ゼータと上総   作:空也真朋

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61話 BETA超決戦兵器

 白銀武Side 

 

 「うぐっ!?………………………………ここはどこだ?」

 

 さっきまで俺はνガンダムのコクピットにいて、ラトロワ中佐と通信で話していたはず。

 だが今見ている光景は、辺りが虹色に輝いており、空間が果てしなくどこまでも続いている。

 

 「体が軽い…………この軽さは経験がある。精神体になったときのそれ。ってことは、俺は今どこかに精神のみが閉じ込められているってわけか!」

 

 ――――「よくわかった。いきなり招待したが、とっさにそこまでたどり着くとはさすがだ」

 

 いつの間にかこの空間に俺以外の人間がいた。

 

 「誰だ?………………うっ!? まさかアンタは!」

 

 ノーマルスーツを着ているゆるいパーマのかかった柔和な青年。

 だが、それは昔みた劇場版に出てきたあの青年だった。

 

 「アムロ・レイ……………なのか?」

 

 「その魂の残滓、といったところかな。本来ならこの機体の中で漂っているだけの存在だが、とある高次元の存在に力をもらってね。このように君を精神体の世界へ招待することもできる」

 

 「神様モドキのじいさんか! そうか、このνガンダムはあなたが最後の戦いで使っていたものだったな」

 

 アムロ・レイの魂の残滓付きνガンダムか。

 プレミアが凄すぎて泣けてくる。

 

 「力をもらった理由だが、どうやら君をニュータイプにしなきゃならないらしい。さて、説明はこのくらいで良いだろう。時間もないことだし、さっそく始めよう」

 

 「な、なにをです?」

 

 「ニュータイプの授業だよ。時間がないから手荒いぞ」

 

 

 

 

 

 

 「くっ、ぐあああああっ」

 

 「もっとだ。もっと、おれの思念に同調しろタケル。そして見ている世界を一段上の階梯から見るんだ」

 

 糞っ! なんだこの頭を絞られるような激痛は!

 『思念に同調しろ』と言うが、アンタのはあまりに超感覚。

 耐えるので精一杯だよ!

 

 『タケル。君がニュータイプに目覚めなければ、この空間から出ることはできんぞ。今すぐニュータイプになれなければ、待っているのは死だ』

 

 「ニュータイプにならずんば死だと? なんでだ!? こんな急にニュータイプにならなきゃならない理由がどこにあるんだ!? 答えろアムロ・レイ!!」

 

 『【戦士よ問うなかれ】だ。それとも君はこういった場合、理由探しにさまようだけか? 君の培ってきたものはそんな薄っぺらいものだったのか?』

 

 「くっ、くそぉぉぉぉ! うおおおおおお!!!」――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………残念ながら時間だ。タケル、君の戦いはここで終点だ。長い死に戻りの旅路は無駄だったな」

 

 意識を失いかけている俺を置いて消えようとするアムロ・レイの思念。

 だが、俺もこのままじゃ終われない。

 俺が越えてきた戦いや経験は、誰であろうと舐められるわけにはいかない!!

 

 「待てよ……………ッ。勝手に終わりにするな。ようやく……分かってきたぜ、ニュータイプ。こうだろぉ!!」

 

 

 ――――――キィィィィン………………

 

 

 「…………ほぉ。確かにおれに”共振”した。君は”死にかけ”が本番のようだな」

 

 「うぐっ! ハァハァ………」

 

 糞っ! もう意識が……………

 

 「もう終わりか。拙いが良しとしよう。とりあえずサイコミュ武装は使えるだろう。あとは君の相方の彼女にでも鍛えてもらえ。ほら、出口だ」

 

 急速にこの空間が遠くなっていく。

 精神が現実世界へと引き寄せられていくのだろう。

 

 「待ってくれアムロ・レイ! どうして、こんなやり方で俺をニュータイプにした? こんなニュータイプを戦いの道具にするようなことは、アンタが一番嫌っていたんじゃなかったのか!?」

 

