――第五回幕間放送局エヌラ☆ピコ!特番
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「――――え、っと。第五回幕間放送局エヌラ☆ピコ放送開始! 今回は私達『Afterglow』のメンバーがお送りします!! 上原ひまりです! 蘭に巴につぐにモカも一緒! はい拍手ー! みんなどうしたの!? ほ、ほらテンション上げていこ! そんなテスト明けのお通夜ムードじゃ盛り上がんないよ!」
「いや、無理でしょ……」
「あんなことがあった後でどうテンション上げて放送しろっていうんだ、ひまり」
「そこは、ほら! 巴の気合で! そいやー、って!」
「…………無理だなぁ」
「てょもえ~……」
「えっとー、ゲストの方が来てるそうでーす」
「悪寒がするんだけど……」
「………………」
今回のゲスト:烈光の邪神、クァチル・ウタウス
頭を抱え込むAfterglow一同。天井を仰ぎ見るクァチル・ウタウス。
険悪なムードが流れるが、それはそれとして。
「……番組進行に支障を来さない程度になら与太話に付き合ってやる」
「えっと……あ、コーヒー飲みますか?」
「……、置いておけ」
(つぐ、よく声かけられるなぁ……)
・鏖魔翔星編について
「えっと、じゃあ私が頑張るね!」
「おぉ~、つぐがツグるぞー」
「……苦いぞこれ」
「ご、ごめんなさい! お砂糖あるのでどうぞ!」
(結局飲んでるし……)
「コホン。今回のお話は、エヌラス先生を苦しめていた邪神との遭遇と決着までのお話みたい。それと次の相手である子も登場かつ、私達と親交を深める様子だったり、お師匠さんの出番でドリームランドの話も並行して……結構詰め込まれてるね」
「そのせいで長丁場になっちゃったけどね」
「一番路線変更が多かった苦節のある回でもある」
「あ、そうなんだ……」
「当初の予定では俺が日本で眷属を増やしつつ相手取るという話だったが、俺自身が信仰も眷属も必要としない性質だったからか今回の鏖魔翔星となったな」
「タイトルの通り、鏖魔。つまり、皆殺しの悪魔が飛翔してくるということ」
「被害規模、世界中だもんな……」
「でも死者は出てないんでしょ?」
「あくまでも“行方不明者”だ」
・自己紹介をどうぞ
「は?」
「スタッフさんにげて! 超逃げて!!!」
「えっと、えっと! ぱ、パンケーキどうですか! 美味しいですよ!?」
「…………食い終わるまで待ってやる」
名前 クァチル・ウタウス
種族 邪神
二つ名 “塵を踏むもの” “窮極の腐敗の神” “烈光”
権能 時間加速
年齢 不詳(外見年齢三十代半ば)
趣味 特になし
好きなもの 静寂
嫌いなもの 喧騒・生き物全般
備考 本体は子供ほどの背丈だが、最も権能の力が強い状態。
「人間に擬態しているけれども、その時点で既に武装しているみたいです。エヌラスさんが使う「天雷」同様で、この巨漢の姿が魔道装衣なんですって」
「その上から更に魔道書、カルナマゴスの誓約を用いた魔術師形態……もとい。
「実質、機神クラスの性能なんだってー」
「忌々しいことに、アイツの“右腕”には及ばなかったがな。おかわりはあるか?」
(もしかして甘党だったのかな……)
「エヌラスさんに対して、唯一対抗策を講じた邪神。早期的な対策を用意して、付喪神の時点で既に根回しをしていた。それだけでなく、地球に潜在していた怪異・邪神・眷属を片端から消滅させた事による自己強化も含めて、またとない強敵として立ちはだかる障害。ただ、その苛烈過ぎる性格と性質のせいで同族達から追放処分されていたんだってー」
「他の連中は、温すぎる」
「いやー、アンタが熾烈過ぎるんじゃ……」
「よく言われるが、俺は邪神である格を保っているだけだ」
「そこだけ聞くとものすごく誇り高いんだけど……」
・猫の街について
