ゼータと上総   作:空也真朋

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 今回は色々言われている補給の話をします。けっこうゼータから離れちゃうけど、単独で動かせる機能を考えたらこうなりました。


05話 基地(ベース)もないのに補給はどうしよう?

 閃光 白光 照射 直撃 焦熱 灼熱 

 

 思わぬ不覚をとり、光線級レーザーの集中砲火を受けてしまった。

 

 一瞬、彼女(上総)の生前の部隊仲間の機がレーザー照射で爆山した光景が浮かんだ。

 

 そして自分もその運命を辿ったと思った。

 

 だが、そうはならなかった。

 

 レーザーが当たる瞬間、Zガンダムの機体は眩く輝いたのだ。

 

 そして気がついてみると、Zガンダムは健在だった。

 

 

 

 「…………まさか無事? ノーダメージ? いえ、今は!」

 

 一瞬とまどったものの、すぐ脚部スラスターを全開。超加速な逃げ足で、第二射を撃たれる前にレーザーの死角となる安全圏へ移動。

 ここにも相変わらず赤グモ(戦車級)は追ってわいてくるが、迎撃しながら会話できるほどには余裕がもてる。安全を確保すると、さっきの現象に疑問がわいた。

 

 「さっきはどうなったんですの? レーザーを撃たれて、どうしてわたくし達は無事に?」

 

 「ビームコンフューズの応用だよ。ビームエネルギーを放出してレーザーを拡散させたんだ。ゼータの装甲は耐熱に優れているんで、何とかこれで耐えることができた。さすがに直撃されたらタダじゃすまないけど」

 

 ゼータの装甲は対衝撃に優れたガンダリウムγ。さらに大気圏突入を想定して入念な耐熱処理を施されているということを、専門的に説明された。

 要するにzガンダムの性能で助かったということか。ハロのやたら長い説明でわかったのはそれだけだ。

 

 「とはいえ、やっぱりアレを受けるのはやめて欲しいな。ゼータの防衛システムでもノーダメージとはいかないし」

 

 「反省しますわ。今後はレーザーには気をつけて戦います。これが戦場の洗礼というやつですわね」 

 

 「そうしてね。じゃ、そろそろ撤退しようか。もうテストも十分だよね?」

 

 「何を言っているんですの!? まだ………ッ!」

 

 ビームライフルで相当に数を減らしたとはいえ、まだいくらでもBETAはわいてくる。オレ達が撤退したら、たちまちBETAは東日本に押し寄せるだろう。

 

 「エネルギーがヤバイんだ。さっきのビームコンフューズで相当消耗したし、ビームライフルも撃ちすぎて消費が激しい。まったく、光線級なんているんならIフィールド付きの機体を選ぶべきだったよ。それならもっと低燃費でレーザーをはじき返せたんだけどね」

 

 くっ、そうかエネルギーか。確かにゼータは火力が高い分、あまり燃費がいいとはいえない。もっと効率の良い戦い方を考えねば………………って待て。いま根本的な問題を発見したぞ。

 

 「…………ねぇハロ。根本的な問題なんですけど、機体のエネルギー補給ってどうなさるんですの? まさか『機体内のエネルギーを使ったらガラクタです。でっかいフィギュアです』ってわけじゃありませんわよね?」

 

 「うん、そう。いやぁ盲点だったねぇ。補給とか考えないで機体なんかを神様に願っちゃったよ」

 

 「いやぁぁーーーーーー!!!!!!!」

 

 どうすんだよ! このZガンダムだけが頼りだったのに!

 これじゃ、この無限質量の宇宙怪獣軍団に対抗する方法なんてまるで無いじゃないか!

 

 「なーーんちゃって。驚いた? 大丈夫。ちゃんとエネルギー補給の方法もあるよ」

 

 ゲシゲシゲシ! ガンガンガンガン!

 

 「ああやめてよ。蹴らないで。外装工と違って内部はデリケートなんだから」

 

 「うるさいですわ! このガラクタはタチが悪すぎます! それでエネルギー補給の方法は?」

 

 「まずバルカンやグレネード・ランチャーなんかの実弾兵器から説明しようか。それはどこかの部隊が使っているものを取ってきてボクに装填してね。多少規格が合わなくても調整して撃てるようにするから」

 

 「現地調達? いわばチョロマカシですの? 大樹日本帝国の枝たる武家の門が一つ、山城家の娘にして斯衛軍衛士のわたくしになんてことを!…………いえ、わたくしは違いましたわね。で、ビーム兵器のほうは?」

 

 オレは武家娘でもなければ斯衛軍衛士でもない。いいかげん、この体の記憶に振り回されるのはやめよう。

 

 「山城か。それがその子の名字なんだね。で、ビーム兵器のエネルギーの調達方法はね。ボクの体は近くにあるBETAの死骸からG元素を吸収できるようになっているんだ。それをエネルギーに変換する」

