城でのやり取りです。
お城でひと悶着
さて、前回と同じく10時頃に謁見の間に通された勇者一行だが、状況は険悪そのものだった。
それもそのはず。昨夜王族に対して事実上の夜襲と何ら変わらない事をしたのだから。
オルトクレイ王「……では、今回の波までに対する報奨金と援助金を渡すとしよう。…おい」
「はい」
王が命じると、ツカツカと金袋を持った側近が現れる。
オルトクレイ王「ではそれぞれの勇者達に」
そうして、各勇者へと金袋を渡していった。
オルトクレイ王「…まず、モトヤス殿には活躍と依頼達成による期待にあわせて銀貨4000枚、…と言いたい所だが、先の決闘で自ら勝ちを捨てた失態の分を差し引き、銀貨3000枚とする」
元康「…………」
二乃「…………」
オルトクレイ王「次にレン殿。やはり波に対する活躍と我が依頼を達成してくれた報酬をプラスして銀貨3800枚…だったが、先の愚行に対する罰金を差し引き銀貨2000枚とする」
錬「……ふん(アイツが王女のお気に入りだから……と分かっていてもこの差は……くっ)」
一花「…………(あちゃー…やり過ぎた…レン君に申し訳ないよ…)」
オルトクレイ王「そしてイツキ殿……貴殿の活躍は国に響いている。よくあの困難な仕事を達成してくれた。…だが昨日の一件を止めなかった分を差し引き、銀貨1800枚だ」
樹「…仕方ないですね。この辺りが妥当でしょう(夜襲に関しては満場一致でしたが……この展開は一花さんから聞いてませんね……どういうことでしょう…?)」
五月「…………(一花の反応からして…もしかして、この展開は知っているものとは違うのでしょうか…?)」
オルトクレイ王「それと魔導の勇者には依頼をしたくても出来なかったから報酬は無しで援助金として銀貨500枚…からレン殿と同じく先の愚行に対する罰金を差し引き銀貨400枚とする」
風太郎「ま、貰えるだけマシか」
三玖「ごめん…」
風太郎「構わん。三玖のおかげで金には困ってないしな」
オルトクレイ王「ふん、…盾にはもう少し頑張ってもらわねばならんな。援助金だけだ」(やりたくはないが口実が無かったからな…)
尚文「ははは…名前ですら呼ばれないとはな…」
四葉「…………」チャキッ
ラフタリア「ヨツバ姉さん落ち着いてください……あの、王様」
オルトクレイ王「なんだ? 亜人」
ラフタリア「……その、依頼とはなんですか?」
オルトクレイ王「我が国で起こった問題を勇者殿に解決してもらっているのだ」
ラフタリア「……何故、ナオフミ様は依頼を受けていないのですか? 初耳なのですが」
オルトクレイ王「盾に何ができるというのだ?」
四葉「…いい加減にして!!尚文君が何をしたって言うの!?」
オルトクレイ王「ふん!貴様らに援助金を渡すだけありがたいと思え!それとお前は期待外れもいい所だ。それが手切れ金だと思え」
尚文「っ!?…はいはい。じゃあ俺達はいろいろと忙しいんでね。金さえ貰ったらここには用がないんで行かせて貰う。…四葉、ラフタリア、行くぞ」
ラフタリア「はい、ナオフミ様」
四葉「…うん」
そして、尚文を先頭にラフタリアと四葉は退出していった。
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尚文チーム視点
ラフタリア「そういえば次の波は何時来るのでしょう?」
城門を出た辺りでふと、ラフタリアが思い出した様に質問した。
尚文「ん? ああ、ちょっと待ってろ。…えっと、…っ!?」
四葉「どうしたの?」
尚文「…45日と14時間。一ヵ月半も先みたいだ…」
四葉「うわー……また随分と先なんだねぇ…」
ラフタリア「ですが時間があるのは良い事だと思います」
尚文「それもそうか。……とりあえず、ここでの用事は済んだって事で大丈夫か?」
ラフタリア「はい、私は大丈夫です」
四葉「うーん……多分大丈夫。もし何かあったら電話出来るしね」
尚文「そうか。…じゃあ、飯でも食ってからレベル上げに行くか」
ラフタリア「はい!」
四葉「うん!(あれ?何か忘れてるような……まいっか。大事な事ならそのうち思い出すよね)
こうして、3人は城下にある行きつけ(?)の食事処へと向かった。
――それと同時に、正史との相違が起きてしまっている事に、誰も気付いてはいない…
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一方、謁見の間に残った勇者4人は、尚文達が出て行って直ぐに自室として割り当てられた部屋の一室――錬の部屋――へと集まっていた。
錬「さて、話し合いを始めようか。…一花、今後はどうすればいい?」
開口一番に錬は一花へと話を振るが…
樹「待って下さい。今回の報酬減額の件、一花さんの話にはありませんでしたが、その辺りを説明してもらえますか?それで納得できない場合は、この先の話をされても信用できません」
錬「なっ…!?」
一花「……五月ちゃんも同じ意見かな?」
五月「…そうですね。私は直接お話を知ってる訳ではないので一花の言葉通り動いてきましたが……もしかして今の状況、一花にとって予想外の事態なんじゃないですか?」
一花「…………」
風太郎「一花、俺からも良いか?」
一花「何?フータロー君」
風太郎「一花の言う通り、ここはお前達の知るお話の世界と似ているのは間違いない。…だが、前にも言った通り俺やお前ら姉妹というイレギュラーが存在する事で違う世界になってるんじゃないか?」
樹「つまりここは並行世界…パラレルワールドだと、そう風太郎さんは言いたいのですね」
風太郎「ああ。……だからここからは各々で動くのが最善じゃないかって俺は思う」
錬「……一花…」
一花「……そう、だね…うん。じゃあ皆には注意事項だけ教えるね!」
そう言ってから一花は樹、元康が今後気をつけないといけない点を説明した。
樹「……話は分かりました。その時は気をつけますが、果たしてそんな事態になるのでしょうかね…?」
五月「川澄君…」
元康「ま、そん時にならないと実感沸かないだろうし、忠告として受け取っておこうぜ」
二乃「元康にしては聞き分けが良いじゃない」
元康「そりゃあ二乃のお姉さんの言葉だからな」
二乃「ふーん」
風太郎(なぁ、あいつらいつの間にあんな仲良くなったんだ?)
三玖(わからない…けど、二乃は元々面食いだからきっと気が変わったんだと思う。フータローの時もそうだったでしょ?)
風太郎(…………そういえばそうだったな……)
錬「……他に何かあるか?」
錬の言葉に全員が沈黙で返す。
錬「……無い様だな。じゃあまた、波で会おう」
樹「ええ」
元康「おう」
風太郎「ああ」
こうして、各勇者パーティは各々また旅に出たのだった。
次回は外伝の予定。
…ここからの分岐と視点は悩みますな…