【完結】冥き宿星に光の道標   作:アメリカ兎

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第六回幕間放送局エヌラ☆ピコ!

 

 

 

 ――第六回幕間放送局エヌラ☆ピコ!

 

「やっほー、みんな。今回はアタシ達『Roselia』がお送りする幕間放送局エヌラ☆ピコ! よろしくねー」

「氷川紗夜です。あの人は毎回毎回どうしてああなんでしょうか……」

「湊友希那よ。今回もネコ多めだったわね」

「白金燐子です……あの、割と大変な被害がでてますけれど……?」

「宇田川あこでーす! もー、あっちもこっちもしっちゃかめっちゃかですごいよね、りんりん」

(あこちゃん、そこは喜ぶところじゃないような気が……)

 

「というわけでゲストはこちら!」

「るーくん!」

 

「残念だったな、俺だ」

 

ゲスト:童子切安綱

 

「えぇ~~~っ!?」

「おう、なんだ。あからさまに不満そうな顔をするな」

「こちらの方はご存知、天下五剣の一振り。その中でも特に業物とされている童子切安綱の付喪神ですね。種族的には日本妖怪に分類されます」

「でも、エヌラスさんとは互角以上のような気がしますけど……?」

「白金さんの仰る通り、あの人との実力は五分以上。というのも、童子切さんは日本限定で神仏の加護による恩恵を賜われるので……」

「古今東西、名実ともに日本最強よ。……どうかしたの、釈然としない顔をして」

 

大包平(おおかねひら)のやつが顕現しとらんというのに最強を語るのは納得がいかん。あの野郎……!」

「童子切安綱に並び立つ名刀とされている刀ですね。東西の両横綱、と例えられるほど完成度が高い傑作だとか」

「その大包平さんはどうして顕現しなかったの?」

「知るかぁ、あんなやつ。大方、俺が顕現するのを知って寝坊助決め込んでいるに違いない」

「そんな童子切安綱さんのプロフィールはこちら! はいドーン!」

 

名前 童子切安綱

種族 付喪神(日本妖怪)

二つ名 “天下五剣筆頭” “古今東西無双”

権能 八百万

年齢 不明(外見年齢二十代半ば)

趣味 物見遊山、競馬、観劇

特技 相撲、蹴鞠

好きなもの 握り飯、かき氷、狐、子供

嫌いなもの 鬼、旧名

備考 竹を割ったような性格にして豪放磊落。天下五剣、三日月宗近の策により二度目の顕現を果たすこととなった名実共に日本最強の付喪神。自らが顕現した以上、宿敵となる“鬼”の復活を危惧している。

 

「そういえば、他の方は?」

「そちらも合わせてどうぞ」

 

名前 鬼丸国綱

種族 付喪神(日本妖怪)

二つ名 鬼面菩薩

権能 蒼雷

外見年齢 二十代半ば

趣味 自然観察

特技 夢占い

好きなもの 花鳥風月、錆取り

嫌いなもの 鬼、悪夢

備考 童子切安綱とはかつて同じ主の元にいた。その特殊な立ち位置から天下五剣の一振りではあるものの、人目に触れる機会が少なかったため少々人見知り。夢の中で鬼を斬り続けてきたことからか、身体が半ば鬼となっている。口数は少ないものの、誰よりも人命と国を尊ぶ。

 

名前 数珠丸恒次

種族 付喪神(日本妖怪)

二つ名 法力無双

権能 神通力

外見年齢 三十代半ば

趣味 遊学

特技 読経

好きなもの 数珠

嫌いなもの 無益な殺生

備考 とある高名な仏僧の佩刀だった天下五剣の一振り。衆生済度を掲げ、人もあやかしも等しく現代に生きるべきという思想を独自に持っている。当時とはまた移り変わった現代日本の様相をそれもまた良しと捉え、積極的に現代知識を取り入れている。

 

名前 大典太光世

種族 付喪神(日本妖怪)

二つ名 剣術無双

権能 剣禅一如

外見年齢 五十代後半

趣味 瞑想、能楽

特技 ダンス

好きなもの 茶道

嫌いなもの 無礼

備考 かつて将軍家剣術指南役の佩刀だった天下五剣の一振り。実践的な剣術を極めており、その腕前はエヌラスの「超電磁抜刀術」を正面から打ち返すほど。大天狗正家とは生前の主の血縁関係から、親子のような間柄。

 

・Roselia編:ただ青く、咲き、誇るためにについて

 

「今回の章では、まさかの付喪神が復活ということでしたが」

「邪神災害が一段落したと思ったらコレだもんね。いやーまいっちゃったよ」

「今井さんが一番被害者なのでは?」

「やー……それはそのなんといいますか……ごにょごにょ……」

「リサ姉顔真っ赤だよ?」

「エヌラスさんと急接近できたので役得かなー、なんて……あーごめん紗夜そんな睨まないでってば!」

「怖い思いもしてたじゃない」

「吊橋効果ってご存知ですか?」

「あーもー、友希那も紗夜もその辺は一旦ストップ! ほら! 天下五剣とエヌラスさんの衝突とか、るーくんとか話すことあるじゃん! はいあこ、パス!」

「え!? りんりーん!」

「えっ!? わたし……? えっと……エヌラスさんに匹敵する天下五剣の皆さんの実力だけでなく、るーくんとの決闘についてでしょうか……」

「天下五剣の方々は神仏の加護を得ている、という話ですね。その中でも群を抜いて童子切安綱さんが多いんです。逆に大典太さんがその恩恵を得ていないですね」

「……えっ? エヌラスさんの首を落としかけたのに?」

「あいつのはただの剣術だ」

「あれで!?」

 

