その姿に、同試験会場の誰もが自分の憧憬を重ね合わせた。
誰もが困難だと思われた脅威に、己の身を犠牲にして果敢に立ち向かう者。
人はそれを、
「終ー了ー!!!」
受験者達が呆然とする中、試験終了の合図がプレゼント・マイクによって言い渡された。
皆の視線の先、動かなくなった0ポイントヴィランの向こうに立つ飯田に金髪の少女が駆け寄っていく。
「ありがとうございます。凄いキックでしたね」
「いや、感謝すべきは僕だ。君の力があとてこそだったよ」
桜の言葉に飯田は謙遜を返す。
「お疲れ様~お疲れ様~。ハイハイ、ハリボーだよ……」
少し遠くから年老いた女性の声が聞こえる。おそらく雄英に勤めるヒーローの一人だろう。
「では、お互い頑張ったということにしましょう……私、待たせている人がいるので、先に失礼しますね」
「ああ。次は、四月に教室で会おう!」
「·····はい!」
互いに健闘を称え、再会を祈り、桜と飯田は別れた。
スタート地点に戻った桜は、ケースに御旗をしまおうとして·····ふと気付く。
「あら·····ケースに入りませんね·····」
纏っている光を見てふと思い出し、自然に身体に馴染んでいたワン・フォー・オールを解除すると、光は消え、御旗の大きさも元に戻った。
桜の頭に浮かんだのは、ワン・フォー・オールによる個性の成長。
·····いえ、これはもう成長ではないのかもしれないですね。
桜は、今日飯田へ御旗の力を使った時、
桜の御旗は、支援対象との関係の深さ、または善し悪しによってその効力の大きさが変化する。
全くの無関係の赤の他人にもそれなりの支援は出来るが·····今回の力は、成長と言う一言で済ますには、あまりにも大きすぎた。
ワン・フォー・オールによって個性の成長が促される、そう予測していたのだが、実際は違うのかもしれない。
そんなことを考えながら、桜は元に戻った御旗をケースにしまい、雄英の校門へ行くバスへと乗った。
◇◇◇
試験開始が宣言された瞬間、入り口に固まり呆けている受験者達を目覚めさせたのは、耳を破壊するかと言う程の極大の爆発だった。
気付けば、集団から少し離れた後方にいた金髪の少年は姿を消していて、次いで市街地内前方から爆発音が聞こえる。
しかし既にそこには誰も居ず……あったのはロボヴィラン三体分の残骸だけだった。
爆発音が試験会場に響く度に、新たな鉄屑が生まれる。
受験者の目が追いきれない速度で次々とヴィランが破壊されていく。
「なんだよ……」
呆然と立ち尽くしていた一人が、呟いた。
「ほとんどなんも残ってねぇじゃねぇかよ!」
やっとヴィランを見つけたかと思いきや、次の瞬間に閃光が走り爆発音が響く。目を開くとヴィランは煙を上げ、焦げた臭いを発する鉄屑に変わっていた。
ポイントは有限。この試験会場の受験者のポイントは、一人を除いてほとんどが二桁に達していなかった。
残り時間は二分。追い討ちをかけるかのように現れる
しかし、それを見て、好戦的に歪ませた口元を更に吊り上げる金髪の少年。
建物を破壊しながら進撃する0ポイントから、這いつくばるように必死に逃げ惑う受験者の背後で、これまでと比較にならないほどの閃光が弾けた。
「
遅れて、轟音。
あまりの光に受験者は目を覆い、響き渡る特大の轟音に耳を塞ぐ。
光に焼かれた目が回復し、開くとそこには……。
上半身は吹き飛び、原型を全く留めていない0ポイントヴィランの姿があった。
圧倒的機動力、そして破壊力を併せ持つ、金髪の少年──。
爆豪勝己
ヴィランポイント 246
レスキューポイント 16
合計 262
首席合格(備考:歴代一位)
御柱桜
ヴィランポイント105
レスキューポイント100
合計 205
次席合格(備考:歴代三位)
どうも、フィヨルドです(´・ω・`)
五等分の花嫁の方が行き詰まってるので、久しぶりにこちらを投稿。
次はいつになるか分かりません·····。
それでも読んでくれている人、ありがとうございます。