五等分の勇者の混沌記   作:藤林 明

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普段怒らない人をキレさせたらアカン

四葉「……ん、んんっ…んぅ…あれ?」

 

朝、四葉は宿屋で借りた自身の一室のベッドの上で目を覚ました。

 

四葉「…あれ?…私は…確か…っ!?」

 

段々と意識がはっきりしていくなかで、気付く。――今、何時だ?と。

そして窓の方に意識を向けて、気付いた。

 

四葉「もう朝!!…って事はっ!?」

 

あの事件は確か朝発覚するはず。つまり

 

四葉「岩谷さん!?」

ガチャッ

 

四葉「そ…そんな…っ!」

 

尚文の部屋へと行くも、そこには誰もおらず、荷物すらも無かった。

怖くなった四葉は宿屋の店主に聞いた。

 

四葉「すみません!!私と一緒に泊まった連れがいないんですけど何か聞いてますか?!」

 

宿屋の店主「うおっ!…誰かと思ったらあの兄ちゃんの連れか。…あの兄ちゃんは朝早くに城の兵士に連行されてったよ。何でも、もう1人の連れに乱暴働いたらしくてな」

 

四葉「!!」

 

宿屋の店主「…まぁ、あの兄ちゃんの事は忘れて…」

 

四葉「ありがとうございます急ぎますので失礼します!!」

 

店主の言葉も話半分にして四葉は荷物(自室に隠していた剣と盾)を回収した後、急いで城へと向かった。

 

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一方、四葉が城へと急行している中、城の謁見の間では理不尽な糾弾が行われていた。

 

尚文「そうだ! 王様! 俺、枕荒らし、寝込みに全財産と盾以外の装備品を全部盗まれてしまいました! どうか犯人を捕まえてください」

 

王「黙れ外道!」

 

尚文「!」

 

王「嫌がる我が国民に性行為を強要するとは許されざる蛮行、勇者でなければ即刻処刑物だ!」

 

尚文「だから誤解だって言ってるじゃないですか! 俺はやってない!」

 

二乃(ちょっと!四葉はどうしてここに来てないのよ)

 

五月(わかりません。昨日の会議では徹夜で見張るって言ってましたが…)

 

三玖(四葉がこんな時に寝坊するはずない。多分)

 

一花(あの女に何かされた可能性が高い!…ごめん、皆。私あの女の事甘く見てた)

 

風太郎(いや、一花が悪いわけじゃない。切り替えて次の手を考えよう)

 

一花(フータロー君……)

 

姉妹と風太郎が小声で会話している中、王と尚文(一応錬や樹、元康も)との会話は続いていく。

 

王「こんな事をする勇者など即刻送還したい所だが、方法が無い。再召喚するには全ての勇者が死亡した時のみだと研究者は語っておる」

 

勇者3人「……う、嘘だろ……」

 

尚文「このままじゃ帰れないだと!ふざけやがって!」

 

王「…………」

 

尚文「で? 王様、俺に対する罰は何だよ?」

 

王「……今のところ、波に対する対抗手段として存在しておるから罪は無い。だが……既にお前の罪は国民に知れ渡っている。それが罰だ。我が国で雇用職に就けると思うなよ」

 

尚文「あーあー、ありがたいお言葉デスネー!」

 

ドンッ!!!

 

そんな喧騒を一瞬で鎮めたのは

 

一花・風太郎「四葉!?」

 

四葉「…………」

 

大きな扉を蹴り開けた中野家の四女・四葉だった。

 

王「……なんのつもりだ?」

 

四葉「……なんのつもり、だと……?」

 

王の言葉に答える四葉の手には剣と盾が握られており、ゆっくりと玉座へと進む四葉からは他の姉妹が見た事も無いような雰囲気が感じられた。

 

四葉「あんたが、私の大事な人に濡れ衣着せようとしてるのを止めに来た事が、なんのつもり、だと…?」

 

一花「よ、四葉…?」

 

四葉「…ごめん皆。私がポカしたせいでこんな事になっちゃって。……岩谷さんも、ごめんなさい」

 

尚文「四葉……お、お前は信じてくれるのか…?」

 

四葉「当たり前じゃないですか…私は、あなたのパートナーですよ?そんな私が、岩谷さんの事を信じない訳無いじゃないですか…」

 

そう言って、四葉は尚文に笑顔を向け、そして

 

四葉「例え、ここにいる全ての人間を殺すことになったとしても…姉妹を手にかけることになったとしても、…私は、あなたの味方です」

 

そう言い切った。

 

尚文「四葉……ありがとう」

 

四葉「いえいえ。むしろ、こんな状況にしてしまってすみませんでした。…さて」

 

尚文から視線を王へ向けた四葉は、先ほどと一変して鋭い表情で睨みつけた。

 

四葉「この騒ぎの落とし前、どうつけてもらいましょうか…ねぇ、王様?…いや、マルティ王女?」

 

マイン「!?」

 

そして持っていた剣を王からマイン––もといこのメルロマルクの第一王女、マルティ=メルロマルクへと向けて言い放った。

 

尚文(マインが王女…という事はあの長女の言う通りだったのか……くそっ。てことは俺はただの道化じゃねぇかよ…)

 

マルティ「……何処から気づいていたの?」

 

四葉「最初、一花から話を聞くまでは何かわからなかったけど…あんた、ずっと勇者の皆さんを見てましたよね?」

 

マルティ「なっ!?」

 

四葉「視線が丸分かりでしたよ。…まぁ、そっちも私がずっと監視してる事に気づいてたみたいでしたけどね。まさか、不意打ちされて朝まで気絶させられるとは思いませんでしたよ」

 

マルティ「…………」

 

四葉「さて、話はもう終わりです。こうなってしまった以上、アンタを生かしておく訳にはいかないので…」

 

そう言って四葉は満面の笑みを浮かべながら宣言した。

 

四葉「アンタをこの場で殺しますね?悪の王女様♪」




温厚な性格の人程大切な人の為に堕ちやすい。
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