五等分の勇者の混沌記   作:藤林 明

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長くなり過ぎた…
分ければ良かった…


三勇者一行の今日

剣の勇者、弓の勇者、盾の勇者。そして魔導書の勇者がメルロマルクの城から旅立ち、錬が東へ、樹は北へ。そして風太郎は西へと赴き各々レベリングを行った。

ちなみに元康一行は南へ向かったという情報は流れて来ていた(何故かわからないが中野家の面々が持つスマホだけは使えた為一花が二乃へと連絡してわかった)のでとりあえずバッティングすることは無いだろう。

そして尚文と四葉は、四葉の提案で奴隷商の所へ行き、そこで亜人奴隷の少女<ラフタリア>を購入してその日は城下近くの広場(キャンプが出来そうな位の広さがある川辺)にて野宿をした。

 

今回は三勇者のパーティの城を出てから翌朝までの間について、ここに記す…。

 

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先ずは剣の勇者一行へと視点を当てる。

彼らは城を出てからずっとレベリングに勤しんでいた。

勿論、錬のパートナーである一花もレベリングに参加していた。

そして、その日の夜…

 

一花「ふぅ…やっぱり慣れてないと疲れちゃうねー」

 

錬「…とか言って、俺よりも手馴れてるじゃないか」

 

一花「いやいや〜、それほどでも〜…なんてね。本当は君をイメージして動いてただけだよ」

 

錬「フン…そういう事にしておこう」

 

一花(あ、ちょっと嬉しそう…)「素直じゃないなぁ」

 

錬「…なぁ」

 

一花「ん?」

 

錬「お前は…一花は、俺たちの未来を知ってるんだろ?」

 

一花「……まぁ、それなりには」

 

錬「…なら、未来の俺たちがどうやって強くなったのか教えてほしい。俺は…強くなりたいんだ」

 

一花「…………」

 

一花は考える。

確かに自分はこの先の未来をある程度は知っている。…だが同時に未来を話す事で未来が変わってしまうというリスクがあるのではないかと。

だが一花は決めた。自身のパートナーの想いに応えようと。何故なら

 

一花(…フータロー君と同じ声に聞こえるレン君の為に何かしてあげたくなっちゃうなんて…悪い癖ってわかっててもやめられない辺り私も重傷だね…)「…良いよ、教えてあげる」

 

錬「助かる!…それで、先ずは何をすれば良いんだ?」

 

一花「まずはね––」

 

その日の夜、一花と錬は寝ずに強化方法の話をし続けた。

朝日が昇ってくる頃、二人はようやく徹夜した事に気付き仲間からあられもない疑いを向けられてしまうがそれはまた別のお話…。

 

@@@@@@@

一方、弓の勇者一行は適度なレベリングを行い、夜は親交を深める為の宴会をしていた。

 

「イツキ様。今日も一日お疲れ様でした」

 

樹「はい、皆さんも今日は一日お疲れ様でした。今夜は親睦を深める意味も込めて、このひとときを楽しんでください」

 

「はい!」

 

〜〜〜

 

五月「…………」

 

樹「中野さん、こちらにいらしたんですね」

 

それなりの時間が経った頃、宴会をしている酒場のテラス席で一人食事をしていた五月の元へと樹は来ていた。

 

五月「川澄君、その年齢でお酒を飲んではいけませんよ…って、ここは異世界なんでしたね…」

 

樹「そうですね。本来なら僕も未成年なのでお酒は良くないとは思いましたが、せっかく異世界へ来たんですし楽しまないとって思いましてつい…」

 

五月「…楽しむ、ですか…」

 

樹「……中野さん、皆さんと別れてからあまり元気が無い様ですが、何か心配事でもあるんですか?」

 

五月「…心配、といえば確かに心配ですが…あまり、姉妹達と離れてた事が無いので不安があるのは確かです」

 

樹「皆さんとても仲好さそうですからねぇ…」

 

五月「はい。…とは言え、割と最近かなりの大ゲンカをしましたけどね」

 

樹「えっ!?…想像出来ませんね。どんな感じだったんですか?」

 

