも王都周辺しか知らない生徒たちからすれば、異世界の新たな場所を見ることができるのである。割とテンションが上がっていた。

 

 だがしかし、これは危ない兆候かもしれない。

 

 なにせ、ここから本格的に命懸けの戦いを行うのだ。

 

 イーンたちは、万全を期して安全確保を行ってくれるだろう。いきなり深い階層迄いかないことがその証明だ。

 

 だがしかし、それも参加する生徒たちがこう遊び半分では危険だろう。

 

 そもそも実戦は何が起こるかわからない。誰が死ぬかなど想定する方が難しいのが、実戦である。

 

 ……これは、かなり本気を出して共に行動するべきかもしれない。

 

 渡と宝珠はそう判断し―

 

「なお、このトリアーチュル遺跡での実践訓練に参加するのは、祝才持ちだけですわ。……祝才もなく一月程度の訓練しかしていないものを送り込めるほど、トリアーチュル遺跡は甘くないものですから」

 

 ―いきなり、躓いてしまったわけだが。

 

「なんだ、墜落天はいかねえのかよ」

 

「それは仕方ねえだろ? だって墜落天は祝才ないんだからよ?」

 

 速攻で火山と水野が馬鹿にしてくるが、渡は一切、意に返さない。

 

 教師としては説教する立場の宝珠も、それを意識したりはしない。

 

 言われてみればその通りだ。渡も宝珠もややこしい立場であることもあって、祝才がないのをいいことに訓練をうけてはいない。

 

 へたに訓練して正体がばれるとさらにややこしくなると判断したからではあるが、それゆえに少し不安になる。

 

 ……この遊び半分のテンションの生徒たちが、実戦の不確定要素で何かあるのではないかと不安になったりはするのだ。

 

 とはいえ、うかつに悪目立ちをしてややこしいことになるわけにもいかない。

 

 来る可能性は低いが、救援を待ってから行動を開始する。それが渡と宝珠の結論なのだから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして二年A組の生徒たちがトリアーチュル遺跡に向かって、二週間がたった。

 

 大陸の南部にあるらしく、陸路を使っていくため時間がかかるのだ。王都は因みに中央部にある。

 

 故に渡たちはそれを待っているしかできないわけだが、しかしやることは多かった。

 

 何もしないわけにはいかないと自発的に作業の手伝いなどをしながら、そして目を盗んでは情報収集を行う。

 

 そこでわかったのは、この世界のいびつさだった。

 

「……なんていうか、魔法技術で文明がそこそこ発達している割には、空飛ぶ能力とか海渡る技術とかが発達してないのよねぇ」

 

 宝珠がそうぼやきながら、怪訝な表情を浮かべる。

 

 そこに関しては渡も同意見だった。

 

 この世界、どうも地球と比べると技術水準がおかしいというか、いびつな気がする。

 

 魔法理論によって、建物の高層階ですら水洗トイレが利用できる。値は張るが冷蔵庫なども似たようなものが存在している。

 

 魔法そのものもすさまじい。癒しの力を魔法で使うことができるがその証拠だ。

 

 癒しの力はそれだけですさまじい価値を持つのが、地球の周辺である。地球の異能で癒しの力というのは、すさまじい才能なのだ。

 

 にもかかわらず、クリフォー×クライシスでは練習すれば程度は低いが割と習得できる代物である。

 

 真白が得た祝才の治癒術士に至っては、骨折を一時間もかけずに治すことができる。ほかにも数名は存在する、すさまじい能力だ。

 

 にもかかわらず、移動に関してはすさまじく低い。

 

 地球の魔法体系なら、飛行魔法や転移魔法は割とトレンドだ。とくに堕天使をはじめとして飛べる偉業は多いので、飛行魔法は戦闘をするものなら想起の段階で会得する必要があるレベルでもある。

 

 にもかかわらず、この世界では飛べる魔法の使い手が少ない。

 

 飛行船や飛行機も存在しない。気球やグライダーすらだ。

 

 回路に関しても小型の船が基本で、大型の帆船なども存在しない。

 

 それらすべてがエルルが必要な際に授ける禁忌とされている点も、疑問が残る。

 

「……あくまで地球から見た観点で、この世界の方がグラフにするとバランスがいいのかもしれませんが、なんというか気になりますな、八重垣先生」

 

「そうよねー。回復魔法が使える技術があるなら、飛行魔法とか簡単にできそうだけど……」

 

 そう首をかしげる二人は、周りの目を気にしながら悩みだす。

 

 もとより二人はエルルを信用していない。

 

 神が傲慢な行為をする逸話は数多い。今回も、そういうことなのかもしれない。

 

 だがしかし、異世界からクラス一つ丸ごと召喚するなどという手間をかけるより、神の祝福を与えてこの世界の人間を強化する方がはるかに楽な気がしてならないのだ。

 

 不安だ。どこまでも不安だ。

 

 リチャードはあっさりと勇者になることを納得した。是も疑問だ。

 

 唯一存在エルルは、聖書の神ではない。リチャード・西堂は、聖書の教えを信仰している悪魔祓いだ。

 

 もう少し揉めてもごねてもいいのである。にもかかわらず、あっさりと了承したのも気になる。

 

 クラスメイトは遊び半分な側面がある。

 

 勇者の仲間として選ばれた。そんな子供が夢見るような展開に、これが命がけの戦いであるという認識がいまだに足りていない。

 

 中荷闇僅も、生徒たちの行動を応援している始末だ。今も生徒たちの自慢話を貴族たちとしているらしい。

 

 彼が結果的に目くらましになっているからこそこういった行動ができるとはいえ、生徒想いといわれている中荷闇のこの杜撰というか考えなしというか、何かが足りてない行動には呆れている。

 

 経験こそろくにないとはいえ、命がけの戦いの心構えを教わっている渡と宝珠だけが、とても不安だった。

 

「イーンさんは気を使ってくれているみたいだから、ちょっとは安心だけど……」

 

「後は朧か。奴は結構地に足をつけて考えているから、比較的生き残りそうではありますが……」

 

 それでも、大半の生徒たちは遊び半分な状態だった。

 

 不安だ。どことなく、不安だ。

 

 そう思った、その時だった。

 

「あ、ここにいましたか! 大変です!!」

 

 血相を変えた使用人が、渡と宝珠を見つけると、駆け寄ってきた。

 

 その表情は蒼白で、一目で何か大変なことが起きたのだと、すぐにわかる。

 

「落ち着いてください、どうしました?」

 

 直ぐに立ち上がった宝珠に向かって、使用人は―

 

「……トリアーチュル遺跡で、イチノセ・オボロくんが最下層に転落したと」

 

 ……空気が、凍り付いた。

 




衝撃の展開。朧は果たしてどうなるのか!!









因みに次の話は朧視点で、具体的に何が起こったのかを説明します。
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