「さーて、ぶっ飛ばしてやるから覚悟するんだぜ?」
魔理沙はマウンドに立つレミリアを挑発する。
「いつも通り、口だけは達者の様ね。泥棒さん?」
「口だけじゃないぜ? バッティングも達者だってとこ見せてやるぜ。お前のご自慢のグングニルをぶっ叩いてやるんだぜ!」
「あら? 調子に乗ってると恥をかくわよ?」
(よし、こんだけ挑発してればグングニルを投げて来るだろ。作戦開始だぜ!)
レミリアは右手を光らせグングニルを美鈴のミットに突き刺す。
《ストラィィク!》
「やっぱり達者なのは口だけみたいね。手も出せないじゃない」
「バーカ。私はホームランを狙ってるんだぜ? 打ってもホームランにならない球は見逃してやっただけだ。ありがたく思うんだぜ?」
「講釈だけは立派なことね」
レミリアは2球目も腕を光らせる。グングニルを連投してきたのだ。
(どうやら、私の言葉に反応して少し頭に血が上ってるみたいだぜ……って、うわっ!?)
レミリアのグングニルが魔理沙の胸元をえぐってくる。魔理沙は思わずバッターボックスで仰け反る。
「あっぶねえ! 当たったらどうするんだぜ?」
「ごめんなさいね。手が滑っちゃったわ」
(ウソだろ! 絶対わざとなんだぜ! ……だが、これで確信したな。こいつは間違いなく今、冷静さを失ってる……!)
ワンボールワンストライクからの3球目、レミリアは再び、腕を光らせる。
《ストラィィク!!》
魔理沙は外角一杯のストライクコースに入ったグングニルを空振りする。
「なによ。魔理沙のやつ、待球作戦に賛成だとか言ってたくせにスイングしてるじゃない」
「いや、あれで良いんだよ、霊夢さん」
「あん? どういうことよ?」
「いくら待球作戦といっても、全く手を出さないってわけじゃないんだ。ただ待ってるだけだと相手に見抜かれたらグングニルじゃなくて手を抜いた普通のストレートでストライクを取られちゃうからね。甘い球なら打ち砕くという姿勢が見えてないと待球作戦は活きてこないんだよ」
「……じゃあ、魔理沙はわざと空振りしたってこと?」
「たぶんね。あの外角一杯のコースをヒットにするのはいかに魔理沙さんでも難しいだろうし……」
パワプロが霊夢に説明していると、レミリアと美鈴はサイン交換を済ませて魔理沙に対して4球目を投じる。
(レミリアの手が光らない……。グングニルじゃないみたいだぜ)
2ストライクに追い込まれていた魔理沙はバットを短く持ってスイングを始動する。
(鋭く私の体から逃げるように変化していく……。スライダーってやつか……!)
魔理沙はレミリアの変化球に反応しファースト方向にファールを飛ばす。
「チッ」とレミリアは舌打ちをする。
「どうやら、グングニル以外の球は大したことないみたいだな!」
魔理沙はにやりと笑いながらレミリアに視線を飛ばす。レミリアは無言のまま、美鈴からの返球を受け取る。
(へへ。レミリアのやつ、難しい顔してたな。相当頭に来ているみたいだぜ。……さて、どうでてくるかな?)
レミリアの5球目……、手は光らない。
(また、グングニルじゃない。別の球か……。……今度は私の胸元を抉ってくるように変化した! シュートってやつか!?)
魔理沙はのけぞりながらボールを避ける。
「ったくあぶねえなあ。もうちっとコントロール良くなげてくれよな!?」
「あら、私の球は大したことないんじゃなかったかしら?」
「陰湿な方法でやり返すなよ!?」
(お次の6球目は……遅い! 霊夢に投げていたパームボールってやつだな!)
魔理沙は6球目もファールで粘る。
「……しつこいわね。これで終わりにしてあげるわ!」
レミリアの手が赤く光る。
「はぁあああああああああああああああああああ!!」
レミリアはひときわ気合を入れてグングニルを射出する! あまりの高速に魔理沙も手を出せない。しかし……。
《ボール! カウント、スリーツー!!》
(あ、あぶねえ。外角低めのグングニル、完全に手が出なかったんだぜ……)
「次で決める!」
レミリアはまたも手を紅く光らせてグングニルを発射する!
「うぉおおおおおおおおお!!」
魔理沙も気合を吐きだしながら、真っ向にスイングする。
《ファール!》
魔理沙はその後、3球グングニルを投じられるも全てカットしたが、迎えた11球目………。
《ストラィィク!! バッターアウト!!》
空振り三振に倒れた魔理沙はベンチに引き揚げる。
「パワプロ、どうだったんだぜ? 魔理沙さんの待球作戦は?」
「十分だよ! ……レミリアちゃんの持っている変化球も把握できた。これは必ず今後の攻撃に生きる。……いや、生かさなきゃならない! ありがとう魔理沙さん!」
パワプロが魔理沙にお礼を述べる中、チーム博麗の『エース』が左バッターボックスに向かわんとしていた。
「さて、今度こそ場外ホームランを打ってやるわよ? がきんちょ吸血鬼!」
霊夢はバットの先をレミリアに向け、威嚇するのだった。