「るーくんについては、彼の師匠と大魔導師。そして彼とエヌラスさんの師弟対決でもあるわね」

「賢人バルザイさんについては邪神に拐われて以来行方不明ってことでしたが……その弟子であり息子でもある、るーくんもまた邪神の末席ということで同じ運命を辿ってますね」

「帰ってくるってあこ信じてるもん!」

「そこはまた次回に期待ということで抑えて抑えて……」

 

「残るのは……童子切安綱さんと、最後の邪神さんだけでしょうか……?」

「いえ、鬼丸国綱さんと、不穏な動きを見せている数珠丸恒次さんが残っていますね。それに、鬼の本拠地でも何か儀式が行われているようです」

「……以前の付喪神編のときよりも妖怪が増えていないかしら?」

「それもまた理由があるんだけど」

「それだけ最後の邪神の脅威が迫っている、ということだ。まぁ追々その理由がわかる」

 

・イレク=ヴァド王について

 

「ドリームランド、猫の街ウルタールの猫将軍たちが崇拝している幻夢境の主ね。とある邪神から身を隠すためにイレク=ヴァドにある城で隠居しているみたいよ」

「魔術の腕は大魔導師にも引けを取らないほど。かつ人類の味方なんだけど、人類の衰退はそれが原因とも大魔導師が指摘してますね」

「とはいえ、本人は邪神の魔の手から人類を守ろうとしていたようね」

「そういえば湊さんはよく猫の街に出入りしているようですが」

「……ウルタールに行った翌朝の目覚めは最高よ、紗夜」

「私は遠慮しておきます」

「えー、あこも行ってみたーい。そういうファンタジー世界楽しそうだもん。ねーりんりん」

「うん……そうだね。わたしも、機会があったら行ってみたいと思います」

「そういえばエヌラスさんの故郷ってどんなところなんだろね?」

 

・犯罪国家九龍アマルガムについて

 

「エヌラスさんの故郷。治安最悪、合法非合法違法問わずに急激な経済発展を遂げている、犯罪によって成立している国……」

「サイボーグマフィアや魔術結社が魍魎跋扈し、地表側の治安国家は文字通り表向き。本性は地下帝国であり、そちらが九龍アマルガム本国。国名は勢力を伸ばす様が竜の首に見えたことかららしいです。アマルガムは国産品でもある水銀に似た物質からとったもの、このことから犯罪国家九龍アマルガムは「水銀の多頭龍」ということらしいですよ」

「えーと? 治安国家は政治的中枢機関として公安局が担っており、犯罪者を数値で計測し“その場で”射殺されるケースも有る……」

「……エヌラスさんの修行時代のエピソードですと、生身でサイボーグマフィアのアジトに乗り込んで壊滅させたり、雪山に裸一貫で一月放置されたり、邪教崇拝の漁村に単身で送り込まれたりと……ええ……」

(一同沈黙)

 

「なんだ、俺の生きていた鎌倉のようなもんか」

「アタシ達の現代日本、平和でよかった……」

「リサの言うとおりね」

 

・大魔導師について――は、すでに第一章で双子の邪神が語っているので割愛

 

「あ、はい……」

「一言で説明するなら、エヌラスさんの全てにおいて斜め上の方向で先を行く人ね」

「つまり……?」

「予測不可能の超越者です」

 

・そろそろ次回予告のお時間となりました

 

「ありゃ、もうそんな時間?」

「意外と短いものでしたね」

「えっと……次の章では――」

「あこがやるー! ついに! 童子切さんと鬼たちが衝突してばーんっ!って!」

「他がやれ」

「紗夜、お願い」

「わかりました」

「えー! ふがもごご……」(童子切に口を塞がれながら)

 

「こほん……鬼斬で名を馳せた天下五剣の童子切安綱、その宿敵である鬼が遂に顕現。鬼丸国綱がこれを征伐すべく天狗と協力する一方で、人妖衆生済度を胸に秘めた数珠丸恒次は殺生石から復活を遂げた玉藻御前と行動を共に不穏な動きを見せる。そして、二代目賢人バルザイとの死闘を辛くも切り抜けた重体のエヌラスさんですが、身体を休めている間にも最後の邪神が地球に迫っていて……? “黒い月”がもたらす邪神災害は天体規模、人類存続の危機」

「猫の手も借りたい、そんな時に頼りになるのが猫将軍」

「一刻も早く最後の邪神と決着をつけたいエヌラスさんの前に立ちはだかるのは、やはり日本最強の付喪神。真に望んだのは、正真正銘の一騎打ち」

 

「次回、最終章! Poppin`party編:わたし達の道標」

 

「――目を背けずに前へ進む。それは“今”を生きる私達にしかできないこと」

 

「それじゃまた次章でお会いしましょう! 今井リサでしたー♪」

「……ところでこの台本、あの人のだけどどうしてここにあるのかしら?」

 

・にゃーん

 

「…………猫ちゃんなら仕方ないわね」

「いやダメじゃない!? エヌラスさん最後までこの幕間放送局に出演できてないし!」


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