無限ループって怖くね? 〜フラグを踏めなきゃやり直し!!〜 作:ACS
IS学園、それはIS関連の道へと進む人達の学び舎であり、基本的に女性にしかISが使えない以上、実質女の園と呼べる場所である。
そんな場所に俺は強制的に入学させられる事になり、奇異の視線を受けながら真っ先にやった事は––––HR前に一人目である織斑に詰め寄る事だった。
「お前が織斑だな?」
「そうだけど……なんか用か?」
「唐突だけど俺はお前が嫌いだ」
ああそうとも、俺は体感時間で2年も前からコイツに面と向かってそう言いたかった、漸く会えたな織斑ァ!!
「なんだよ、俺が何かしたか?」
「ふん、その答えが知りたいか? だったら言ってみろよ、お前のIS適正を」
「えっ? 適正はえーっと、Bだったな」
「そう、お前のIS適正はB。俺はそれがとても憎いぃぃ!!」
「はぁ!?」
「まぁ聞け、聞けよ織斑。信じられん。俺が、俺が全身全霊をかけて一ヶ月特訓して得られた成果を同じ男子であるお前は何の苦も無く達成出来た。ただIS適正がBってだけでだぞ!? 出来てしまった!! 信じらんねぇ!! 適正ってなんだよ、同じ男だろ!? なんで俺は前例がなかった適正Eなんだよ!? こんな理不尽許されるのか!? 何つー不合理!!」
「お前それタダの八つ当たりだろ!?」
あ、ヤバイ、なんか変な涙出て来た。
俺の頭の中に駆け巡るこの一ヶ月の記憶、起動した直後に歩こうとして
織斑に八つ当たり気味の不安をぶつけるだけのつもりだったけど、 かなりブルーな気持ちになったのでそのままトボトボと自分の席に座ってうつ伏せになる。
下手に泣いたり騒いだりすると即ループする事が今までの人生何度もあった、人にループする事を相談しても巻き戻る事が多々あるから限界が来ても口を紡ぐしか無い。
織斑からは変な奴を見る目で見られてるけど、一応ループは発動していないっぽい、発動したらしたでこいつもやっさんと同じ悪魔認定だったけど。てかやっさん、何時の間にフルネーム変えたんだよ?
昔話にでも花を咲かせようかと思ったところで、非常に素晴らしいプロポーションをした女性が教室に入ってきた。
副担任の山田真耶と言う彼女は童顔に似合わないその胸部装甲を持っていた為、健全な男子高校生の性なのか今までの悩みも一発で吹っ飛んでしまった、土下座したらあの人おっぱい揉ませてくれないかな?
と、そんな事を考えてたら織斑が出席簿で引っ叩かれたり、担任の織斑千冬に対して黄色い歓声が挙げられたり、時間が無くなったから自己紹介を巻きで行けとのお達しがあったりと中々のHRだ。
「えっと、じゃあ次は久野木君? 自己紹介してくれるかなぁ?」
お願いする様に手を合わせる山田先生、小柄で童顔なのも相まって非常に安心する笑顔を浮かべている、この人天使だわ。
彼氏いんのかな?とか、年下は射程範囲内かな? とか考えてたけど、織斑先生の目が早くしろって言ってるから一旦普通に立ち上がり、ごく普通の挨拶をした瞬間だった。
「えっと、じゃあ次は久野木君? 自己紹介してくれるかなぁ?」
あ、これループ始まったわ。天使が一瞬にして堕天した瞬間である。
アンタもループ持ちなのかよぉぉぉお!? やっさんみたいにちょっとでも機嫌損ねるような事したらダメなパターン!? てか今俺普通に名前と誕生日と趣味を言っただけだぞ!? 何がどう不満なんだ!?
まて、落ち着け。 そういえば今朝テレビを付けたら丁度星座占いがやってたところだった、なるほど自己紹介に星座を入れてなかったのが悪かったんだな?
「はい!! 俺の名前は久野木飛鳥!! 誕生日は11月11日の蠍座の男、血液型はAB型だ!!」
ふっ、今回のループは非常に分かりやすくて助かった。まぁそんな何回も2桁3桁のループを繰り返してたまるかってんだ。
「えっと、じゃあ次は久野木君? 自己紹介してくれるかなぁ?」
「ファッキュー!!」
思わず立ち上がりながら中指立てた俺は悪くない、なんだこの人? 俺の何が不満なんだよ!? 顔か? 顔が織斑以下だからかコンチクショー!!
そう怒鳴ろうにも立ち上がって中指立てた瞬間に無慈悲にループ、まーた自己紹介からやり直し。
星座占いじゃなかったらなんだ? 念のため血液型も付け加えたんだぞ!? これ以上何を紹介すれば良いんだよ!!
「えっと、じゃあ次は久野木君? 自己紹介してくれるかなぁ?」
「はい!! 久野木飛鳥15歳!! 血液型はAB型!! 誕生日は11月11日の蠍座の男!! 好きな物は二週目がある系のゲーム!! 嫌いな物はありとあらゆるエンドレス系の物全般!! IS適正は人類史上初のE!! 彼女は居ません!! 絶賛募集中です!! 家族構成は父と母の三人暮らしでした!! 今は一家離散中、安否も分かりません!! ちなみに本来の入学予定の学校は倍率の高い勝ち組進学校でした!!」
どうだ今度は個人情報の漏洩だぞ? 流石に自己紹介なんだからその内容がループ原因になってるはず、余す事なく答えたんだから今度こそセーフだろ!? セーフだって言ってよバーニィ!?
「えっと、じゃあ次は久野木君? 自己紹介してくれるかなぁ?」
マジでどーすりゃいいんだよ!? ヒントなさ過ぎて分かんねーんだけど!?
こうして、俺のIS学園生活の初日はHRの無限ループから始まるのだった。
〜ループ解除条件〜
①篠ノ之箒と会話する[未達成]
②自己紹介でネタに走る[未達成]
〜特別解放条件〜
①織斑一夏と会話する[達成済]
②織斑一夏に篠ノ之箒への好意の有無を聞く[未達成]