決闘者のハイスクール 作:豆肉
まだ読んでくれる人がいればうれしいです。
ある日の帰り道、修行の休憩時間にイッセーが最近の悪魔の仕事について少し気になる話をしていたのを思い出していた。
最近よく20代くらいでワルそうな風貌の男に呼び出されて、釣りやらゲームやらにつき合わされているという話だった。それ自体は別にそれほどのことでもない。確かに悪魔を呼び出してまでやることかといわれれば、たしかに変かもしれない。しかしミルたんという前例がある以上有りえ無いとはいえない。
俺が気になったのはそんな感じの男に心当たりがあったからだ。最近ちょくちょく見かける不審者がそんな感じなのだ。その不審者は最近やたらと俺を付回し、監視のようなことをしている。まるでストーカーだ。ただの不審者ならたいして気にかけない、もしくは自力で排除するのだが例の不審者はどうも普通じゃない。
一度、何を考えているのかとマインドスキャンを試みたがうまく読み取れなかった。それだけじゃなくモンスターに不審者の後をつけさせてもすぐに見失ってしまう。絶対に只者じゃない。俺を付回しているという点と今までの経験から考えて教会、もしくは堕天使側の人間である可能性が高い。一応このことはリアス部長に報告してあるが、リアス部長もその男に関しての情報は集めることができてないらしい。それはつまり、そうとの実力者だということを示している。もしそうだとすればイッセーに危害が及ぶかもしれない。
一応、明日あたりにでも忠告しておいたほうがいいかもしれないな。
「よう、難しい顔してるな。悩み事か?」
背後からいきなり聞こえた声に思考よりも早く体が反応する。身体を反転させながら飛びのき神器を展開!だがスピードは相手の男の方が速かった。反転し男と向き合った時にはすでに相手は目の前で拳を打ち出そうとしていた。
上体をそらし打ち出された拳を避ける!少し顔をかすったが避けられないスピードではない。カードをセットしようとするが打ち出されたままの拳が発光し顔の真横で爆発した。
「くッ……!」
突然のことにバランスを崩してしまう。そこに容赦なく腹に拳が叩き込まれる。
「ガァッ……ハッ、ァ」
あまりの威力に意識が飛びかけた。威力で言えば小猫ちゃん以上。この野郎……最初のは手を抜きやがったな!
「コカビエルをやったと聞いていたからもう少しできると思ってたんだがなぁ」
膝をついた俺に向かって少し残念だと男が言う。嘗めやがってボケがッ!叩き潰す!
殴られたときに伏せておいたカードを発動させる。ヴォンッ! 男の周りに光る方陣が展開。
「おっ!?」
「『六芒星の呪縛』。お前の戦闘行動を封じる」
男は少し驚いた様子だがまだ表情に余裕がある。むしろ上機嫌になっているような気がする。腹が立つ野郎だ……。
「『王者の苦痛』発動」
王者の苦痛はレベル×100の攻撃力を下げるカードだ。こいつのレベルがどれほどか知らないが早々に弱体化させておくべきだと判断した。
「ほぉ……報告通り多芸だな」
さっきの爆発、感覚からして堕天使の力と同質のものだ。つまりこいつは堕天使だということ。しかもついこないだ同族のコカビエルが襲撃したところへ堂々と現れ、挙句の果てにケンカを売ってくる。そんなことできるのはよほどの馬鹿かコカビエルクラスの実力者ぐらいだ。
とりあえずモンスターを出しておこう。
「『翻弄するエルフの剣士』召喚。『流星の弓‐シール』を『翻弄するエルフの剣士』に装備」
エルフの剣士は攻撃力1900以上の敵との戦闘で破壊されないモンスターだ。コカビエルクラスだと考えると攻撃力は2000以上はあるだろう……って攻撃力下げちゃったじゃん。なにやってんだ。内心自分に突っ込む。
一応トラップを伏せてはあるが、これで大丈夫という保証もないしなぁ。
とりあえず万全って風を装っとこう。相手は俺のことを多少知ってる感じだったし、下手なことはしないだろう。
「さて、いったいどういうつもりだ?」
まずは事情聴取だ。こいつは俺の予想があっていればイッセーとも接触している。事情を聴かない限り気が気じゃない。
俺の質問に対し男は依然として余裕ぶった態度で答えた。
「まぁ落ち着け。弓を突きつけられてはビビッて話もできやしねぇ。怪しいものじゃない。
話がしたけりゃ拘束を解け。OK?」
「OK!!」
バシュンッ! 弓から放たれた矢が男の左腕を貫く。
「痛ってぇ!!なにすんだ!!」
男が涙目になって抗議する。
「質問をしているのは俺だ。次は右だ。嫌なら大人しく答えろ」
「くっそ悪魔め……」
それ事実を言ってるだけで罵倒になってないぞ。
「たっくよぉ……しょうがねぇか」
何かをあきらめたように男が大きなため息をついた。話す気になったのか?
