霊夢を探していたカズマ達は結局霊夢を見つけることが出来ず車の燃料を入れるためガソリンスタンドにいた。
「アスカ、お前は送ってくから帰れ」
「で、でも.......」
「でもじゃない!誰のせいでこうなったと思ってるんだ!霊夢は.......霊夢は!この知らない世界に来て寂しい思いをしてるんだ!それなのにお前は霊夢に酷いこと言って。俺は霊夢が元の世界に帰れるまで助けてやるって決めたのに.......」
給油を終えてカズマは車を走らせる。
アスカの家の前まで着くと.......
「早く降りな、俺はまだやること残ってるんだ」
「カズマ.......変わっちゃったよね。あの子が来る前は私とよく遊んでくれたりしてたのに.......霊夢ちゃんのせいでその関係が壊れちゃったんだよ!私は.......私は!カズマの事がずっと好きだったのに!」
そう言ってアスカは車を降り家に入っていった。
カズマは無言で車を走らせ再び市街地の方へ向かう。
「っ.......!わかってるよ、アスカがずっと俺の事好きだったのは、でも他にお前のこと好きなやつがいるって知ってたから俺は付き合うことはしなかった。付き合えばそいつとの仲は溝が出来るだけだったから.......」
親友の思いを尊重して付き合うことを拒んでいたカズマはここで後悔をしていた。いや、正確にはどうすればよかったのか分からなかったのだ。
一方霊夢は.......
「失礼します。霊夢さん、夕飯の支度が出来ました。一緒に食べませんか?」
「ごめんなさいタツヤくん.......今はちょっと食欲がなくて.......」
「そうですか、もし時間が経って食べれそうならその鈴を鳴らしてください。メイドが来ますので食事を用意させます」
そう言ってタツヤは静かに部屋を後にした。
霊夢はベッドに横になり涙を流しながら、
「ねぇ.......カズマ.......あなたに会いたい.......あなたのことを.......考えるだけで胸が痛いの.......」
霊夢はカズマへの気持ちを一人呟く。
この気持ちをどうするべきなのか悩んでいた。
「私は.......どうするべきなの.......?」
夜も明けて早朝にカズマは家に帰ってきた。
そのまま寝室へ向かいベッドに横になる。
何も無い天井を見つめ霊夢のことを考えていた。
「なぁ、霊夢。どこ行ったんだよ.......まだ出会って一ヶ月くらいしか経ってないけどさ、俺嬉しかったんだぜ?わからない世界で初めて会った後すぐに頼ってきてもらって、こっちの世界のこと色々教えて買い物したり出かけたり、それだけで俺は満足だった。独り身の生活に華がある生活に変わったから。それなのに.......」
カズマは泣いていた。短い時間の中にたくさんの出来事があったからそれが全て嘘だったかのように無くなってしまったと思ってしまったから。
カズマはしばらく泣いて泣き疲れそのまま眠ってしまった。
カズマが目を覚ましたのはもう既に夕方になる頃.......
「あぁ、いつの間にか夕方まで寝ていたのか.......」
ふと携帯を見ると何件もの不在着信があった。チームのメンバー、アスカ、タツヤなど様々な人から来ていた。
「全く、誰から連絡したらいいもんかな」
とりあえずチームのメンバーから順番に連絡することにした。
「もしもしアキラ?電話出れなくてごめんな、どうしたんだ?」
「カズマ!急用は大丈夫だったのか!?一応警察は大丈夫だったが後で理由を聞かせて欲しいって言われて、一度警察の方へ行ってもらえるか?」
「あぁ、分かったありがとなアキラ」
そう言ってアキラとの電話を切った。
次にアスカに電話をする。
「もしもし、アスカなんか用か?」
「あのね、カズマ.......昨日はごめんなさい.......それで私ね、引っ越すことにしたの」
「ど、どうしたんだよ急に」
「私カズマに怒られて分かったの、いつまでも昔のままじゃダメなんだって、私変わるために地元を出るの」
「そうか、止めてもダメそうだな。アスカは決めたことに二言はないもんな」
「うん、だけど霊夢ちゃんに何も言えないままだと後味が悪いから伝言お願いしたいの」
「あぁ、わかった」
「霊夢ちゃん、ごめんね。こっちに来てようやく慣れてきたかなって頃に酷いことたくさん言っちゃって、もう会えないと思うけどもし許して貰えるなら、私達友達でいたいな」
「それでいいのか?」
「うん、お願いねカズマ.......」
電話越しにアスカが泣いているのにカズマは気づいた。
本当はこんなことしたくなかっただろうにと思いながらもアスカの思いを受け止めたカズマだった。
「いずれまた顔を合わせることになるんだ、たまには連絡しろよな」
「うん、わかった。それじゃねカズマ.......」
「あぁ」
そう言って電話を切った。
そして最後にタツヤに電話をかけるカズマ。
このタツヤとの会話でカズマは驚きを隠せなかった。