ゼータと上総   作:空也真朋

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 いろいろ言われたことへの言い訳小説です。
 本格的な再開はまだ未定。


第2章 明星作戦
13話 閑話・白銀武


 白銀 武Side

 

 『目覚めよ因果導体』

 

 「う………だ、誰だ?」

 

 深い眠りより覚めたそこは、何もないただ白い空間が続くだけの世界だった。

 声は果てしなく続く白の空間から響いてくる。

 

 「なんだこりゃ。夕呼先生がなんかした……んじゃないよな」

 

 『香月夕呼か。彼女は面白い花だ。どこの世界に咲こうとも、世界を楽しく動かす』

 

 またあの声がした。

 オレは辺りを見回し、その声の主を探した。だが、だだっ広い空間のどこにも人影は見えない。

 

 「いったい何なんだアンタは。神様かなんかか?」

 

 『そのなりそこないよ。有象無象の小物には面倒くさいのでそう名乗ることも多いが、貴様には敬意を表し我が矮小な身の丈をさらそう。我は平行世界の観測の力を持つジジイだ。無数の平行世界に広がる地球とその周辺宇宙を庭の如く愛でる隠居よ』

 

 「…………そうか。とにかく姿を見せたらどうなんだ。なりそこないのじいさんよ」

 

 『肉体はとうに捨てた。もっとも貴様が話しにくいというなら、適当に見繕ってもよいが』

 

 「いや、いい。人間が相手じゃなきゃ話ができないほど繊細でもない。とにかくここがどこで、オレに何の用なのか言ってくれ」

 

 「ここは我が領域。本来は、肉体を失い死の世界へと向かう魂のみが来られる場所であるのだがな。貴様は特別に我が干渉して招待した。まずはこれを見てもらおう」

 

 その神モドキのじいさんとやらがそう言うと、その場はいきなり宇宙になった。

 そこにはいくつかの宇宙艦船、そして無数の戦術機のような人型機械がライフルを撃ち合い戦争をしていた。そして機械人形の持っている銃からは光の弾が発射され、それが当たると激しく爆発した。

 

 「宇宙戦争? いや、あの戦術機、見たことがある! あれはゲルググ? それにジムだと? まさかここはガンダムの世界か? そんなバカな!」

 

 それはまだBETAのいる世界へ来る前。平和で戦争など無縁の世界のただの高校生だった頃。

 人気だったアニメ『機動戦士ガンダム』シリーズというものがあった。

 今見ている光景は、そこに出ている機動兵器モビルスーツが現実のものとなって、実際に戦争をしているのだ。

 

 『こことは別の世界線、宇宙世紀と呼ばれる世界の戦争だ。こういったとある世界の光景は、異なる世界へと流出し、感性の高い人間の脳が受信して創作物として綴られることがある。ちなみに貴様の経験したBETA大戦もまた、別の世界では創作物となっておるぞ』

 

 「そうか。あれが現実のものだったとはな。で、それがオレへの用と何の関係があるんだ?」

 

 『BETA。あれは異星より愛しき庭を食い荒らし滅ぼす害虫だ。滅びもまた一つの景色とはいえ、この害虫に滅ぼされるのは我慢ならん。故に手をうった』

 

 BETAに対抗するという話か。なら歓迎すべき話かな。

 

 『実はとある小物達に、BETAの侵攻を遅らせるべくとある奇跡をさずけてBETA世界へ送り出した。そ奴らが願った奇跡というのが、この宇宙世紀の兵器『モビルスーツ』というものだった』

 

 「それは………大丈夫なのか? 宇宙世紀の燃料やらがこっちの世界で手に入るとは思えんが」

 

 『そうだ。こんなものをそのまま送っても、燃料、エネルギー、整備のための資材などが調達できるはずもない。故にどうにかその世界でも使えるよう、我が手を加えて与えてやった。が、存外そのモビルスーツ。BETAとの戦いに有効だとみた」

 

 「そうだな。宇宙で戦争できるモビルスーツってな凄いものだと、今なら実感をもって感じる」

 

