霊夢とのデートから早くも一ヶ月、彼女もこっちの生活に慣れてきてある程度のことはわかるようになってきていた。
だが普段の生活のみでは知ることができないものも多いため必要なことを教えるためこの一ヶ月ほぼ出かけてはいない。
「ねぇカズマ、今度アスカと遊びに行ってきてもいい?」
「いいじゃないか、二人で遊んできな」
「ありがとう♪それじゃ早くアスカに連絡しなくちゃ♪」
そう言って霊夢はスマホを取り出してアスカに連絡を取り始める。
ちなみに霊夢の持っているスマホは俺が買ってきたものだ。
なにせ連絡手段がないと心配っていうのがあるし彼女もそのうちどんどんいろんな友達と仲良くなって連絡とる時に固定電話なんてかわいそうだと思ったからだ。
それにしても霊夢は現代に馴染むのが早過ぎるような気がする。
スマホもちょっと使い方教えただけでもうすでに使いこなしているから最早ぐうの音も出ない。
だが馴染むのが早いお陰で教えることも少ないし生活も楽になった。
そしてしばらくして霊夢は部屋に戻った。
時間はまだお昼前、これはもしやたら思ったらお洒落をした霊夢が部屋から出てきた。
「お洒落してみたんだけどどうかな?」
「すごくかわいいよ霊夢」
「ふふっ、ありがとう♪それじゃあ行ってくるね♪」
「気をつけてな、なんか有ればすぐ連絡してくれよ」
「えぇ♪わかってるわよ♪」
上機嫌な霊夢は楽しそうに出かけて行った。
久しぶりに一人になった俺はガレージへと向かう。
「思えば霊夢に出会ってからというもののこいつに手をかけるのが出来なかったんだよな」
ガレージの奥に布を被った車が一台置いてある。
その横には車のパーツや工具などがたくさん棚に収められていた。
俺の趣味の一つである車の改造。
気に入った中古車を買って自分で整備しドレスアップをするのが一人の時にずっとやっていたことだ。
もちろんこのことは霊夢も知らない。知っているのは付き合いの長いアスカとシュンの二人と車好きの仲間たちくらいだ。
「もう少しで完成ってとこまで行ってたからサクッと仕上げてドライブでも行ってこよう」
俺は早速作業に取りかかる。
ジャッキで車体を上げてタイヤを外し足回りの調整から始める。
一時間ほどで調整が終わるとメーターパネルを見て警告灯が付いていないか確認する。
「うん、問題無しだな。後はショップへ持っていって最終調整と点検してもらうことにしよう」
俺は車に乗り込みエンジンをかける。
心地よいエンジンサウンドを聞きながらショップへと向かうのだった。
街中を走っているといろんなところから目線が集まる。
それもそうだろう。なにせ住んでいるところが田舎なだけに俺の車はとにかく目立つのだ。他の車好きの仲間達と比べてもかなりチューニングされているのもある。
しかし俺はその視線がむしろ嬉しかった。
こんなに注目される完成度に仕上げられたからだ。
しばらく車を走らせると目的地のショップへ到着する。
「お、あの車もしかして」
俺の車を見て近づいてくる若者が一人。
「久しぶりじゃないかカズマ」
「元気そうだなヤス!」
彼の名は日向ヤスアキ、通称ヤス。
このショップのオーナーで俺の専属のメカニックだ。
ヤスのショップはサーキットを走るためのレースカーを仕上げるチューニング専門のショップなのだ。
「ついに仕上がったか、いつ持ってくるか楽しみにしていたが案外早かったな」
「まぁな、とりあえずこいつの最終調整と点検頼むぞ」
「おう、まかせとけ!と言ってもほぼ調整なんてしなくてもいいと思うけどな」
「足回りとかだけ重点的に見てもらえれば後は問題ないと俺も思う」
「よし、早速始めるぞ!」
ヤスは俺の車に乗り込みピットへと車を移動しリフトに上げて下回りなどを見て回る。
「にしてもカズマもよくここまで金かけれたなぁ」
「その車にかけたのはざっと三百万くらいかな」
「そりゃここまで仕上がるわけだ」
なんて話をしながら足回りの点検へと移るヤス。
データを数値化するために別の検査ラインへ車を動かし専用の道具を取り付ける。
「カズマ、これだったらこのままでも良さそうだぞ」
「そうか、ならこれで完成だな!ほらヤス、今日の支払いな」
「おいおいカズマこんなにもらわなくても充分足りてるぞ?」
「なに、俺からの気持ちだ。いつも世話になってるからな。もう一台も今度車検頼むわ」
「カズマがそういうなら受け取らせてもらうわ」
そう言ってヤスは封筒を受け取り見送ってくれた。
完成した車で俺はドライブへ。
一方霊夢の方はというと・・・・・・
「あ!霊夢ちゃんこっちこっち〜」
「ごめんねアスカ待たせちゃって」
「大丈夫だよ〜それに集合時間より早かったんだしね♪」
「ありがとう、それじゃ行きましょう」
アスカと合流して街に遊びに出ていた。
街中を歩いていると周りから注目を集めていてヒソヒソと声もちらほら聞こえている。
「なぁ、あの二人かわいくね?」
「そうだな、どっちも顔は整ってるしスタイルも良すぎだろ」
「俺は黒髪の子がいいかな」
などなど様々な反応をされている。が、よく聞いていると霊夢のことばかり言われている様な気もしていた。
霊夢自身もうっすらと気付いていた。
「なんかやけに注目浴びてる気がするわね」
「だって霊夢ちゃんかわいいもん♪」
「アスカだってかわいいじゃない」
なんて何気なく話をしながらも歩みを進め目的の場所へ到着した。
この時霊夢はこの後自分の身に起こる事について全く気づくことはなかった。