いちばん小さな大魔王! 外伝:が〜るずあふぇくしょん!!   作:コントラポストは全てを解決する

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ちょまかわちょまかわ


PartZwei 有咲の恋人は幼馴染

 風鈴の心地よい音が響くある日のこと。

 絶好のプール日和と言っても過言ではない日に、俺は市ヶ谷家の縁側にて婆ちゃんが切ってくれたスイカを有咲と二人で食していた。

 庭に飾られた盆栽達を眺めながら頂くスイカには、何故か風流に近いものを感じる。

 

「なあ、有咲」

「なんだ?」

「たてまつの様子はどうだ?」

「順調なんじゃね?よくわかんないけど」

 

 有咲が盆栽に名前を付けて育てているので、俺も習って植物に名前を付けてみた。

 今は有咲の家に置かせて貰っている。

 

「たてまつ買ってから二ヶ月ぐらい経ったけどさ、パッと見の姿が全然変わらないよな」

「まあ、そうポンポン変わっていったら詰まんねえだろ」

「それもそうだな」

 

 有咲の意見に納得はするが、やはり花ぐらいは見たいと思ってしまう。

 しかし、盆栽も時間を掛けて育てる物なので、やっぱり有咲の意見が正しい。

 でもやっぱり変化が見たい。

 

「肥料まきまくったら早く育つかな」

「やめとけ。それ植物枯らす奴がすることだぞ。気長に待っとけ」

「でもさー」

「ゆっくり待てよ。てかそもそもさ──」

 

 スイカを一切れ口に放り込んだ有咲が、たてまつを見ながら言った。

 

「“サボテン”って、あんま姿形が変わらない植物じゃなかったっけ?」

「そうだっけ?やっぱハエ取り草の方が良かったかなー」

 

 たくさんの松が並ぶ中で、異彩を放つサボテンのたてまつ。

 そろそろ蕾の一つでも付けておくれと願いながら、頭の片隅でハエ取り草を思う浮かべる。

 

「ハエ取り草ってさ、パッ〇ンフラワーみたいだよな」

「……分からなくもない」

「ハエ取り草何個か買って飾ったらマ〇オのステージみたいに──」

「やめろよ。家の庭は任天堂の展示ブースじゃねえぞ」

 

 有咲のほのぼのツッコミを貰った後、スイカを一切れ食べた。

 

 

 

「なあ、有咲」

「なんだ?」

「たてまつの話してたら思ったんだけどさ、俺達付き合って二ヶ月になったんだな」

「……だな」

 

 二ヶ月前に俺から告白したら、有咲も俺が好きだと告白してくれた。

 両想いだった事を知った時の気持ちは、今でも昨日の様に思い出せる。

 

「それにしてもびっくりしたよ。ずっと私の事娘だ〜って言ってた竜介が告白してきたんだから」

「まあ、それはあれよ。義妹に恋しちゃう兄ちゃん的な?ふとした動作にドキっとしたり……」

 

 自分で言ってて思ったが、これだと禁断の領域に足を踏み入れた変態と言う意味に聞こえてしまうのでは。

 

「割と危ない人だな。竜介って」

「有咲とは幼馴染だからセーフ。ノーマル。俺はノーマルだ」

 

 俺は厳しい言い訳をしてみる。けど、有咲は妥協してくれなかった。

 

「有咲は家族だーって言った事もあったよな」

「OK分かった。嫁だ、嫁にしよう。有咲は俺の嫁。アンダースタンド?」

「……」

「有咲?」

 

 いきなり赤くなった有咲が俺をジッと見つけてくる。

 

「りゅ、竜介。今のもう一回……」

「え?アンダースタンド?」

「そ、その前」

「有咲は俺の嫁?」

 

 有咲が顔を俯かせた。自分の頬に手を当てている。

 

「やばいな。それ……」

「俺の嫁ってやつ?」

 

 コクリと有咲が首を縦に振った。可愛い。

 

「スイカあーんしてやろうか?」

「……頼む」

 

 収集がつかなくなって来たのでスイカでゴリ押しした。

 

 

 

「なあ、有咲」

「なんだ?」

「こないださ、職員室に呼び出しくらったんだ」

「今度は何したんだ?」

 

 有咲の中に信頼と言う二文字はないようだ。

 俺の心が崩れて行く音がする。

 

「竜介君ショックですわー……」

「冗談だよ。で、なんで呼ばれたんだ?」

「進路希望調査でさ、第一希望書き直してこいって言われた」

「何書いたら訂正要求されるんだよ……」

 

 ポケットから件の紙を取り出し、有咲に見せながら読み上げた。

 

「第一希望、有咲のお婿さん」

「こないだ先生に温かい目で『頑張れ』って言われた理由が分かったわ」

 

 さすが担任だわ。恋愛バーサーカーの二つ名を持つことだけはある。

 

「良いと思ったんだけどなー。何書けば良いんだろ……無難に石油王とか?」

「一回無難って言う意味辞書で引いてこい」

「えー面倒臭い……」

 

 スマホでググッた方が早そうなので断って置いた。

 

「そういや婿で思い出したけど、有咲にこれ渡そうと思ってたんだよ」

 

 俺はポケットの中から箱を取り出し、それを渡した。

 中身をみた有咲が目を見開く。

 

 箱の中に入っていたのは──

 

「……おまっ、これ……」

「おう。給料三ヶ月分だ」

 

 

 婚約指輪である。

 

 

「い、いや……こんなの受け取れねーよ……」

 

 フラれてしまった……

 

「ショック……」

「あ、いや、そう言う意味じゃなくて……。こんな高価なもんは……」

「数年後に渡すのも今渡すのも変わんないし、俺待つの苦手だからさ、受け取ってくれ」

 

 頭を撫でながら有咲にそう言うと、ポロポロと大粒の涙を流し始めてしまった。

 

「……悪い、急かしすぎたな。やっぱちゃんと待つ──」

「ちげーよ……嬉しいんだよ……あほ竜介」

「……そっか」

 

 そっと有咲の肩を抱き寄せる。

 

 スイカは──もうなくなっていた。

 

「なあ、有咲」

「な、なんだよ……」

 

 涙目で見上げてくる有咲に言った。

 

「好きだ」

「──私も……大好きだよ……。んっ──」

 

 有咲にキスをされた。

 触れるだけの軽いキス。

 

「ち、誓いのキスだ……。私を置いていったら……ダメだかんな……」

 

 顔を真っ赤にして有咲が言った。

 可愛すぎたので仕返しのキスをしておく。

 

 キスの味はスイカ味だった。

 

 

 




ごめん娘のくだりで鬼〇父思い出してわ。
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