最近はなろう小説を書いているので、こちらの方はまるで続きを書けてません。
でも読み返してみたら、自分も続きが読みたくなったので書いてみました。
また書くかわかりませんが、とpりあえず新章です。
73話 香月夕呼の憂鬱ふたたび
香月夕呼Side
「まったく。大仕掛けしといてとんだ空振りよね。クーデターなんて言えないほど小規模な小競り合いで終わって、A-01を動かすまでも無かったわよ」
アタシは前日、8月19日の情報をまとめて持ってきた鎧衣にグチった。
その情報量は膨大なもので、とても一日に起こった出来事だけをまとめたものとはとても思えなかった。
それほどに昨日のあの一日には大量の出来事が起こったのだ。
帝国若手将校の決起とそれに付随する米国スリーパーの顛末。
横浜沖合の米第7艦隊の消滅。
北東ソ連に現れた大陸を超えてレーザーを照射する新型大型光線級BETA。
それをたった二機で降したガンダムの活躍。
それに反応して動いた各国政府や組織の動き。
「『泰山鳴動して鼠一匹』とはこのことですな。骨折り損は長年準備してきたこちらもですよ。クーデター前に頭が潰れたせいで、手足たるスパイ、スリーパーは眠ったままでした。また何か新しい手を考えねばなりませんなあ。沙霧直哉には悪いことをしました」
彼、予定通り律儀に決起はしたんだけど、連動して動くはずの各所がまったく動かなくて、早々に帝国軍に鎮圧されちゃったのよね。
それで自分の部隊ごと東南アジアへ逃げたって話だけど、これはもう終わった話。
北米やらソ連やらに出向させたガンダム乗り二人が思わぬ活躍をしてしまったせいで、政治的状況どころか世界が大きく変わってしまったせいで、急激に忙しくなってしまったわ。
「それで? 帝国情報省としてはどうするつもりなの。スリーパーじゃなく第5計画大元の方がまるごと潰れちゃった場合は」
「さて。そんな異常事態をカバーする予備作戦など存在しませんなぁ。ただ、米国の方は第5計画の復活に十年はかかるでしょう。事実上、消滅したも同然です。おめでとうございます」
「そうね……人間方面の最大の敵が消えちゃったのよね。実感なくて感謝もできないけど」
米艦隊を消滅させる元となったHSSTの大爆発。
あれは本来、ここ横浜基地を狙ったものだったそうだ。
危ない所だったけど、それが一転、自分を射殺す矢に変わった故に起こった出来事だそうだ。
「戦場の幻、ロマン戦術機が自ら
「そんな簡単じゃあないわ。たしかに第5推進派は消え、北東ソ連に現れた最大級のレーザー級も倒された。当面最大の敵が消えたことで平和になったわ。でもそうなると、他の勢力も元気になるのよねぇ」
「ええ。今はかつて無いほど米国の力は弱まっています。各地で米国に頭を押さえられていた勢力は、この機に乗じようと元気なものです。巌谷中佐も反米派が勢いづいて大変そうですよ。『この機にアメリカとの関係性を見直してソ連と手を組もう』などと主張して」
「世界各地でも難民テロが活発化。こうなると、かつての【傲慢国家アメリカ】のありがたさが分かるわね。といっても軍の一部が削れただけで、アメリカの持つ政治力、生産性、軍事力が無くなったわけでもないし。いずれは復活するでしょうけどね」
「博士の目下の問題は”プロミネンス”ですかな? 驚異的戦術機の所有の責任者として」
「もう嗅ぎつけたの。さっき話が来たばかりだってのに」
「なに、脅威的BETAを降したガンダムの活躍を見れば、戦術機派が活発になることは当然。つまりはその中心であるプロミネンスが活性化するということです。で、どのような内容ですかな?」
「ハルトウィック大佐からよ。要するに『オルタネイティヴはやめてプロミネンスに加われ』ですって」
「はっはっは。それは大胆ですな、博士にそのような申し出を送るとは。まぁ、あのガンダムの活躍を見れば、博士にうさんくさい研究を続けられるより戦術機開発の方に力を出してもらいたいでしょうな」
「うっさいわよ。だいたいあのガンダムはアタシが作ったんじゃないし。それより、ただ蹴っておしまい、とはいかないのよねぇ。どうやら国連上層部の意向もあるようなの」
「それは……どうなさるおつもりで?」
「とりあえずハルトウィック大佐に一度会って話しあうことは避けられそうもないわ。手は打っておくけどね」
「それで原因となったガンダムと搭乗員たちはどうなさいました? 彼らも関わることになるでしょうが」
「新型を討ったあと行方不明らしいわ。まさかやられたとは思わないけど、どうしたのかしらね」
「そうですな。ハルトウィック大佐と会談するまでに見つからなければ面倒になりますな」
そのときピアティフから内線がはいった。
彼女にしては珍しい焦ったような声で、衝撃的なことを告げた。
『博士、ただいま白銀少尉から連絡が参りました。博士とお話ししたいそうです。お繋ぎいたしましょうか』
「なんですって! いえ、ちょっと待ちなさい」
「鎧衣、今日はもう帰りなさい」
「なにやらまた事態が動きだしそうですな。では、私はこの辺で」
鎧衣が完全に退出するのを確認すると、すぐさま白銀に繋がせた。
「白銀! アンタ無事だったの⁉ ソ連にあらわれた新型BETAはどうなったのよ!」
『まぁ苦戦しましたが、新型は上総が倒しました。ちょっと事情があって部隊には帰らず、日本の北海道に来ちゃったんですが』
巨大光線級の撃破は情報が入っていたが、山城がやったのか。
それと北海道にいるということは、戦術機でオホーツクを越えたのか?
相変わらず驚異的なスペックの戦術機ね。
「とにかく迎えを出すわ。山城も無事でそっちにいるんでしょう?」
『いいえ、上総は事情があって帰投が遅れます。別方面に行っているので』
「はぁ? そんな大事のあとだってのに、どこにいるってのよ」
『インドネシアです』