―突如男の手が強烈な光を発した。光によって目を潰された一瞬のうちに男は呪縛を抜け消た。どこに消えた!?
「形勢逆転だな」
背後から首元に何かを押し付けられる。感じからして刃物の類か……しかしどうやって六芒星の呪縛を抜けた?まぁいい、こっちの準備はあらかた整っている。
「調子に乗ってるところ悪いんだがな。もしお前が俺を攻撃すれば死ぬのはテメェだぞ」
伏せてあるカードは『聖なるバリア―ミラーフォース』、『天罰』。
そしてさっき手元に来た『サンダー・ボルト』に『月の書』がある。もしこれらのカードの発動より相手の攻撃の方が早かったとしても俺のライフは7000以上ある。それこそ相手の一撃が神クラス以上でない限り1撃はからなず耐えれるはずだ。そのあとは月の書で隙を作り、サンダー・ボルトで攻撃、能力等を使おうものなら天罰を発動させればいい。
それに他にも手はいくらでもある。
「本当にやっかいな神器だな……」
そう言い首元から武器を下げる。振り向くと男の風貌は結構変わっていた。黒い羽根を生やし髪は金髪になっている。そして射抜かれていた左腕の傷もふさがっているように見える。
「やっぱり堕天使か。さっきも聞いたがな、いったいどういうつもりでこんなことをした?」
「なんだ、俺が堕天使って気づいてたのか」
少し驚いたような表情をする。その余裕ぶった態度に少しイラついた。
「なぁおい、何度同じことを言わせる気だ?俺は『何故こんなことをしたのか』って聞いてんだよ」
「最近の若いのは短気だねぇ……まぁ簡単に言えば事前の挨拶だ」
『事前の』ってことはまた何か仕掛ける気か?堕天使ってのは俺たちに迷惑をかけたいの生きていけないのか。
「また戦争でも仕掛けてくる気か。お前の同僚と同じ目にあいたくなけりゃやめとけよ」
「逆だ逆、今回は和平だ」
和平だと?ふざけてやがんのかコイツ。
「お前、自分の言ってることと行動が一致してないって分かってるか?それに俺の仲間にもちょっかいかけてるだろ。ふざけんなよ」
「あぁ~もうそこまで調べがついてんのか。しくじったなぁ……」
調べがついていたわけじゃないが……とにかく俺の予想は当たっていたらしい。
すると男はまいったとばかりに手を上げた。
「和平ってのは本当だ。お前の主人にでも聞けば確認が取れるはずだ。それとお前の仲間に接触したのも、お前にケンカを売ったのも俺の独断だ」
独断、というとそれができる立場って事か。幹部クラスが和平前にそんなことをするなんて堕天使ってのは常識がねぇのか。
「もう一つ質問だ。和平ってのは―」
「アザゼル!!」
俺の質問を遮り怒号がとぶ。
「いったいどういうつもりかしら!?こんな結界まで張って!」
声をした方を見るとリアス先輩がものすごく怒った表情でこちらに迫ってきていた。そのすぐ後ろには朱乃さんもいる。
「おっと、それじゃぁ俺はここでおさらばするとするか。じゃぁな悪魔君」
「待ちなさい!!」
アザゼルと呼ばれた男の足元に魔法陣が現れ、一瞬のうちに転移してしまった。
そしてリアス先輩の顔がさらに険しくなる。おぉ怖い。
「浩次!」
「ハイ!!」
行き成りこっちを向いて大声呼ぶもんだからびっくりしたじゃないか……
「大丈夫なの!?何かされなかった!?怪我は!?おかしな術は掛けられてないでしょうね!?」
俺の肩をつかみ鬼気迫る様子で質問をぶつけてくる先輩。掴まれてる肩が痛い。
「落ち着いてください。何もありませんでしたよ。大丈夫です」
先輩の口を手でふさぎいったん落ち着かせようとする。だが先輩は俺の手を即座に跳ね除ける。
「あなたの大丈夫は信用できないの!」
前も言われたなこんなこと。
「とにかく調べるわ!脱ぎなさい!」
「ヘイヘイヘイ!落ち着いてくれ先輩!ここで脱いだら俺変態だから!」
路上で、たとえ上半身だけだとしても裸になるとか勘弁してほしい。捕まっちゃう。
「そうね、朱乃!人払いの結界を!」
そうじゃねぇよ!たしかに人目は気にしなくていいけど違うだろ!そこに救いの手を伸べてくれる人がいた。
「落ち着いてください部長」
朱乃さんだ。さすが朱乃さんは良識ある女性だと信じてましたよ!
