分隊と共に前線基地へと帰投したオレ達。
基地を一望できる丘陵のそこで見たものは…………
『な、なんだよコレ! 基地が一面、BETAだらけじゃないかよ!』
『き、基地の敷地が埋め尽くされている……チクショウ、糞共め!』
「まぁ。じつに香ばしい光景ですわね」
前線基地敷地の中も外もすでにBETAで蹂躙され、あらゆる設備が刻々と破壊されてゆく。
分隊の子達にとってこの基地は家同然らしく、通信の声は無念に満ちていた。
『怯むな! 命令通り遅滞戦闘を行う。まずは遮蔽物の多い場所に
イヴァノワちゃん勇ましいなぁ。
さて。オレにとっては先ほどの試験部隊のシッポとは違って、本当に久しぶりのBETA戦。
現場の基地は素敵にBETAに埋め尽くされて、じつにヤバい。
これぞ本当のBETA戦だな、うん。
「それでは、みなさん。当機体から大きく離れてください」
『どういうことだ!! まさか逃げる気か!?』
『逃がさん! こうなっては一機でも弾幕を張れる奴は必要だ。ここへ来ると言った以上、責任はとってもらう』
分隊全員が一斉に突撃砲をこちらに向けての
斉射体勢は一瞬だし、息もしっかり合っている。さすがの練度だ。
「離れていた方が良いと思いますけどねぇ。ま、説明なんて時間の無駄ですし。はじめますわ」
主機をひきあげ、半分以上眠らせているゼータのメインシステムを全開にする。
BETAにはより高性能の電子機器に反応し、優先的に襲うという性質がある。
つまり宇宙世紀製の、
『ジ、ジャール2! 西のBETA梯団が一斉にここに!』
『正面もだ! 最大規模の梯団がこちらへ接近ッ! 当地点はヤバい!!』
『うわあああ東までも! 完全に囲まれた! 退避経路なんてどこにもない!』
『なんだとッどういうことだ!? なぜ戦域すべてのBETAがこちらに向かってくるっ!? 概数はいくらだ!』
『よ、四千っ………いや五千ッ! わ、わからねぇ! とにかくマーカーが赤一色だ!!』
―――と、なるのだ。
フフフフ、ガキ共よ。我が青春【ガンダム】を
せいぜい恐怖に溺れるがよい。
そして見よ! 華麗なるゼータの勇姿を目に焼き付け、己の愚かさを知るがよいわ。
フハハハハーーッ!
「それでは行って参ります。
『
「ふふっ、それがニュータイプですわ。機体性能だけでは為し得ない奇跡をご覧あそばせ」
それまでの鬱憤を晴らすように五百キロで疾駆。
まず目指すは光線級!
前方を要撃級が阻むようにふさぐが、軽くビームサーベルで
やがてレーザー警戒区域にまで近づくと、それまでワラワラ寄ってきたBETAは割れるように道を開ける。
そして前方からレーザー集中砲火の歓迎。
「この真夏の陽光のような眩い道も懐かしく感じられますわね。でもコイツら、レーザーが遅いんじゃありませんこと? もしかして不良品かしら」
「そんなわけないじゃん。上総のニュータイプ能力が上がったんだよ。バイオセンサーが主機を上げまくって、調整が大変だ」
「ふふっ。いっそレーザーを掻い潜ってどのくらい近づけるか、ためしてみます?」
「冷却が間に合わなくなるからやめて。オーバーヒートで振りまわされるのって、メカには酷い拷問なんだよ(泣)」
レーザーを掻い潜りながらハロと会話ができる程に、光線級吶喊《レーザーヤークト》が余裕になってしまった。
「では、愛機のために簡単に終わらせますわ。お休みなさい、目玉のみなさん」
ビームライフルの有効射程にはいった瞬間、ビームライフルを乱射。
あっという間に光線級の一団は肉塊に変わった。
「またまた
「そんな意味ない記録なんか調べないって。誰も上総と
光線級を全滅させると、再びBETAが一斉にせまってきた。
「遊びが過ぎましたかしら? 退避が遅れましたわ」
ハロと無駄話をしたせいで、さっきまでの道が完全にBETAに埋め尽くされた。
まあいい。だったらBETAの死山血河を築いて強引に押し通るまでだ。
――――――と、思った瞬間だ。いきなりニュータイプの直感が閃いた。
「ヤバッ! 上!?」
反射的に機体を強引に進ませる。
瞬間、巨大な衝角付き
迂闊にも周囲の要撃級、戦車級ばかりに気をとられ、かなり先にいる要塞級の一団には注意が薄かった。
「少し油断が過ぎましたわね。上にも注意となると、ここは位置が悪いですわ」
「スペックを過信して戦場の基本を忘れたね。慢心慢心」
移動しようにも、見回すと雲霞のごとく一面にBETAの群れ。
さらにレーダーにはBETAのマーカーが真っ赤になるほど集ってきている。
「まったく。この気持ち悪い光景はいつまでも慣れませんわね。鬱陶しいし、キリがない」
ビームライフルを乱射しまくるが、接近をわずかに止めるだけでいつまでも減らない。
さらに
「光線級を倒したからハイパー・メガ・ランチャーを使えるよ。使う?」
「使いたいですが、ちょっとコイツらを引き離さないと。構える
ビシュビシュビシュビシュ
ビームライフルの音………白銀? でも間隔がやけに狭い?