 「『ニュータイプは戦争の道具じゃない!』か。そんなことを言う資格がおれにあったのかな。口ではそんなことを叫んでも、やっていることはモビルスーツに乗って戦うだけだった。少しでもニュータイプになった人の道筋をつける努力をしていれば、あの男とも…………」

 

 「アムロ・レイ?」

 

 「いや、悪かった。この愚痴はどうでもいい。君が今すぐニュータイプにならなければならない理由だったな。今、【アクシズ・ショック】に匹敵する災厄がこの地に迫っている。高次元存在は君をそれに対抗させるためにおれの存在を甦らせ、君に強引なニュータイプへの覚醒を促した」

 

 「なにっ!?」

 

 あの神モドキじいさん、今も俺達を見ているのか。

 

 「νガンダム。いい機体だ。おれの棺桶にはもったいないくらいのな。アイツもせっかく甦ったんだ。上手く使ってやってくれ」

 

 ますますこの世界が遠くなっていく。

 俺の意識が元の世界へと引き戻されていくのを感じる。

 遠ざかるアムロ・レイに、必死に声をかける。

 

 「待て! 何なんだ、その災厄ってのは!? アムロ・レイ! いったい俺に何と対抗させるつもりなんだ!」

 

 「タケル、君はおれのようになるな。ここに迫るもの。それは―――――――――」

 

 

 

 

 

 

 ♠♢♣♡♠♢♣♡

 

 山城上総Side

 

 『上総! サイコフィールドを張れ!!!』

 

 「し、白銀!?」

 

 いきなり通信から白銀の声が響いた。

 さっきまでの通信途絶は何だったんだ?

 『それを説明しろ!』と言おうとしたのだが…………

 

 『飛べフィンファンネル! Iフィールド展開!!』

 

 「なっ!? フィンファンネルが!!」

 

 νガンダムの背部からフィンファンネルが四方に飛んだ。

 そしてそれは、Iフィールドを広範囲に張った。

 

 「し、白銀? 今まで何を? それにどうしてファンネルを…………」

 

 『問うな! 今はただ、俺の指示に従え!!』

 

 何も分からないままバイオセンサーを起ち上げる。

 するとハロが叫ぶように警告する。

 

 「上総! 三時上方から高熱源反応が来る! 索敵範囲よりさらに外からの攻撃だ!!」

 

 「なっ!? さ、サイコフィールド!」

 

 

 カァァァァッ 

 

 ――――で、デカイ!!

 なんだ、この膨大な高熱線は!?

 

 ドォォォン ズゥゥゥン…………

 

 

 『ト、トーニャ! キール!』

 

 後ろのジャール大隊の幾つかの戦術機が爆散した。

 通信から散った仲間を呼ぶ声が哀しく聞こえる。

 隊をオレ達より大きく離れさせたのが(わざわ)いした。全ての盾にはなれなかったのだ。

 

 『ラトロワ中佐、ここは俺達にまかせて撤退を! 急いで!』

 

 『わ、わかった! こんな訳も分からないままやられるのはごめんだ。全機退避! 光線級のセオリー通り、高度はとるな!』

 

 蜘蛛の子を散らすように撤退するジャール大隊と紅の姉妹(スカーレット・ツイン)

 いや、『俺達にまかせて』って、どうまかされりゃ良いのよ?

 いきなり復活してから、この超展開。

 何がどうしてこうなったか、シナリオでも読ませてくれ白銀先生!

 

 「白銀! なんですの今のは? わたくし達は何に狙われたのです!」

 

 「ボクの分析によると光線級のレーザーだ。でも何で上から照射が? それにあの膨大な熱量は………ああっ、爆撃機が!」

 

 ハロの声に上を見ると、今度は上空に巨大レーザーの閃光が走った。

 すると残余のBETAの始末をしていた航空爆撃隊が、全て爆散した。

 たった一発で!!

 だが、客観的に見られたことで確信した。

 ハロの言う通り、これは光線種のレーザーだと!