五月「そうですね…あれは丁度期末試験前くらいの頃になりますが––」

 

そうして語ったのは試験期間中にあった二乃と喧嘩をして家出した話だった。また、この件が和解済みである事も併せて話したのである。

 

樹「……そうだったんですか…」

 

五月「はい。なのでいくら仲のいい姉妹とは言え喧嘩をする事は割とあるものなのですよ」

 

樹「…僕は、ひとりっ子だったので喧嘩出来る姉妹がいるのは羨ましいですよ」

 

五月「……そうですね…もし、私が川澄君と同じ状況だったらそんな感想を漏らすかもしれませんね」

 

樹「……ですが、元気の無い理由は姉妹が心配だからというだけでは無いのではありませんか?」

 

五月「!…流石に気付かれてましたか」

 

樹「まぁ、僕は弓の勇者なのでどうしても後ろから皆さんを見る形になりますからね」

 

五月「…すみません。気を遣わせてしまいましたね…」

 

樹「いえ、それは構いませんよ。…それに、あなたに何かあったらあなたのお姉さんに殺されちゃいますしね」

 

五月「……そうですね。二乃ならやりかねませんし、皆さんの足を引っ張らないようにしつつ無事に波まで生き延びなければいけません。…なのでご相談なのですが…」

 

五月が相談した内容は自身の立ち位置…戦い方についてだった。

仲間のほとんどが前衛職なので自分も魔法使いとして後衛で戦いたいというもの。

勿論樹も二乃の件があったのであまり前では戦わせたくなかったので二つ返事で了承した。

 

樹「––では中野さんは明日から僕と後衛をやるという事で皆さんには僕から言っておきますね」

 

五月「いえ。出来れば私からも話したいので明日の朝食の席でお伝えしてもいいでしょうか?」

 

樹「…中野さんがそう言うなら僕はそれで構いませんよ」

 

五月「ありがとうございます」

 

樹「では、僕はもう少し中で皆さんと交流して来ますので、中野さんも気が向いたら入って来て下さいね」

 

五月「はい」

 

こうして、彼らの夜は更けていった。

…この2人のシーンを快く思わない1人の男がいたが、それはまた別のお話。

 

@@@@@@@

槍の勇者パーティの一行は、レベリングもそこそこに早い段階で宿を取って各々の過ごし方をしていた。ちなみにマインは、二乃の圧力に負けて仲間の女性陣を連れて近くの温泉へと行っている。

そして、元康以外の唯一の男である細剣使いは街へ着くなり一人で酒場へと行っており、現在宿の部屋には元康と二乃しかいない。

 

二乃「……元康」

 

元康「おいおい…そんな怖い顔しないでくれよ。俺は言われた通りマインの言う通りにはしてないだろ?」

 

元康の言う通り、今の二乃は普段よりも険しい表情で元康の事を睨みつけている。

 

二乃「……確かに、アンタは間違って無かったわ。…四葉の怒り方からして多分アタシ達との話し合いの内容を忘れてる可能性が高いし」

 

元康「だ、だよな!」

 

二乃「けどねぇ!アンタは勇者だからって1人で戦い過ぎなのよ!!少しは仲間を頼りなさいよ!」

 

元康「そ、それは…お、女の子に前に出て戦わせるなんて男の風上にもおけないじゃないか!」

 

二乃「…確かに、アンタが何もしないでアタシ達にだけ戦わせてたらそうね。けど!アンタは前に出て戦ってるじゃない。ならそれをサポートするくらいはさせなさいよ!!」

 

元康「!!」

 

二乃「……今は仮にもパートナーで仲間なのよ…」

 

二乃が元康へ怒っていた理由。それは、元康が何から何まで全部独りで動いていたからである。

城での展開も、本来なら自分と元康の2人で四葉や王を説得してマインをこのパーティで監視する予定だったが、あろう事か元康は四葉のヘイトを自分へ向け、あまつさえレベリングの際は元康が独りで戦闘を行うという事実上のソロプレイをした事にあった。

それは、家族を誰よりも大切に想う二乃にとってとても許せるものではなかった。

 