「友希那先輩が迷い込んだ猫の街、ウルタール。ドリームランド、通称を幻夢境。えっと、夢を見る人?しか辿り着けない場所なんだって。でも友希那先輩は特例、街の管理者である将軍猫が招待することで寝ている間だけお邪魔することができているみたい」
「……そこに滞在していた、大魔導師って人。ものすごく危険そうなんだけど」
「エヌラスさんのお師匠さんだって。詳しくは本編だけど、ちょっとだけ解説。ひまりちゃん」
「任せて! お師匠さんは、とある異世界の国王様! それが自由勝手気ままに休暇を満喫するためにドリームランドに足を運んでいるんだって」
「仕事は?」
「滞在理由も目的も「暇潰し」の一環、友希那先輩と出会ったのは本当にただの偶然らしいよ! 実際、初対面で一歩間違えてたら殺してたらしいから!」
「その人仕事は!?」
「ウルタールの将軍猫とは古い付き合いらしいけど、お互いの情報が錯綜しているところを鑑みるに、お師匠さんは“前世”の記憶が無いみたい! だからエヌラスさんのことも弟子とは認識していないんだって!」
「ひまり、恐怖感を勢いで誤魔化してないか?」
「巴、言ってあげないで……」
「だからもし、万が一にでも遭遇したら――地球で正面から激突するみたいだよ! そのお話は一応考えてるみたいだけど、これバッドエンドルートみたい! でもオトナ向けバンドリームになるから未成年の良い子は我慢してね!」
「……アタシ達未成年なんだけどな」
「それは言わないお約束だから……」
・エヌラスの“右腕”について
「エヌラスさんの本性、つまり魔術師という肩書じゃなくて“魔人”という側面が露呈した点について。これについてクァチル・ウタウスさんの意見は?」
「ハッキリ言ってしまえば、邪神災害よりも質が悪い災害だ。まず、アレが乱入した世界線は均衡が崩れる。その時点で既に崩壊のカウントダウンが始まる。そのタイムリミットの前にノルマを達成しなければ、次元世界諸共消滅する。相手はいわずもがな、邪神あるいは眷属だ」
「……それが、今回は地球ってこと?」
「そうなるな。天体規模ではなく、宇宙レベルで起きる災害だからこそ、こうなると最早手がつけられん。特に今回の場合は、現地の味方などお前らくらいだろう?」
「まぁ……なんにもしてあげられませんけど」
「破壊という権能の核心が、あの機械の右腕ということになるな」
「右腕しかないんですか?」
「アイツ
・次回予告
「次回はとうとうお待ちかね、『Roselia』編!」
「一連の破壊事件から、アタシ達の前から姿を消したエヌラスさん。しかし、そんな時に現れたのはまさかの付喪神」
「その銘を天下に響かせた名刀、誰が呼んだか天下五剣! 日本三大妖怪、鬼に天狗に九尾の狐の復活を聞きつけて遅れて参上? だけど人類の味方をする気はあんまりない?」
「そして、その一方でドリームランドでも将軍猫と大魔導師の間に亀裂が……? その原因は、まさかのイレク=ヴァド王? 魔術大戦、勃発」
「お~、なんだかバトル物みたいですな~」
「モカ、真面目にやって……とにかく。巴達の元に戻ってきた、るーくんは相変わらず無言、無害、無表情を貫き通していて、みんなはエヌラスさんを説得しようとするけど……」
「次回。『Roselia』編:ただ青く、咲き、誇るために」
「決着はいつか、別れの鬨の声。慟哭は月へと向けて」
「そしてエヌラスさんとリサさんが急接近かも~?」
「だからモカ、もうちょっと真面目に……まぁいっか。“いつも通り”が、アタシ達だもんね」
「さて。終わったからには俺は帰るぞ」
「はい! お疲れさまでした。よかったらコーヒーでも飲みに来てくださいね」
「気が向いたらな」
(クァチル・ウタウス退場)
「……本編でもアレぐらい、少しは話の通じる邪神だったら良かったのに」
「はは、いやそりゃ無理だろ……」
――俺の台本が塵になってんだけどテメェのせいか往生せいやぁああああ!!!
――懲りんやつだな貴様も!!!
「…………あー」
(『Afterglow』一同、天を仰ぐ)
「次章も、おたのしみに……」