 

 「くぅっ、ここの地形はあの巨大なアヴァチャ山に守られて、光線級のレーザーは来ないんじゃありませんでしたの!?」

 

 ペドロパブロフスク・カムチャッキー基地に来たとき説明されたが、この一帯は2000メートル級の成層火山アヴァチャ山に守られ、光線級のレーザーは空も含めて攻撃されないはずなのだ。

 

 「白銀、新種の巨大光線級だね? もし山を越えた大きさの光線級なら山の防壁も無意味だ! もうここはレーザーの安全地帯じゃない」

 

 2000メートル級の山を越えるBETA!?

 それって、もう怪獣じゃないか!!!

 

 『ああ、ハロの言う通りだ。ヤバイのはここらだけじゃない。ヴランゲリ島からカムチャッカ半島まで、北東ソ連全域が照射範囲だ!!」

 

 「な、なんですってぇ! そんな広範囲にレーザー照射だなんて!」

 

 

 ――――――ピキーーン

 

 

 くっ、また来る! あの巨大レーザーが!!

 

 『アーガマ02、奴の狙いはオレ達だ。ジャールと逆方向に行く。アヴァチャ山を目指せ!』

 

 言われるまま白銀のνガンダムについて行く。

 

 カァァァァッ

 

 再びこちらに巨大レーザーがきたが、照射の位置とタイミングはわかるので、大きく避けてかわす。

 照射の当たった地面は、ドロドロに溶けてクレーターになった。

 くそっ。あんなの、サイコフィールドで防いでも何度も持たない!

 

 「本当に遙か上から照射してきますわね! でも本当に巨大光線級BETAなんてモノがいるんですの? 山の上から照射しているとかじゃなくて?」

 

 「…………いや、照射元はアヴァチャ山のさらに遠くからだ。とうとうBETAがボク達を本気で狙いにきたというわけ? 白銀」

 

 『ああ、そうだ。BETAは戦った相手を学習し、それに対応した戦術を行う知能がある。だが、ガンダムは強すぎた。【どのような戦術を駆使しても倒せない相手】BETAの大元はそう見たんだろう』

 

 「概在のBETAでは倒せない…………なら、新種のBETAを生むしかない。その答えがアレ、か。いわば【BETA超決戦兵器】。まったく大物に見てくれたね」

 

 「高所遠方から極大出力のレーザーを照射するBETA!? なんてものを! くうっ、また!」

 

 

 カアァァァァァァッ

 ドォォォン………

 

 

 こんな大出力なのに、おそろしく間隙が短い。

 どうにか躱したが、このままではジリ貧だ。

 地形を利用できないなら、いっそ光線級のセオリーの逆で空中を行くか。

 躱さなきゃいけないなら、よりスピードの出るウェイブライダーの方が良い。

 

 「ウェイブライダーで空を行きます。照射範囲は広くとも、20キロ以上先から照射してくるなら余裕でかわせます。アーガマ01、別れましょう。わたくし達が囮になりますから、その間に逃げてください」

 

 『いいや、俺も連れていけ。俺達は逃げるんじゃない。奴を倒すんだ!』

 

 「ええっ! 20キロ以上離れた敵をどうやって……………ああ、もう! とにかく行きますわ。タイミングを合わせてください!」

 

 ゼータを巡航形態のウェイブライダーへ変形。

 そこにνガンダムは飛び乗り、アタッチメントで足を固定する。

 そこまでしたとき、再びの照射の気配が襲ってきた。

 

 「行きます! とにかく、できるだけ近づいてみましょう。奴の姿を見ながら倒す方法を考えますわ!」

 

 ウェイブライダーはνガンダムを乗せながら上昇。

 オレは巨大レーザーをかわしながら、その元凶へと舵を向けた。

 

 

 

 

 




 ついにソ連編メインの敵の登場!
 TEの最終章で、ソ連の地に現れた超光線級のさらに強化版です。
 あと前回サイコミュを起動させていたのは、白銀じゃなくアムロ・レイの魂の残滓でした。
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