「……あの女からかすかに霊力を感じる。どうやらアンタらが驚く速球はそれを使って投げているみたいね」
驚愕しているパワプロに霊夢が解説をする。
「れ、霊力?」
「ええ。魔力、妖力、オーラ、神通力……。色々な言い方をするし、色々な発生方法はあるけどね。あんたら外の世界では超能力とでもいうのかしら?」
「甲子園球場の外で霊夢さんが空を飛ぶときに使った力のこと?」
「そうよ。それをあの女から感じるわ。ああ、ちなみに言う必要ないと思ったから言わなかったけど、レミリアのグングニルも霊力が使われていたわ。どうやら条件付きで霊力が使えるみたいね」
「そ、そりゃ霊夢さんやレミリアちゃんは元々この幻想郷っていう世界の住人だから霊力が使えるんだろうけど……。あおいちゃんは元々普通の人間なんだよ? なんで不思議な力が使えるんだ?」
「さあ? それこそ、甲子園に『選ばれた』んじゃない?」
《ストラィィク! バッターアウト! チェンジ!》
「ちょっと矢部! なに簡単に三振してるのよ!!」
「アンダースローの150キロなんてレミリアちゃんのグングニル並みに打てるわけがないのでやんす! チートでやんす! 普通異世界転移したら冴えないオイラみたいなやつに凄い力が宿るのがパターンなのでやんす! 元々人気者でかわいいあおいちゃんがパワーアップするなんておかしいでやんす!」
「何がおかしいのかは良くわからないけど……、そんなに自分を卑下してたのかよ、矢部くん。もっと自分に自信持てよ。矢部くんには快足があるんだから……」
パワプロは矢部を励ますと、マウンドに向かおうとしていた霊夢に質問する。
「それにしても、一部だけとはいえ霊力なる不思議な力を霊夢さんは使うことができてたんですね? 道理で女の子なのに130キロ近くの球を投げたりフェンス直撃の打球をはなったりできたわけだ……」
「あん? 何言ってんのよ? 今私は全ての霊力を封じられてるわ。体一本よ、体一本!」
「……つ、つまり霊夢さんは特に身体をパワーアップさせることもなく、普通の女の子状態であのパフォーマンスをしてたってこと? いや、普通の女の子じゃあないけど……」
「そのとおりよ」
「や、やっぱり霊夢さんはバ……」と言いかけたところでパワプロは口を止めた。パワプロは矢部ほど愚かしくはないのだ。
「良い判断ねパワプロ。それ以上喋ってたら鉄拳制裁するところだったわよ?」
霊夢は怖い笑顔をパワプロに向けながらマウンドへと小走りするのだった。