 

 「G元素? なんですの、それ」

 

 「BETAの活動エネルギーってところかな。BETAは人間建物戦術機何でも食べるけど、それがエネルギーになることはないんだ。体内にあるG元素を消費しながら活動する」

 

 「え? じゃあ何でBETAどもはあんな貪欲にあらゆる物を食べてますの? イナゴ被害が可愛く見えるあの食欲はどこから?」

 

 「知らないし、話が脱線してイスカンダルにでも行っちゃうから聞かないで。とにかく、モビルスーツの小型熱核反応炉の本来の燃料は木星産ヘリウム3だけど、ボクのはそのG元素を燃料にする。ビーム兵器のエネルギーにも変換されるから、BETAとならいつまでも戦えるってワケさ」

 

 「まぁ。それじゃ普通にBETAを倒していればエネルギー問題は解決するんですのね? 焦って損しましたわ」

 

 「うーん、そうなんだけどね。普通に動いて戦うだけならそれでもいいんだけど、大規模殲滅用のハイ・メガ・ランチャーを使うにはそれなりに高エネルギーがいる。だから使いたいなら、さっき攻撃してきた光線級を倒して欲しいんだ」

 

 「光線級光線級。……ああ、座学での記憶にありましたわ。チビで目玉ギョロリのBETAですわね」

 

 「そう。あれには一般のBETAとは比べものにならないくらい高密度のG元素がある。強力なレーザーを放つんだから当然だよね。あれを近づいて倒してほしい。そうすればエネルギーウハウハ。ハイパーメガランチャーも撃ち放題。BETA殲滅も簡単だね♡」

 

 「…………あのレーザーを掻い潜り寄って倒せと言いますの? 一機光線級吶喊(オンリーワン・レーザーヤークト)? 出来るとお思い?」

 

 「やっぱ無理?」

 

 「ですわね。それにしても随分いろんなことを知ってますのね。どこからその知識を仕入れましたの?」

 

 「え? 転生するとき、神様からBETAやこの世界や機体に間する情報を貰っているはずだけど。上総にもいろんな知識があるハズだよ。ニュータイプ能力のこととかモビルスーツの動かし方や戦い方とか」

 

 ハロにそう言われて俺の頭の中の記憶を掘り起こしてみる。

 しかしいくら考えてみても、そんな知識などまるで浮かんでこない。

 

 「……………ありませんわ。いくら思い返してみても、嵐山の衛士訓練校や山城の家のことしか思い出せません。自分が上総になる前、どんな人間だったかさえわからなくなっていますわ」

 

 「ああ、そうか! その記憶は前の和也の肉体にあったんだ。山城上総になったから、その記憶は全部失われてしまった。どうりで戦い方もぎこちないし、何も知らないと思った!」

 

 「最悪ですわね。こんな状態で、わたくしはどうすればよろしいのかしら?」

 

 元はといえば、こ奴がオレの体を原子分解なぞしたからこうなった。

 いったいどんなウッカリミスすれば、そんな致命的なことが起こるんだ!

 

 「ま、まぁ、ボクが一応の必要な知識はあるから大丈夫だよ! 戦い方とかニュータイプ能力は実戦で覚えていけばいいし。とにかく今は京都から離れてこれからのことを考えよう」

 

 確かにハロの意見は正しい。しかし、どうしてもオレは、オレの中の何かはここを離れることを良しとしない。後の日本の運命を憂えてしまう。

 

 「わたくしたちがここを撤退したら…………」

 

 「光線級をどうにかできなきゃ、どうしようもないよ。ボク達ずいぶんBETAを倒したし、帝国も時間を稼げたはずだよ。あとはその時間で準備した関東の戦力にまかせようよ」

 

 

 

 

 『ボク達ずいぶんBETAを倒したし』……………か。

 

 ハロの台詞(セリフ)のその部分だけが、やけに引っかかる。

 

 オレはこの世界に来て、一匹すらBETAを倒していない気がする。

 

 オレの中のオレのものじゃない使命感。

 

 ここの戦線に立つ者達への敬意。

 

 この国を愛する気持ち。

 

 それらオレのものじゃない想いに引っ張られ、動いてただけな気がする。

 

 おそらくはオレのニュータイプ能力。

 

 それがこの()の体に残るその気持ちを読み取り、動かされていたんだろう。

 

 だったらいいかげん、オレもオレの意思でBETAと戦うか。

 

 死してなおBETAに立ち向かう勇敢な女の子の尻尾として。

 

 

 

 

 「ハロ。やりますわよ」

 

 「はい? 何を?」

 

 「一機光線級吶喊(オンリーワン・レーザーヤークト)ですわ。目玉連中を潰し、喰いまくり、ハイ・メガ・ランチャーの(かて)にしておしまい!」

 

 

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