異世界に勇者召喚されたと思ったら、異世界の侵略から地球を守る戦隊ヒーローになった件について。 作:グレン×グレン
そしていったん城から出て、王都からも出た。
監視網などはしっかりあるが、その辺については調べがついている。
上空に関しては警戒網が足りていないので、ソコをついて飛んで脱出。そのまま地面に降りてから、バイクで移動した。
そう、バイクである。
「三ケツとか道交法違反しまくりだけど、なんか興奮しちゃう辺り先生は未熟よねー」
「まあ、この世界に道交法はないですから、緊急事態なのでいいでしょう」
「うん。ツッコミどころはそこじゃないんだけど」
のんきな事を言う宝珠と渡に、弥左はそうツッコム他ない。
バイクに乗るという真似をこの世界でしていることにも問題があるのだが、それ以上に問題がある。
具体的には、どこからともなく渡がバイクを出してきた事にある。
「あの、どうやってバイク出したんですか? っていうか、どこにしまってたんですか?」
「んー。説明すると長くなるけど、雑にまとめると墜落天君の異能だと思うわ、先生」
疲れ果てた弥左の疑念に、宝珠はそう答える。
そしてそれは正解らしい。渡は苦笑しながら頷いた。
「……説明前に一つ聞くが、咲花は私達の会話をどこから聞いている? それで説明に差が出るのだが」
「先生が墜落天君に怒鳴ったところから」
素直に答えると、宝珠が苦笑した。
「あー。あれは衝撃的すぎてねー」
「こちらの不手際なのでお構いなく。それでは、先ずは
そういって、渡たちは交互に説明を行う。
……まず弥左が驚いたのは、渡が人間ではなかった事だ。
厳密には人間の血が濃いのだが、その正体は堕天使。先祖返りで堕天使の血が濃くなったらしい。
とは言え人間としての血もあり、それが神器という異能をもたらした。
神器。それはリチャードが悪魔祓いとして信仰している、聖書の神が作り出した異能だそうだ。
歴史上に名を遺した偉人達の多くがそれを模ているとされており、いわゆる天才という類はこれを持っている事が多いそうだ。英語で才能をギフトと呼ぶのはそれが語源なのかもしれない。
とは言えそれは、頭の回転が速かったり、足が速くなったりする程度が基本だ。
しかし、どこの世の中にも例外は存在する。そして、そういうものに限って凄まじかったりする。
なかには戦車すら破壊する戦闘能力を得ることができる異能もある。
そして、渡が持つ神器は状況次第では強力になるものだった。
「
「割とレアな神器よねー。確か最近になってできたって、先生は悪魔祓いの座学で習ったわ」
そう相槌を打ちながら、宝珠は器用に最後部で立ちながら、苦笑する。
「因みに先生も神器持ち。結構出来るから安心ていいわよ」
そう茶化しながら、宝珠は空を見上げる。
幸か不幸か曇り空であり、ゆえに欲し明かりに照らされる事なく飛んで王都から出る事ができた。
そして、宝珠は少し寂しげな表情を浮かべる。
「ごめんね、先生が正体明かしてたら、少しはどうにかできたと思うんだけど」
そう言いながら、宝珠は目を伏せる。
「……先生、ちょっと怯えてたの。力を目立つ形で使うのとか、正義の為に使うとかって感じのに」
「え……?」
弥左が疑問の声を上げると、宝珠はそれを促しにして、静かに告げる。
「先生さ、教会の教えが本当に正しいのか分からなくなってるの。だから、西堂君に正体明かすの、躊躇しちゃった」
そう告げる宝珠の目は、どこか遠くを映し出す。
そして、宝珠は語り出した。
先生は、信徒の両親のもとに生まれて、産まれた時から聖書の教えと共に生きてきたの。
親戚も大半が信心深くて、そんでもって教会の仕事についてたわ。その流れで、私も悪魔祓いの育成機関で働いてた。
そして神器もあって天才とか言われて、そのまま悪魔と戦う事になるんだと思ってた。
そんな時、親戚の一人が死んだの。
目標だった。彼みたいに、私も正義の味方みたいに生きようって思ってた。
……その彼は、教会に粛清されたわ。
担当地区で教会と睨み合っていた悪魔と、ガチ恋愛したそうなのよ。
名前はよく知らないけど、悪魔の中でも政治に関わる事もある貴族。ソロモン72柱っていう、オカルト的には有名なところね。たぶんだけど、一ノ瀬君なら知ってるんじゃないかな?