ハッあれがフルオート機能の音!
と突然、先ほどから鬱陶しく
さらにビームライフルの音は続き、一体また一体と落ちていき、やがて全滅した。
「ええっ早すぎる! タフな要塞級はビームライフルでも連続でなんて倒せないよ!」
「これがビームライフルフルオートの威力ですわ! 着弾を集中させれば、要塞級の巨体すら撃ち抜くことが可能ですわ!」
程なくしてその方角から無数のビームライフルの光条が流れてきて、目の前のBETAの群れ十数体が肉塊となった。
すごいビームライフルの密度だ。
やがてBETAの死骸でできた汚い絨毯を渡って、ビームライフルを乱射しながらνガンダムが来た。
『アーガマ02、雑に戦いすぎだ。目標を達成したら速やかにこちらと合流しろ』
「ごめんなさい、反省いたします。あ、そういえば分隊のみなさんはどうしました?」
『BETAの圧力が弱まった頃に別れた。優先的に狙われるのはこっちだし、別れた方が向こうは安全だからな』
イヴァノワ大尉達は無事か。
ホッとした自分に少し驚く。案外、あの生意気で凶暴な子達を気にかけていたんだな。
「とにかく来ていただいて助かりましたわ。これで必殺のハイパー・メガ・ランチャーでこいつらを………」
『よし、連携してここを抜けるぞ。まずは背中を守り合う。目の前の敵だけを倒せ』
νガンダムはゼータの背面に背中を合わせてつく。
そして猛烈な勢いでビームライフルをフルオート乱射する。
次々に前面のBETAを肉塊に変えていく。
「あ、いえ、ハイパー・メガ・ランチャーは余剰熱を背面に排出するんで、これでは撃てない…………ああ、もういいですわ!」
オレはハイパー・メガ・ランチャーを背中に戻し、再びビームライフルを撃ちまくる。
ハイパー・メガ・ランチャーよ。お前はつくづく出番に恵まれない武装だな。
アニメでもいつ使ったか分からないし、もしかして設定だけ?
「喰らいなさいハイパー・メガ・ランチャーの哀しみを! 哀武装!!」
ハイパー・メガ・ランチャーの想いをビームライフルにのせ、撃ちまくる。
背中からは絶え間ないフルオートの音。
前面後背ものすごい勢いでBETAの死骸は量産されていく。
『よし、このまま微速で移動だ。基地から引き離して爆撃可能な位置まで誘引するぞ』
――――まるで青春映画だ。
背中を合わせたままでしか寄り添えない。言葉もかわせない。
だから彼氏彼女は言葉の代わりにビームライフルを撃ちまくる。
そんな三文シナリオのヒロインになった気分。
「ふ………ふふふ。あははははは!」
『上総?』
眩いビームライフルのスポットライトに包まれた、背中合わせ二機のガンダム。
観客のいない華やかなステージの自分がおかしくて、笑いが止まらなくなった。
青春ビームライフルグラフィティー。
書いているときに聞いている曲に影響されて、作品が妙な方向へ行ってしまうのはよくあることです。