「脱がせるのは賛成ですけど、流石に初めてが外というのは少し可愛そうかと」
裏切ったな、僕の気持ちを裏切ったな……この人もリアス先輩側だ。というか初めてってなんだよ!!何する気だ!?
「そうね……確かにそうだわ」
そうね……じゃねぇ!場所の問題じゃないんだよ!やろうとしていることが問題なんだよ!
「落ち着いてください先輩方。本当大丈夫―」
「信用できないわ」
「信用できませんわ」
2人で俺を否定するのか。とかなんとかやっているといつの間にか足元に魔法陣が展開されていた。
「とりあえず部室に場所を移すわよ」
「ちょっと待って!」
俺の静止はもちろん無視され、部室に強制連行された。
現在、部室にはリアス・グレモリーの眷属全員が集まっている。そして部室は少し気まずい空気に包まれている。先輩2人を除いて。
部長曰く、今回、俺とイッセーに接触してきた堕天使はなんと堕天使の総督らしい。あんなのがトップでいいのかと。
何故そんなやつがこの場に現れたのかというと、先日のコカビエル襲撃事件、それで悪魔、堕天使、天使の関係に影響が出たらしい。
そんでなんかよくわからんが、それぞれのトップがこの学園にあつまり会談を開くことになったらしい。事前の挨拶ってのはその会談のことだったのか。
そしてその会談に事件の当事者として俺たちグレモリー眷属は参加することになっている。とんでもないことになったものだ。
まぁこんなことを聞かされたら皆少し緊張しちゃうよね。ショウガナイネ。決して俺がパンツ一丁なのとこの空気は関係ない。
「えっと……会談に参加しなきゃいけないってのは分かったんですけど……」
イッセーがチラッと俺の方を見てくる。言いたいことは分かるから言うな。
「なんで浩次はパンツ一丁なんだ?」
言うなって言ったじゃん。言ってないけど。イッセーの問いにリアス先輩がニコニコと答える。
「浩次が怪我をしたみたいだから検査をしていたのよ」
実際怪我なんてしないない。無理やり服を脱がして触診という名のおさわりタイムだったじゃないか!セクハラだっての!
「浩次くん、けっこういい体しているね」
佑斗がニコリとほほ笑む。フォローのつもりなのか素直な感想なのか分からないがどちらにしろやめてくれ。
「……」
小猫ちゃんはせめて何か言ってくれ。もしかして例のごとく軽蔑してたりとかする?今回ばかりは俺は悪くないぞ!
「しかし、そのままの格好ということは触ってもいいということか」
「おいやめろ、来るな。その気色の悪い手の動きをやめろ」
ゼノヴィアがじりじりと距離を詰めてくる。怖い。まるで獲物を狙うハンターの目だ。
それにしても、とリアス先輩がため息をつく。
「アザゼル、まさかイッセーにも接触していたなんてね……挙句の果てには浩次に攻撃を仕掛けるなんて……ゆるせないわ!」
リアス先輩の顔がまた険しくなっていく。怒りがぶり返してきた様子だ。
「彼は昔から、ああいう男だからね」
突然誰もいない方向から声が聞こえた。視線を向けると赤髪の男が立っていた。確かこの男は、レイティングゲームの時にいた魔王だったか?後ろの方にはレイティングゲームの時の銀髪のメイドさんもいる。
「お、おおおお兄さま!何故このようなところへ!?」
部長が立ち上がり困惑している。そしていつの間にか小猫ちゃん、佑斗、朱乃さんが膝間づいている。空気を読んで俺も膝間づいておこう。
「おちつきたまえリアス。今日はプライベートで来たんだ。そんなにかしこまらなくてもいい」
手を上げ落ち着くように先輩を促す。そして俺の方を見る。
「ところで彼は何故裸なんだ?」
あなたの妹さんとその友人にひん剥かれましたなんて言えるわけないので俺は目線を明後日の方角に向ける。先輩も説明できずにわたわたしている。
「えっとそれは……浩次!早く着替えてきなさい!」
リアス先輩に少しきつめに言われる。先輩が脱がせたのに……理不尽だ。その理不尽を感じながら言われた通り部室をでて着替えに行く。まぁこのまま触れられずに裸のままでいるよりかはましだったかもしれない。
俺が部室に戻るころにはすでに魔王様とメイドさんはいなくなっていた。なんでもイッセー宅に泊まりに行ったそうだ。魔王を泊める度胸があるとはイッセーのやつすげぇな。リアス先輩もそれに同行したらしい。
それで俺も家に帰ったんだがこっちはこっちで大変なことが起こっていた。
「おかえり。ご飯にするか?風呂にするか?それとも子作りか?」
家のドアを開けたら見慣れた元青髪キリスタンことゼノヴィアがいた。びっくり。
「なんでお前がここに居る」
「引っ越してきた」
えらく端的かつ分かりやすい説明だ。ってふざけんな!なんでそんなことになってるんだ!?うちの家族はそれを了承したのか!?そんなまさか!