先生、それから本当に悪魔や堕天使を倒す事が正しいのか、分からなくなったんだよね。
だって、正臣さんは絶対に悪い人じゃない。そして、そう簡単に騙されるような人でもない。
そんな彼が愛した人が、悪い人なんて思えなかった。
それに、たぶんこれ有ってると思うのよ。ほら、堕天使の墜落天君はすっごいいい子だし。
だけど、その所為で一ノ瀬君は大変な事になった。そして、たぶん死んでる。
……けじめはつけないといけない。だから、先ずは一ノ瀬君の生死をしっかり確認するの。そのうえで、しっかり皆に頭を下げる。
そこから始めなければ、きっと先生はずっと宙ぶらりんのまんま。
……それが、私が向かう理由ね。
その宝珠の独白を聞きながら、弥左はどう言ったらいいか分からなかった。
十二歳という年齢の時、自分はそんな事など考えた事もない。
命がけの戦いの為の訓練なんてした事がない。それが当たり前だと思うだなんて、信じられない。
そして、それが一気に崩れ去るような経験なんて、それこそ今頃になって初めて経験した。そしてそれも、普通ならあり得ない出来事だったはずなのだ。
なんと言えばいいのか、分からない。
わからないが……。
「でも、先生は私達の味方ですよ」
少なくとも、それは言うべきだ。
だってそうだろう。
彼女は確かに慎重なのか臆病なのか分からない行動をしていた。
だが、今後の事を考えた。そして、生徒達のよりよい先を曲がりなりにも得ようと動いた。その為に、色々と調べてくれていたはずだ。
だから、これだけは言える。
「大丈夫です。私、先生のこと嫌いになんてならないですから」
「……やば、先生感動で泣きそう」
凄まじく心にしみわたったらしく、本気で宝珠は涙ぐんでいた。
そして、運転していた渡はそれに苦笑する。
「……人に歴史ありとはよく言ったものです。八重垣先生のドロップアウトにそんな理由があったとは」
「あ、ただ殺し合いにビビっただけだと思った? そんなだったら賞金稼ぎなんてしてないでしょうに」
「いえ、単純に欲に堕落したのかと」
「運転中じゃなかったら殴ってるわよ?」
間に挟まれている身としては、凄く不安になる会話になってきた。
やはり本来敵対している立場な為か、どうも会話に棘が混じる事もあるらしい。
とはいえ、ここで事故を起こされたらたまったものではない。なんとしても自分が納めねば。
「そ、そういう墜落天君はなにか過去とかあったりするの? 年齢、私と同じなんだよね?」
「そうだな、私も色々あるわけだ。……いい機会だ、少し昔語りをしよう」
そして、今度は渡が過去を話し始めた。
堕天使とは言っても、私は純粋な堕天使ではない。
……隔世遺伝、もしくは先祖返りという言葉は知っているか? 先祖の特性が数世代跨いで急に発現する事を指す。
私はそういう類でな。曽祖父の代から人間だったのだよ。
調べてみたが、千年以上前に日本に行った堕天使が私の堕天使の血の根源だ。残念な事に、三大勢力の戦争で既に戦死されているのだがね。
まあ、そんな事もあってか私は普通に一般人として育てられた。というより、経緯が経緯なので両親も異形については何も知らなかったはずだ。
……とはいえ、世の中には異能や異形など関係なく理不尽な悪意というものがいくらでも存在する。
何の因果か、私の人生の転機も八重垣先生と同じだ。12歳の頃だったよ。
言葉にすれば簡単だ。……強盗殺人だった。
目の前で刃物を突き立てられる両親の姿と、それを見て金を奪い取れると舞い上がっている屑共を見て、私は頭が真っ白になった。
気づけば、そいつらの身体の骨を打ち砕いている自分がいた。
その後、たまたまその町が堕天使の縄張りだったこともあったので、私は堕天使に保護されたんだ。その結果、私が堕天使の先祖返りであることが判明して、そのまま堕天使の世話になる事になった。中学時代の教育もそこで受けたともさ。
