無限ループって怖くね? 〜フラグを踏めなきゃやり直し!!〜   作:ACS

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ループ 4

俺を睨んでた娘––––更識簪さんは日本の代表候補生?とか言う奴らしく、指導を受けたお陰か大分早い段階で走れる様になった、態々ISを二機使ってマンツーマンの訓練をしてくれた更識さんには感謝の言葉しかない。

 

けど結局まともに走れる様になるまで丸三日かかったからなぁ、根本的に適正Eなのが響いてる気がする。

 

 

「……はぁ、はぁ、はぁ、これで、いい?」

 

「うん、じゃあ次はホバー移動を教えて?」

 

「……それも、出来ないんだ……じゃあ、あなたは一体何が出来るの?」

 

「えっ? ISを起動出来るだけ?」

 

 

文字通り起動するしかできないから四苦八苦しながら訓練してるんじゃないか、他の人が感覚的にやれる事をやれないのは俺だって辛いんだぞ!?

 

そーいや一人目は適正Bらしい、何この格差? しかも研究所の人間の話だとあっさり空も飛べてたとか、俺は23回のループ通しても飛べてないんだけど? もう一回言うけど何この格差?

 

取り敢えずその日は更識さんが疲れたので彼女には帰って貰い、その後も一人で自主練を続けてるんだけど、ここ最近の行動が朝起きてメシ食ってIS動かして昼メシ食ってIS動かして夕飯食ってIS動かしてから日付変わる前にシャワー浴びて寝るの繰り返しになってる事に気が付いた。これって何処のルーデル?

 

凹みたいけど凹んでたら一生ループが続くので気合いを入れ直し、今日も今日とてIS訓練に全力をぶつける。

 

その甲斐あって見ろ!! この100m16秒前半の俊足を!! ISに乗って漸く此処まで走れるようになったんだぞ!! 遅いとか言った奴はISパンチ喰らわせてやる。

 

更識さんも俺の成長に涙が出てるみたいだ、ハイパーセンサーがイマイチ機能してないからピントが合わなくてどんな表情か分かんないけど。

そして念願のホバー移動、イメージはスケートに近いらしいけどやった事無いから分からん。 えっ? 普通はそんなイメージとかしなくても出来る? 俺は普通じゃないんだよ!!

 

 

「……私が手を引いてるから、そのままゆっくり身体の力を抜いて?」

 

「分かった、全身の力を抜けばいいんだな?」

 

 

更識さんの乗る打鉄に手を引かれながら地面から僅かに浮いたところで滑る様に移動する俺達、ゆっくりと機体を慣らすような軌道で試験場をしばらく移動していたかと思うと、突然手を離された。

 

転けると思って目を瞑るが衝撃は来ない、恐る恐る目を開くと俺の機体がふよふよと浮いているではないか!! 変なテンション? ほっとけ、体感時間で2年かかってるんだぞ!?

 

 

「イヤッッホォォォオオォオウ!! やった、やったぞ!? 遂にやった、遂に俺は浮く事が出来たんだ!! フハハハハハ!! 早いぞー!! 凄いぞー!!」

 

 

念願のホバー移動が出来る様になった俺は滑る様に移動する感覚に快感を覚え、試験場内を全力で動き回っていたのだけど、ぐんぐんと加速する機体のブレーキ方法が分からない。

 

今まではソロプレイだったから対処法が当てずっぽうだったが、今の俺には更識簪様という偉大なる日本国代表候補生様がいらっしゃる、こんな問題はお茶の子さいさいで解決してくれる筈だ。

 

 

「更識様!! 助けて下さい、げ、減速出来ません!! 更識様!!」

 

「……両足で踏ん張ればいい、あと様付けはやめて」

 

「よし分かった、踏ん張るんだな!? 踏ん張ればいいんだな!?」

 

 

更識さんのアドバイス通りに両足を踏ん張ったら、何故か真上にすっ飛び、天井に突き刺さる羽目になった。更識さんの嘘つき!!

 

膝を付いて『……なんで……そうなるの……』とか言われて悲しいけど、一番何より悲しいのは俺だからね? その辺りの気持ちも汲んでくれると嬉しいかな? だってほら、ね?

毎度の事なので天井に突き刺さるのは慣れてる俺は、一旦自分を引き抜いて着地すると、ある重大な事に気が付いた。

 

「なぁ更識さん」

 

「……なに?」

 

「浮けない」

 

「……さっき浮く感覚は教えたよね?」

 

「教えてもらったのに浮けないんだけど?」

 

「……なんで?」

 

 

そんな事は俺が知りたい。

 

とりあえず分かった事は誰かしらの手を借りて暫く浮いてないとホバー移動が出来ない事と、減速が非常に難しいと言う事の二つ。

 

普通なら乗って数分で出来る内容らしいけど、その後も月末まで更識さんに付き合って貰った結果、何とかそれらの課題をクリアする事が出来た。ほんっと長かったなぁ……。

 

今は赤ん坊がよちよち歩きするくらいのスピードで地上三メートルくらいを飛んでるんだけど、管制室らしき場所で更識さんが涙を流しながら手を叩いて喜んでくれていた。

 

気分良く地面に降りた俺はその足で早速御礼を言いに行ったんだけど、めちゃくちゃ良い笑顔で『……御礼なんか要らないから、もうこんな事に付き合わせないって約束して?』と言われて無言で頷くしか無かった。

 

…………だって、目が殺し屋みたいな目してて全く笑って無かったもん。

 





〜ループ解除条件〜

①ISでの歩行が可能になる[達成済]

②ISでの飛行が可能になる[達成済]


〜特別解放条件〜

①更識簪に話しかける[達成済]

②更識簪にISの指導を受ける[達成済]

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