「なるほど、アンタ達の世界ではその野球ってのが流行ってるわけ」
「ああ。そしてその野球の頂点を決める大会の舞台がこの甲子園球場なんだ」
パワプロは自身の住む世界にあるスポーツ「野球」を霊夢に説明していた。
「で、なんでその甲子園球場がこの幻想郷に現れたのよ? ついでにアンタ達も」
「そ、それは……」
パワプロは言い淀む。自分達がこの幻想郷とかいう場所に召喚された理由など全くもってわからない。甲子園球場が召喚された理由なんてもっとわからない。
「さっきから、おいらとパワプロくんばかり質問攻めされてずるいでやんす。霊夢ちゃんは心当たりがないんでやんすか!?」
「わたし、アンタには質問なんてしてないんだけど……」
「ガーンでやんす!」
矢部くんは霊夢が自分を眼中に入れてないと知り、目に涙を浮かべる。
「ま、確かに私が知ってることをアンタ達に喋れば何か思い出すかもしれないし……。良いわ。私がここに辿り着くに到った経緯を説明してあげるわ」
「お願いするよ」
「私がこの幻想郷にある神社の巫女だって話はしたわね。その神社に氷の妖精がやってきたのよ」
「妖精……?」
「ええ。外の世界にはいないんだったわね。自然の力が具現化した存在よ」
「はぁ……」
「その氷の妖精、『チルノ』っていう名前なんだけどね。そいつの体の形がおかしくなっていたのよ。今の私やアンタ達と同じ、奇妙なずんぐりむっくりな形の体に変化していたの」
「どこがずんぐりむっくりでやんすか! 霊夢ちゃんはちょっと胸はないけど、ナイスバディでやんす!」
「矢部くん……。失礼だよ……」
「どうやらそこの眼鏡は死にたいらしいわね」
ガツン!
「ぎゃああああ! 木の棒で思い切りたたいたでやんす! 親にも……ぶたれたことはあったでやんす……」
「大幣だっていってるでしょ。次、ふざけたことを言ったら本当に殺すわよ?」
「はい、ごめんなさいでやんす。霊夢の姉御!」
「矢部くん……。屈するの早すぎるよ……。それで妖精の体の形が変わった原因を探していたらこの球場が急に建ってたってことなんだね?」
「ええ。本来この球場が建っている場所はチルノが住処にしてる湖なのよ。全く驚いたわ。湖が完全に消えてこんなばかでかいもんがあるんだから。そして、この球場に近づくにつれて私の身体もこの変な体型になったってわけよ。わかった?」
「うーん。変な体型になったって言われてもオレ達は普段からこの体型だからな。それに妖精とか言われても現実感がないってのが本音だ」
「そう……。まあ、手掛かりがない以上、アンタ達にはこの異変を解決するまでの間協力してもらうわよ」
「ああ、構わないよ。俺たちも元の世界に一刻も早く帰らなきゃいけないんだ。最後の夏の大会がすぐそこに迫っているからね」
「ま、よくわからないけど、利害は一致しているようね。よろしく頼むわよ」
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
「ま、こんなとこで話すのもなんだし、とりあえず神社に戻るわよ」
「ああ!」
霊夢とパワプロは早足で博麗神社に向かう。
「おいらは除け者でやんすか……。待つでやんすー!」