ゼータと上総   作:空也真朋

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67話 グリプスの夢

 ハイパー・メガ・ランチャーの白い光爆が反応炉に直撃した途端、周囲にウジャウジャ群がっていたBETAは一瞬にして蒸発した。 

 さらに反応炉より離れた場所にいたBETAも、波及する熱波に溶けていった。

 されど反応炉はこれをもってしても健在。変わらず青白い光をたたえたままだった。

 

 「なんて奴! この至近距離からのハイパー・メガ・ランチャーに耐えていますわ!」

 

 大地は数千度の焦熱地獄でドロドロ溶けているのに。

 こりゃあ反応炉の外殻を剥くのはかなり苦労する。

 この場所を立ち去る前に反応炉を二度と使えないようにしておかねばならないし、なんとかこれでトドメといきたいが。

 

 「たいしたものだね。でも崩壊している巨大BETAの体からG元素がタダ漏れだ。ボクはそれを吸収してハイパー・メガ・ランチャーのエネルギーにしている」

 

 「つまり、奴が生きている限り撃ち続けられることですわね! フフフ。せいぜい無駄な抵抗を続ければよろしいですわ。あら?」

 

 やがて反応炉に異変がおきた。

 「バシュウウッ」と熱で油がはじけたような音が聞こえ、外殻が崩れるように崩壊していったのだ。

 

 「やりましたわハロ! 今度こそ本当の本当に奴の最期ですわ!」

 

 オレはハイパー・メガ・ランチャーを止めた。

 大地がドロドロ溶けて地形が変わりはじめていたので、いいかげん止めたかった。

 

 「うわああああっ!!!」

 

 と、ハロが苦しそうな声をあげた。

 

 「ど、どうしたんですの?」

 

 「G元素が大量に来た! 【G元素吸収モード】にしていたせいで過吸収だよ! このままじゃデブってダブルゼータになっちゃう!!」

 

 なんと! ダブルゼータはゼータがエネルギーを大量に食べてデブって出来たのか!?

 はじめて知った以外な事実!

 いや新発見に驚いている場合じゃない。

 コクピットの中がやけに眩しい光につつまれている。

 いや、コクピット内だけじゃない、ゼータの全身がだ!

 ゼ-タの中の全てのサイコフレームが過剰に反応して止まらないのだ。

 どうにかエネルギーを放出しないと!

 と思ったが遅かった。

 眩いサイコフレームの光に包まれ、オレの意識は光の中に溶けていった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――――え?」

 

 気がついて辺りを見ると、そこは宇宙空間だった。

 なんでまた宇宙に?

 それに宇宙ではあっても、静寂の暗黒宙域ではない。

 あちこちに宇宙艦やら人型機動兵器やらが戦っていて、爆発やらビームやらが飛び交っているのだ。

 どこだ、ここは?

 体を動かそうとしたが、指一本動かせない。

 

 

 ――――「わかるまい。戦争を遊びにしているシロッコには俺の体を通して出るこの力が!」

 

 

 …………はい? どこかで聞いたようなセリフが聞こえる?

 いや、これは自分の口から?

 それにオレ以外にも何人もの人間の気配を感じる?

 女の人?………それも、どこかで見たような……………

 あれはまさか!?

 フォウ………エマ…………ロザミア…………さんなのか!?

 この体に、彼女らの意識が宿っている!?

 そして自分の宿っている肉体の目を通して目前を見ると。

 そこは宇宙で、猛スピードである機体に突進していく光景が映し出された。

 

 あれは…………【ジ・O】!?

 うわああああっ! ぶつかる!?

 

 

 ――――――「ここから、いなくなれぇっ!!!」

 

 

 まさかコレは【機動戦士Zガンダム】最終回のあのシーン?

 せまるジ・Oの巨体を見ながら、オレは再び気が遠くなっていった――

 

 

 

 

 

 

 

 再び目を覚ますと、そこは見知ったゼータのコクピット内。

 全天周囲モニターのスクリーンを切った、いつものそこだった。

 

 「あ、上総。起きた? どうにかサイコフレームを静めることに成功したよ。いま原子炉とエネルギーカップを調整してエネルギー過剰に対応できるようにしている」

 

 いつも通りのハロの声。

 やはりここは宇宙世紀時代のゼータのコクピットじゃないな。当たり前だが。

 

 「なんか変な夢を見ましたわ。宇宙世紀でグリプス最終決戦時のZガンダムに乗って……………いえ、あれは違いますわね。【機動戦士Zガンダム】主人公のカミーユの体に宿ったのですわね。エマさんやフォウさんと一緒に思念体になって、カミーユの体に宿ってジ・O(オー)に突撃する夢を見ましたわ」

 

 しかしリアルな夢だった。

 まわりにいる思念体のみなさんに『あれ誰?』みたいに見られていた所までリアルだった。

 フォウさんの冷たい眼差しは、ちょっとクセになりそう。

 

 「そりゃ多分夢じゃないよ。上総は本当に思念体になってそこへ行ったんだ。ほら、お土産も持ってきている」

 

 コクピットの全天周囲モニターがオンになり、周囲の映像を映した。

 一面の焦土と巨大BETAの残骸。そして崩れた反応炉といったものの中にポツンとひとつの異物がそこにあった。

 

 「え?…………ああ! あれは!?」

 

 そこには巨大な人型の機体が横たわっていたのだ。

 通常の戦術機よりはるかに巨大で鈍重そうなフォルム、そして胸部に穿たれ開いた大穴。

 それはまるで神話の巨人が討ち取られたようにも見える。

 だが全身にとりつけてある無数のスラスターと、側にある巨大なビームライフル。

 そして宇宙戦に特化したような洗練されたフォルム。

 それによって明らかにこの世界の戦術機とは一線を画したはるか未来の機体だとわかる。

 

 「……………【ジ・O(オー)】ですわね。なぜ【機動戦士Zガンダム】のラスボス機体がここに?」

 

 「サイコフレームの奇跡だね。さて、あれをどうする?」

 

 

 

 




 一人くらい同姓同名でない本物のゲストを【機動戦士Zガンダム】からを呼ぼうと思ってみました。
 とはいってもハマーン様やシャアだと宇宙世紀の歴史が変わってしまいます。
 なので宇宙世紀最大の天才のあの人に来てもらいました。
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