オルトクレイ王「……何の真似じゃ?」
風太郎「何の真似、とはご挨拶だな。心当たりが無い訳じゃないんだろ?」
城への通路で王と王女を止めた勇者達と中野姉妹の一花、三玖、五月。それに対して王は不機嫌さを隠さずに言うが、風太郎達は臆せず話し出す。
樹「王様。あなたはあなた自身の道楽の為にこんな見せしめみたいな行為を行いました」
錬「しかもその女が反則行為をしたせいで怪我人まで出た訳だが…この責任、どう取るつもりだ?」
マルティ「ちょっと!私は何もしてないわよ!変な言いがかりは––」
チャキッ
一花「悪いけどあなたは黙っててくれないかな?」
マルティ「ヒッ!?」
オルトクレイ王「マルティ!!」
マルティの発言を遮る様に一花は一瞬で回り込んで短剣を首元へ突きつける。
三玖「四葉が動いたのが、あなたが犯人である証拠」
五月「四葉は部活に力を入れてました。だから勝負事が正々堂々行われている限りは止めようとはしません」
風太郎「あの時、二階席の俺たちからは魔法は見えても犯人までは分からなかった。…だが二乃と四葉の視線が犯人が誰かを教えてくれたよ。入り口の隅から見える、アンタのその目立つ髪がな!!」
マルティ「なっ…!?」
錬「さ、これで言い逃れは出来ないぞ」
オルトクレイ王「き…貴様ら!この国の王女にその様な真似をしてタダで済むと思うなよ!!」
樹「…状況を本当の意味で理解していないのは、むしろあなたの方だと思いますが?」
オルトクレイ王「何っ!?…っ!!」
マルティを事実上人質に取られた状況でまだ自分の置かれた状況を理解してない王にため息混じりに樹がボヤく。
そして
オルトクレイ王「ぐおっ!」
三玖「……いい加減、あなた達の罪を認めて。…次は、外さない」
オルトクレイ王「おのれ…!––ぐあああっ!?」
王の態度に怒りが頂点に達した三玖が、ハンドボウガンを最初は顔を掠める様に。そして、次弾で肩を撃った。
マルティ「パパ!?…あ、あなた達何をしたのかわかって––」
一花「…………」
ザシュッ
マルティ「!!」
王に対し攻撃をした三玖へ糾弾するマルティに、首に突きつけた短剣ではなくもう一振り持参していた短剣で、腹部を刺す一花。
マルティ「ぐっ…あ、あなた…っ!」
一花「…アンタの暇潰し感覚で、うちの妹が死にかけたんだ。この程度の一撃、別に気にする程でも無いでしょ?」
マルティ「くっ…!」
オルトクレイ王「貴様ら!!勇者の分際でワシらを傷つけた事、万死に値する愚行だと思い知らせてくれるぞ…!!覚悟しておけぇ!!」
風太郎「…あ?」
全員「!?」
…その時、この場にいた全員が驚きに満ちた表情を浮かべていた。
そう。風太郎の雰囲気が唐突に変わったからだ。
風太郎「お前ら、さっきの話聞いてねぇだろ」
マルティ「さぁ…?何のことかしら?」
風太郎「…じゃあわかりやすく教えてやる––その気になればお前らをこの場で殺せる。そう言ってんだよ!!」
オルトクレイ王「むぅ…っ!」
マルティ「ヒィッ!?」
風太郎が魔力を向けながら凄むと、王族2人は怯んだ。
錬「……王。これは警告だ」
オルトクレイ「…な、何?」
樹「今後一切、尚文さんを含め僕たち勇者にちょっかいを出さないでください。もちろんマインさんも」
五月「もし、あなた達がまた卑怯な手を使ったら」
三玖「その時は」
マルティ「…………」
一花「どうなるか、わかるよね?王女様?」
グイッ
マルティ「ぐひぃ…っ!!…わ、わかったわ!!や、約束するから殺さないで!!」
オルトクレイ「ぐっ……わかった。約束しよう…だからマルティを解放してくれ」
マルティに対して軽く刺していたナイフを少し押し込むと、王族2人はアッサリと白旗を揚げた。
風太郎「……口約束じゃなけりゃいいがな。…一花、離してやれ」
一花「ん。わかった」
風太郎の一言で、一花は拘束していたマルティを解放した。
––短剣は刺したままで。
マルティ「ぐっ…うっ…」
オルトクレイ「マルティ!!大丈夫か?」
解放されたマルティへ駆け寄る王へ、樹が最後通告をした。
樹「先に言っておきますが、もし約束を守らなかった場合はあなた達の命はないものだと思ってください。…勿論、誰が何と言おうとこれは決定事項なので、行動や発言には気をつけてくださいね」
オルトクレイ「…………」
マルティ「…………」
樹が言い終わると同時に錬、風太郎、一花、三玖、五月、そして樹は城へと歩いていった。
次回は二乃と元康、尚文と四葉とラフタリアのお話
…の予定。