 『故に我は決断した。我が庭を荒らす宇宙からの厄災【BETA】を滅ぼす雷としてこのモビルスーツ。その最強の個体を使うことを。出でよ』

 

 その言葉と共に宇宙戦争の景色は消え、代わりに実物大の宇宙世紀の機動兵器が現れた。

 オレは衛士としていくつもの武器、兵器、機体を見てきたが、これほどに存在感のある、そして禍々しくも力を感じる兵器は見たことがなかった。これに比べたら、今まで使ってきた戦術機などオモチャだ。

 

 「これは…………まさか本物か!?」

 

 『宇宙世紀より我が選んだ最高最上のモビルスーツ。これをBETA駆逐の雫として垂らすことに決めた。そして白銀武よ。使い手として貴様を選んだ』

 

 「なぜオレを………」

 

 『因果導体となった貴様は、人間ではありえない程に長くBETAと戦ってきた。その経験、戦闘技術。そしてなによりBETAの脅威を誰より知る者。貴様ならば過たずこれを使い、BETAを滅ぼすであろう。故に貴様しかないと選んだ』

 

 「………………」

 

 つまりオレをBETAとの戦いの駒にしようってか。

 こんな身勝手なジジイにいいようにされるか!………なんて青臭さはとうになくなった。

 駒には駒の生き方やり方がある。

 力があって利用できそうなら利用するまでだ。そいつの思惑など知ったこっちゃない。

 腹に一物かかえた者同士利用しあってこそ世界は動かせる、変えられる。

 夕呼先生につき合っているうち、そんな生き方を身につけた。

 

 『さて、決めてもらおう。奇跡は望まねば与えてやれんのでな。汝白銀武よ。我が申し出を受け、これを手にするか否か? BETAを滅ぼす絶対の剣を掲げ振るい、熾烈なる試練への渦へ入るや否や?』

 

 「受けよう」

 

 『ほう、即答か。さすがだな』

 

 正直言えば怖い。

 

 この機体の禍々しさ。人の作ったものとは思えない畏れすら感じる。

 

 だが、同時にこれこそあのBETAを滅ぼすにふさわしい得物だと確信することができる。

 

 ならば迷わない。

 

 これを与えるこいつが悪魔であろうとも力を手にし、あの破滅の虫ケラを滅ぼすまでだ。

 

 「で、本当にコレを俺が動かせるのか?」

 

 『さあな』

 

 ――――――!??

 

 『さすがにコレを動かすにはそれなりに時間がかかるだろう。いや、起動にすらたどり着けんかもしれん。何のバックアップもできんその世界では、我が手を加えようとも動かすだけでも相当の試練となる』

 

 なるほど。さすがは神様が選んだ最強兵器だ。

 

 「だが、動かし使いこなせれば確実にBETAは滅ぼせるんだろう? ならやってやるさ」

 

 『本当に迷いはないな貴様は。よかろう、ますます気に入った。一つ明かそう。貴様を送る世界は全ての世界の重要な結節点。滅ぼされること相成らん。BETAにも人間にも。絶望の世界を見た貴様だからこそ明かした』

 

 「言われるまでもない。オレはもう世界を滅ぼそうとする奴らの誰にも負ける気はない。神様のなりそこないのジイさん、アンタの力を借りるぜ」

 

 『では我が与える奇跡と試練、見事乗り越えBETAにうち勝つがよい。行け!』

 

 その言葉と同時、その機体と共に俺はどこかの世界へと飛ばされた。

 

 (そういえば純夏以外に平行世界へ送られるのは初めてだったな)

 

 最後にそれだけを思った――――

 

 

 

 

 

 

 

 




 神様モドキ 『受け取るがよい。我が選んだ最強モビルスーツ【ラフレシア】!』

 白銀 「うわぁぁぁぁぁ! 地球じゃ重すぎて動かせない! 武器もこんなにたくさんの触手動かせない! あとモビルスーツじゃないし! ボケすぎだジイさん!」

 …………と、いうオチになる予定です。
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