だからだろうな、理不尽というか、向けられなくていい悪意に対してどうしても怒りを抱くのだ。
それが許せないから、私は一ノ瀬を庇ったわけだ。一ノ瀬にも問題はあるから嫌われるのは仕方ないが、積極的に人を害しているわけでもないのに、迫害されるのは黙っていられん。
まあ、情けない話だが半分ぐらい自分の為だ。トラウマの逃避とも、過去の再現の拒絶とも言ってもいい。
……ああ、今迄の私の行動はまさにそれだった。
結局は自分本位だった。だから、あの段階で自分の正体を明かす事を躊躇い、そして消極的な対応しかできなかった。
むろん、それ相応の理由はある。避けるべきリスクを避けたことまで否定はしない。
だがしかし、それでも一度どうにかすると決めた事を、どうにかする事に対してあまりに真摯さが足りなかった。
……一ノ瀬が死んだかもしれないと言われて、私は本心から衝撃を受けたよ。そして、奴を貶めた者がいるかもしれない事が許せない。
これが、自分の為なのか一ノ瀬の為なのかは分からない。それが実に情けないがね。
だがそれでも、私はこれにけじめをつけるべきだ。
情けなくとも、逃避であろうと、先ずはそこから始めたい。
それが、嘘偽りのない本心だよ。
「……大丈夫だよ、墜落天君」
その話を聞いた弥左は、そう告げる。
大丈夫だ。墜落天渡という少年は、少なくとも自分が思っているほど自分本位の人間ではない。
よしんばそうだったとしても、自分よりはマシだ。
「私は、ちょっと怖かったから何もしなかったもん」
「いや、私はどうにかできる力があったからこそできることでな」
渡はそう反論するが、しかしそれは違う。
「ううん。どうにかできるとじゃなくて、どうにかしたいと手を差し伸べられる。それができるだけでも凄いと思う」
「そうね。墜落天君は立派だと思うわ」
うんうんと、宝珠はそう言って弥左に同意する。
「できるのと実際にやるのはまた違う。悪魔祓いの訓練施設でも、悪魔と戦える力を手にしたけど悪魔と戦う直前になって怖気づく人とかいっぱいいたもの。実際に行動できるのは、それだけでも凄いのよ?」
そういいながら、宝珠は一本指を立て、それを弥左の後頭部に当たる。
「でも弥左さんも自制できるだけ凄い。君達はまだ子供なんだから、未熟があっても沈みすぎたら駄目よ? だってまだ未熟で当然なんだから」
「「………あ、はい」」
なんというか、含蓄のある言葉に二人はそう返答するしかない。
八重垣宝珠、確かに彼女は教師であった。
そんな酷い感想を抱かれている事に気づかず、宝珠は静かに視線を前に向ける。
まだ見えていないが、きっとその先にトリアーチュル遺跡がある。
生きているのかは分からない。というより、確実に絶望的な状況だ。死んでない方がおかしいだろう。
だが、それでもそれをしっかりとこの目で確かめなければならない。
その決意と共に、三人はトリアーチュル遺跡へと向かう。
「まあ、三人一緒にけじめを付けましょう。できる事なら、四人で脱出ってのが理想だけどね」
「「はい、先生!!」」
その言葉と共に、三人はトリアーチュル遺跡へと向かっていった。
まあ、D×D原作を読み込んでおられる方ならわかると思いますが、八重垣正臣の親族なのが宝珠です。その件もあって、彼女の覚醒回の一つは間違いなくファニーエンジェル編になる予定です。
そして渡は渡で結構ハードな生まれ。自分、ハードな展開とカにどうしてもなってしまう悪癖がありまして……。
しかし感想が来ない( ;∀;)
やはり題名で人が来ないからか。ペンネームを隠しているから自分のところの常連さんが来ないのか……!
書きまくってるけど欲求に負けて新しいの書いちゃったから念のため隠してたけど、やはりここは開き直って正体を明かすべきか……! そして題名は最低限あかせるところが進んでから最近のラノベのトレンドでいくべきか……!