元康「……二乃ちゃん……俺は……」

 

二乃「…反省、してるならいいわ。…アタシはまだ言う程アンタに協力出来る能力なんて無いし」

 

元康「そんな事は無いよ!」

 

二乃「いいわ。別に慰めて欲しい訳じゃないし」

 

元康「二乃ちゃん…」

 

二乃「というか、その二乃ちゃん呼びやめてよ。普通に二乃でいいわ」

 

元康「あ、あぁ…わかった」

 

二乃「…ま、役に立てる様にアタシも頑張るから、アンタも頑張ってアタシ達を頼れる様になりなさい。…尤も、あの男以外で役に立ちそうな奴は居るか怪しいけどね」

 

元康「……それは、一花ちゃんの言ってた未来の話か?」

 

二乃「…それもあるけど、さっきのアイツら見たら期待なんて出来ないでしょ?」

 

元康「それは…まぁ…」

 

二乃「とにかく、アンタはアイツのペースにならない様に気をつけなさい。…レベルを上げるのも大事だけど、一番は戦った数が重要だって事を忘れない様にね」

 

元康「…わかってるよ。じゃ、俺も少し外に出るわ」

 

二乃の説教に耐えきれず外出しようとした元康。しかし

 

二乃「待ちなさい。ならアタシもついていくわ」

 

元康「なっ!?」

 

二乃「アタシの目的はアンタを監視する事よ。独りで出掛けさせないに決まってるでしょ?」

 

二乃は姉妹との約束を守る為同行する旨を告げた。

そんな二乃に対して元康は大胆な事を言い放った。

 

元康「…じゃあ、寝る時も同じベッドで同じ部屋で過ごすって事か?」

 

二乃「!……えぇ。必要とあらばそうするわ」

 

元康「!?」

 

元康は驚いた。まさか異性と同じ寝室で寝るという事に肯定されるとは思ってなかったから。…そして二乃からのカウンターを受ける事になった。

 

二乃「実際、まだ何も役に立ってない以上何かしないとアンタにばかり要求して束縛する事になるでしょ?…だからまぁ、戦闘に参加出来る様になるまではその…い、一緒に寝てもいいわ」

 

元康「!?!?」

 

二乃「…元康?おーい…」

 

元康「」

 

二乃「……はぁ」

 

こうして、元康は二乃によって撃沈され、翌朝まで目を覚まさなかった。

…いくら女慣れしている元康と言えど、流石に刺激が強過ぎた様で、翌朝目を覚ました元康が「あんなタイミングで言われるとは思わなかったよ」と苦笑いで二乃と会話しマインに嫉妬の感情を向けられるのだが、それはまた別のお話である。

 

@@@@@@@

最後に風太郎と三玖の2人についてだが、この2人は仲間をスカウトせずに自力でレベリングをすると初日に決めていたので進めるだけ進んだ先で狩りをしようと考えたが、体力が人並み以下なこのコンビは途中の村にたどり着いた段階で宿を取って休んでいた。

 

…もちろん、三玖にとっては2人きりというある意味では願ったり叶ったりな展開ではあるが、やはり体力不足プラス慣れない戦いで風太郎を守りながらという状況は、現状の三玖にはとても酷だった為着いてすぐに眠ってしまった。

 

風太郎「飲み物買って来たが何がい…い?」

 

一方、風太郎は魔法を使って後ろで戦っていたので比較的体力には余裕があった。

その為宿に荷物を置いてから近くの露店で飲み物を買って来たのだった。

 

風太郎「……まぁ、今日の三玖は色々と大変だったしな。ゆっくり寝かせるか」

 

風太郎は、買って来た飲み物を部屋のテーブルに置き三玖の眠るベッドの横に腰を下ろした。そして

 

風太郎「お疲れさん。また明日も宜しくな」

 

そう言って、三玖の頭を撫でた。

その後、椅子へと移動して自分の分の飲み物を飲みながら、初日に手に入れた魔法書をある程度読んでから眠りに就いたのだった。




本章はこれで終わりです。…少し駆け足ですがご容赦願えれば幸いです。
次章はついに第1回の波になります。
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