一方、野戦病院(仮)はというと……
「「うー…」」
「こ、こんなハズでは…」
二乃「はいはい…良いから大人しくしてなさい」
元康パーティの冒険者が呻きながら倒れており、樹パーティのリーダー格である重騎士は現状に対してありえないと悔しそうに呟いているのを二乃に流されている、という状況である。––勿論レベルが低過ぎるので当然の結果である。
ちなみに二乃はレベルこそ1桁(元康と同じ9)だが、魔法適正が回復だったので日頃から治療院の仕事を手伝ったりレベリングの際に回復役をしていたので練度は高かったりする。
二乃(……ボスのレベルが想像してたより高過ぎる…元康達じゃ話にならないのは確実。…けど分からないのは五月達のパーティがレベル低い事よ。あの女と元康は監視してたから何かしてたらアタシがわからない訳無い。…ならどうして…?)
樹パーティのレベルは平均して30程度である。
––ちなみに錬が50なので差は歴然だったりする。
二乃(……考えてても分からないわ。後で五月に聞いてみるか)
一花「二乃……」
二乃「一花!?」
考えに耽っていた二乃の元へ前線で負傷した一花が来た。
一花の負った傷は攻撃を受けた左腕の骨折と背中を強打した打撲、右脚の擦り傷となかなかの重傷であった。
一花「ごめん、しくじっちゃった」
二乃「待ってなさいすぐに治すから!––力の根源たる二乃が命ずる。真理を今一度読み解き、かの者の傷を癒せ––ツヴァイトヒール!!」
二乃が回復魔法を唱えるとたちまち重傷だった傷跡が綺麗さっぱり治った。
一花「…ありがとう二乃」
二乃「お礼は後にしなさい、今まともに戦えるのアンタと天木しかいないんだから…ってあ」
一花「?」
二乃「……フー君と三玖が来たこと伝えるの忘れてた…」
一花「……わかった、伝えておくね。フータロー君と三玖が来てるならレン君も大丈夫かな」
二乃「フー君なら変な陰謀には巻き込まれない…と思うし、三玖がいれば大丈夫でしょ。…まぁ別の意味で心配ではあったけど」
一花「それは私もだよ。なんせ2人とも体力無いからなぁ……のたれ死んでないかだけはお姉さん心配だったよ」
二乃「それは多分姉妹全員がそう思ってたと思うよ––ツヴァイトヒール」
一花「ありがと。もう大丈夫だから他の人をお願いね」
二乃「はいはい」
二乃に見送られる形で、回復魔法での治癒を終えた一花は前線へと駆け出したのだった。
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錬「ハンドレッドソード!!」
風太郎「ツヴァイトエアスラスト!!」
グオオオオッ!
主戦場ではボスと直接対決している錬、風太郎、三玖、樹、五月、元康の6人が、あと少しのところまで追い詰めていた。
ガオォォッ!!
三玖「させない!!––大盾!!」
次元ノキメラの突進を真正面から受け止める三玖。
この時発動した大盾というスキルは重攻撃を軽減し、受け止められる様にするものだ。
五月「三玖…いつの間にあんな強く…」
風太郎「関心してる場合じゃ無いぞ!ここで一斉に攻撃して終わらせるからな!」
五月「わ、わかってます!」
樹「では僕から!––––ウィンドアロー!!」
錬「紅蓮剣!!」
元康「ライトニングスピアー!!」
風太郎「ツヴァイトファイアストーム!!」
五月「力の根源たる五月が命じます。理を今一度読み解き、かの者に炎の玉を降らせよ––––ファストファイアボール!!」
ギシャアァァァァァ!!
錬「やったか!?」
樹「それより三玖さんは大丈夫なんですか!?」
風太郎「三玖なら問題ない。あのスキルがあるからな」
五月「あのスキル…ですか?」
風太郎「あぁ。…まぁ見てろ」
五月「?」
次元ノキメラへ一斉攻撃を仕掛けた勇者達だが、次元ノキメラを盾で受け止めている三玖を巻き込んでの攻撃だったので五月は心配になるも、風太郎は心配無いと言い切る。その理由は土煙が収まった際にわかった。
三玖「…………」
樹「!?」
元康「無傷だって!?」
そう。同じ様に攻撃を受けたハズの三玖は無傷で立っていたのだ。
––––次元ノキメラは今の総攻撃で絶命したのに。
風太郎「な?大丈夫だったろ?」
五月「……そう、ですね……」
一花「みんなお待たせ…ってあれ?終わっちゃった?」
三玖「今終わったところ」
一花「あ、三玖本当に間に合ってたんだ。…そっかー、お姉さんの活躍で華麗なる勝利を〜って思ってたんだけどな〜」
錬「一花!怪我は大丈夫なのか!?」
一花「あ、レン君!ごめんねー足引っ張っちゃって。私はこの通り大丈夫!二乃の回復魔法でね」
風太郎「へぇ、あいつが回復魔法ねぇ…」
三玖「失礼」
五月「それよりも三玖ですよ!あなたどうして無傷なんですか!?」
三玖「え?…あぁ。そういえば話してなかったね」
樹「僕も気になったので知りたいです」
元康「俺もだ。盾の勇者の尚文ならまだわかるけど、どうして三玖ちゃんが––」
三玖「モトヤスは黙って」
元康「あはい…」
三玖「…はぁ。じゃあ話すけど、無傷だった理由はスキル<プロテクション>を使ったからだよ」
五月「プロテクション?」
錬「魔法がモチーフのゲームではオーソドックスな防御魔法の名前だな。漢字にすると障壁と書く」
樹「それを三玖さんは習得してたから受けきれたと、そういう事ですね?」
三玖「うん。そうだよ」
風太郎「さて、ボスも倒したし、後は残った怪物を一掃すれば良いか?」
樹「えぇ、おそらくは」
風太郎「じゃ、とっとと片付けようぜ。俺は早く帰って寝たい」
こうして、最初の波はなんとか勝利という形で終結した。
次回は混成編