やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第十八問 バカと夏祭りと浴衣コンテスト (5)

「洪雄麗デス。ヨロシクオ願イシマス」

 

 今度は雄二の番だ。この後には秀吉と彩加が控えてるわけだけど、なんだか解説者のテンションが妙に高いように見えるのは気のせい? 

 

『今度は中国からご参加してくださるとは……如何でしょう?』

『素晴らしいですね……実を言いますと、私は背の高い方はど真ん中ストライクなんですよ!』

『おおっと! ここにきてまさかの高得点!』

 

 それは流石にスポンサー側の勝手が過ぎやしないですかね? 

 いや、今ほど雄二より背が低くて良かったと思ったこともないわけだけど、それにしたって随分とまた……こう、解説の人の一言で色々決まりすぎではありません? 

 

『それでは、何かご質問はありますか?』

 

 司会者が解説の人に話を振る。すると、解説の人は身を乗り出しながら、

 

『是非私と新婚旅行に行きましょう。場所はそう……シンガポールなんかどうだろう?』

 

 もうそれ質問じゃなくてただのプロポーズだよね?! ていうか相手は男だよ!? それでいいの!? ……あ、今雄二は女装してるから、解説者は女の人だと思ってるんだった。でもこの人、雄二が女装してると分かったとしても同じことしてきそうで怖い。

 

「国籍ガ違ウノデコマリマース」

 

 雄二の顔に青筋浮かんでる。今キレないように必死に堪えてる感じだ……。

 

『愛があれば大丈夫。国籍の壁なんて超えられるさ、マイハニー』

 

 もうハニーになってる。もはや色々と前提がおかしい。まだ何も決まってないのに。

 

「愛ナンテアリマセン」

『私には愛を育む自信がある。必ず幸せにしてみせる』

「私アナタノコト嫌イデス」

『友達からでも構わない。絶対に幸せにしてみせる。だから私とどうか……!』

 

 なんでこんなに必死なのこの人。もはやドン引きだよ? 今この場において応援してる人一人もいないよ? あの司会者ですら困惑しているレベルって、どんだけやばい暴走してるの!?

 

「……坂本には正直、同情するわ」

「……同じく」

「あはははは……」

「雄二よ……ワシは無力じゃ……」

 

 あの彩加ですら苦笑いを浮かべている始末。あの解説者が一体どれほど人の話を聞かないのかが手に取るように分かるね! 分かりたくもなかったけどね!

 

「いい加減に……!」

 

 まずい!

 雄二がこのままでは演技を忘れて解説者を……!

 と、その時だった。

 

「……雄二は渡さない!!」

 

 え?

 

『な、あ、貴女は……!?』

「……雄二と結婚するのは、私!」

「なっ、しょ、翔子!?」

 

 あ、これあかん奴。

 

「……木下、戸塚。よかったな、お前らの出番まで回らなそうだ」

「……そうみたいじゃな」

「え? へ?」

 

 八幡は何かを悟ったような目で語り、秀吉はそれを理解し、彩加は少し理解するのが遅れたみたい。

 うん、まぁ……これはもう続けるのは無理だよね、間違いなく。

 

 

 結局、浴衣コンテストは霧島さんの乱入によって中止となり、勝者なしという結果に終わった。事故とはいえ、名誉を守ることが出来て僕としては本当に安心した。

 

「結局、何だったんだろうあの時間」

 

 八幡は何処か遠い目をしながら呟く。

 うん、それは僕も同じ気持ちだよ。何とか体裁を保つことは出来たとはいえ、こうなるのならやらなくてもよかった気がしてならない。

 だけど、楽しくなかったのかと聞かれれば、楽しかったと答えるしかない。

 やっぱ、みんなでこうしてワイワイ騒ぐ時間というのは楽しいものだなぁ。

 

「しっかし、坂本ってば本当器用ね」

 

 美波が雄二の動きを見ながら思わずそう言っていた。

 今僕達はバーベキューをしている。

 海辺のバーベキューなんて、泊りがけで出来る贅沢な気がするなぁ。

 今は雄二が肉を焼いている所だ。

 

「まぁな……ほれ、焼けたぞ」

「ありがとうございますっ!」

 

 姫路さんが嬉しそうに肉を食べている。

 あぁ、なんかそんな姿でも癒しに思えるなぁ……あの地獄のような時間を過ごしたからかもしれない。

 

「それにしてもさ、もしあのまま続けてたら一体誰が優勝してたんだろうね?」

 

 由比ヶ浜さん、貴女は悪魔ですか?

 今その質問します?

 

「うーん、そうだねぇ……案外ムッツリーニ君は良い所いってたんじゃない?」

「……そんなわけない」

 

 工藤さんの言葉に、本気で嫌がっている様子のムッツリーニ。

 うん、これで優勝候補だなんて言われても困るところだよね。

 

「……雄二は渡さない」

「まだ言ってるのか翔子!?」

 

 どうやら浴衣コンテストのことを思い出す度に、霧島さんはあの時のことを思い出してしまってダメっぽい。雄二うらやましね。

 

「ハチの時の盛り上がりっぷりも凄かったよね」

「……忘れてくれ」

「えー、ヒッキー大人気だったじゃーん」

「そうね……貴方、もしかして女装していた方が実は注目されるんじゃないかしら。腐った目をメイクで誤魔化すことが出来るのはポイント高いのかもしれないわね」

「小町としては、お兄ちゃんがお姉ちゃんになるのはちょっと勘弁ですけどねー」

「安心しろ小町。お兄ちゃんもそんなの願い下げだ……」

 

 八幡は脱力しながらそう言った。

 そりゃそうだ……好き好んで日常的に女装するなんてことはないよ。

 

「結局彩加ちゃんの審査がなかったのだけ残念だったなー」

「あはは。なくなっちゃったものはしょうがないよ」

 

 工藤さんがニヤニヤしながら彩加に言っている。

 でも、もしあの場で彩加や秀吉が出ていたら……解説者に何されるか分かったものじゃない。あ、でもあの人は雄二に釘づけだったし平気かもしれない。

 

「思い付きで始めたことだけど、こうして終わってみれば楽しかったし、いいんじゃないかな?」

「……流石だな、明久。お前のバカは筋金入りだ」

「どうして今の一言だけでバカ扱いされなきゃいけないのさ!?」

 

 流石に雄二の一言酷過ぎない!?

 

「いや、普通女装させられた上にあんな扱いまでされたら、道化もいい所だろ……あれで楽しかったとか、お前実はドMなんじゃねえの?」

「八幡までひどくない!?」

 

 うん、まぁ、ちょっとそれは思ったけれども!!

 

「とりあえず、今日の様子はカメラに収めといたから安心してねみんな」

「「「「安心出来るか!!」」」」

 

 工藤さんのまさか過ぎる一言に、僕・雄二・ムッツリーニ・八幡の四人分の叫び声が辺りに響き渡った。

 

 こうして、僕達の浴衣コンテストは終わりを告げたのであった。

 これが本当の『ミス』コンテスト……なんちゃって。

 お後がよろしいようで。

 




お後がよろしいようで(大事なことなのでry
というわけで、浴衣コンテスト回はこれにて閉幕となります。
ぶっちゃけ、八幡の様子を書いた所がピークでした……後、解説者と司会者を原作以上にはっちゃけたキャラにしたせいでカオス度がかなり増した気がします。
本編の方は、次回何を描こうか考え中です。
最近登場していないキャラを中心にするか、二学期の文化祭まで駆け抜けてしまうか……。
兎にも角にも、次回をお楽しみにしてください!
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