スカーレットデビルス 2 対 2 チーム博麗
《6回裏チーム博麗の攻撃は2番センター霧雨、背番号2》
「それじゃ、外の世界の人間のボールってのを拝ませてもらうんだぜ?」
霧雨魔理沙は不敵な笑みを浮かべながら右バッターボックスに入る。
(さて、レミリアと違ってこの葵とかいうやつは経験豊富みたいだからな。スタミナ切れ狙いの待球作戦も効かないだろうぜ。なら、やることはひとつ。正攻法だぜ!)
打ち気満々の魔理沙を見て葵は声をかける。
「君と霊夢さんと咲夜さんはレミリアちゃんたち妖怪と違って、普通の人間なんだよね? 信じられないよ。女の子でそんな身体能力を持っているなんて……」
「誉めてくれてるのか? でも、手加減はしないんだぜ?」
「そんなつもりで言ったわけじゃないよ。この世界には僕の知らない凄い人たちがまだまだいるんだって思ってね。……でも野球は負けないよ」
葵は振りかぶるとその勢いのまま沈み込みアンダースローで投げ込んでくる。
《ストラィィク!》
低目いっぱいに決まるストレート。
(なるほど、確かに読みにくい軌道なんだぜ。このアンダースローとかいうフォームは。だが、レミリアのグングニルほどのスピードがないのも確か。次は捉えてやるんだぜ)
葵は2球目を投じる。内角高めのボール球だ。思わず魔理沙はのけぞる。
(あっぶねえなぁ。レミリアもそうだが、私に対する攻め危ないのが多くないか!?)
動揺する魔理沙をよそに葵は3球目を投じる。
(ゆっくりなボールだ。カーブってやつか。だが、これはかなり遠くに感じる。外にはずれ……)
《ストラィィク!! ツー!》
「なに!?」
思わず声を上げて驚く魔理沙。そんな魔理沙にキャッチャー美鈴が囁く。
「外角いっぱい入ってますよ」
「そりゃご丁寧にどうも。なんだぜ」
(……嫌味な言い方で私の平静さを欠く作戦か。中々いやらしい性格してるんだぜ、この中国風味妖怪も。それにしてもめちゃくちゃ遠くに感じたんだぜ、今のボール。……なるほど、一球前に内角高めに投げられたことによる影響か。結構奥が深そうだな、この野球ってのは)
魔理沙が素人ながらに野球の本質を感じているところへ、葵は間髪入れずに容赦なく4球目を投じる。
(考えさせる間も与えねえってか。次こそ捉えてやるぜ……って、え!?)
魔理沙は思わず仰天する。あおいの放ったボールが水しぶきを上げているからだ。魔理沙だけではない。パワプロや矢部もまた、驚きの表情で球の行方を目で追う。
(何が起こってるのかさっぱりわからないが、振らないことには当たらないぜ!)
魔理沙はスイングを始動する。しかし……。
「な、なに!?」
水しぶきを上げたボールは急激な変化を見せ、魔理沙の足元方向に沈むように急降下していった。魔理沙のスイングは空を切る。
《ストラィィク! バッターアウト!!》
甲子園が魔理沙のアウトを宣告する。
「な、なんだ今の球は!?」
魔理沙に代わり驚嘆の声を上げたのはパワプロだった。その声に早川葵が反応を示す。
「これが僕の最高のボール、『マリンボール』さ!」
葵は自信に満ちた表情で、自分の変化球を紹介するのだった。