ゼノヴィアを押しのけ家の中に駆け込みリビングへ直行する。そこにはのんきにテレビを見ている母と妹の姿があった。
「おい母さん!アレは一体どういうことだ!?」
俺の声に驚いたのか妹と母の体がビクッと跳ねる。
「びっくりしたぁ……どうしたの?」
「うるさいよ、お兄ちゃん」
何でこの異常事態にうちの家族はこうも普通なんだ。まさかまた催眠とか何かしたのか?ゼノヴィアが……?あのアマ!!
「ゼノヴィア!!」
「なんだ?」
リビングの入り口からひょっこりとゼノヴィアが顔を出す。
「どういうことだ!?」
「だからいっただろう、引っ越してきたと」
「そうよ。ゼノヴィアちゃんは今日から家にホームステイすることになったのよ」
「ファ!?」
母さんがゼノヴィアの後ろに回り方に手をおき押し出すような形で俺に紹介する。
まさかのホームステイ。確かに外国人だしできることにはできるんだろうが……
「ゼノヴィアちゃんとは同じ部活なんでしょ?知り合いがいる方がいいってことで家で引き受けることにしたの」
言ってることは正しいのだがゼノヴィアの素性を知っているとどうも歓迎できない。
家族にはできるだけ悪魔に関わってもらいたくはない。家に悪魔が増えるってことはそれだけ家族が悪魔と関わるってことだ。それはよくない。
ふと肩を叩かれる。
「少し二人で話をしよう」
ゼノヴィアに言われるがまま部屋を移動し2人きりになる。
「君が私を歓迎してないのはわかる。その理由もだ」
「それならなんでこんなことになったんだ?」
俺の家に住むとなると先輩たちの許可が必要なはずだ、先輩たちは一度俺の説得により家に住むことをあきらめている。そう簡単に許可を出すとは思えない。
「君の護衛だ。君は以前、部長たちの居住を認めなかったらしいが今回ばかりは君に拒否権はない」
「拒否権がないってのはどういうことだ?」
リアス先輩の命令か?あの人は基本は眷属の意志を優先してくれる人だ。もし先輩の命令ならばよほどのことが起こったってことになる。
「魔王の命令だからだ。魔王は君の神器が悪魔以外の手に渡ることを恐れているんだ。そして君はいままで単独のところを何度も襲われている。これだけでも住み込みで護衛をつけるには十分な理由になると思うが?」
「うっ」
まさかの魔王命令かよ。しかも言っていることが正論ときた。魔王命令である以上、ゼノヴィアは意地でも俺の護衛をするだろう。これは腹をくくるしかないか……
「わかった。大人しく従うよ」
こうなったからにはしょうがない。そもそも俺が単独で襲われまくったのがこうなった一因なわけだし、身から出た錆だ。
「一応言っておくと」
ズイッと顔を近づけられる。
「確かに魔王の命令ではあるが護衛の任は私自ら受けたものだ。いろいろ魅力的な任務だったのでな……」
「おい、近づいてくるな」
じりじりと近づいてくるゼノビアにどんどん壁際に追い詰められていく。なんだかやばい。
「お兄ちゃん?ごはんでできてるよ。まだ話し終わらない?」
流石妹空気が読める子!これで助か―
グイッ
「あっ―」
……柔らか
何が起こった?引っ張られて―ッ!?
全力でバックステップ!くそッやられた!
「護衛の報酬の前払いだ。ファーストキスはもらったぞ」
ニヤリと笑い満足げな顔をするゼノヴィア。
「ってめェゼノヴィア!!」
「ほら夕飯だ。冷めてしまう前に早く行こう」
ゼノヴィアは俺をスルーして部屋を出ていってしまう。相変わらずニヤニヤとしながらだ。
ちくしょう……まさかこんな形で……やられた。
『翻弄するエルフの剣士』
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1400/守1200
このカードは攻撃力1900以上のモンスターとの戦闘では破壊されない。
『流星の弓‐シール』
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントダウンする。
装備モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃をする事ができる。
《今作では追尾効果、攻撃対象以外をすり抜ける、という効果になります》