やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第二十問 バカと文化祭の出し物決めと生徒会長 (5)

 その夜。

 いつものようにゲームに興じていると、携帯電話が鳴りだしたことに気づく。誰からだろうと気になって手にとってみたら、

 

「あれ? いろはちゃん?」

 

 電話の相手はいろはちゃんだった。

 こんな時間にどうしたんだろう? 

 

「もしもし?」

『あ、吉井先輩! 今電話しても大丈夫ですかー?』

「大丈夫だよ。どうかしたの?」

 

 口調からしてそこまで深刻な話をするわけでもなさそうだ。何か聞きたいことでもあるのかな? 

 

『いやぁ、そろそろ文化祭シーズンじゃないですかぁ。なので、学校見学もかねて総武高校の文化祭に顔を出してみようかなぁって考えているんです』

「なるほどね!」

 

 確かに、文化祭は学校を見るにはちょうどいい機会だと思う。高校受験の際に僕も姉さんからしつこくそんなこと言われた気がするなぁ……今でもあの地獄の勉強時間を思い出す。

 

『それで、文化祭はいつ頃なのかなーって思って連絡してみたんです』

「そっか。えっとね、確か文化祭は……」

 

 僕はそこで文化祭の日程をいろはちゃんに伝える。

 するといろはちゃんは。

 

『その日なら大丈夫そうです! 私も友達連れて顔出してみますね!』

「うん! ぜひともそうしてよ! そして八幡にも挨拶していってね!」

『せんぱいに声をかけるのは当然として、案内もしてもらおうかなぁって思ってますよ! 何よりせんぱいには葉山先輩を紹介してもらわなきゃいけないですからね!』

 

 あ、そういえばいろはちゃんってば葉山君のことを追いかけているんだったっけ? 

 どう見てもいろはちゃんの興味は八幡に向いているような気がするんだけどなぁ。

 僕の気のせいかな? 

 

「そうなると、八幡にも話を通しておいたほうがいいかな?」

『あ、それは大丈夫です。せんぱいってば事前に話をしておくと逃げ出す可能性がありますので、当日拉致……とっ捕まえますから!』

 

 今完全に拉致って言ったよね? 当日に八幡を拉致する気なの? え、なにそれ怖い。けど女子中学生に拉致されるとかそんなシチュエーション思いつかないし、何よりある意味うらやましい。よし、八幡を後で糾弾しようそうしよう。

 

『ところで、吉井先輩たちのクラスは何をする予定なんですか?』

 

 話の話題は文化祭の出し物へ。

 

「中華喫茶だよ。ゴマ団子とか飲茶とか、そういった類のものをメニューとして出すんだよ。接客する人たちも、みんな中華風の服装でね」

『なんだか楽しそうですね……つまり、男子も女子もチャイナ服なのですか?』

「そうなるねー。服については今ムッツリーニ……あ、僕のクラスメイトが猛スピードで作っているみたいだよ。メニューとかは僕やほかの人たちが考えたりするみたい。結構今盛り上がっているよ」

『なるほど……葉山先輩のチャイナ服姿……見てみたいですね! せんぱいが着ると、衣装に着られている感じが出てそうで笑えちゃいますね! せんぱいに会ったらたくさん笑ってあげなきゃですね!』

 

 いろはちゃんに言われて、チャイナ服を着ている八幡を思い浮かべてみる。

 ……むちゃくちゃ不機嫌そうな顔が真っ先に浮かんでしまったのは気のせいだろう。でも八幡なら絶対笑顔で接客とか無理そうだよなぁ……。

 美波とかはチャイナドレス似合いそうだよなぁ……少し悲しいのは、姫路さんが別のクラスであるということかな。もし姫路さんがチャイナドレス着ていたら、相当破壊力がすごいことになってそうだと思うんだけど。どこがとは言わないけどね! 

 

「いろはちゃんって本当、八幡のこと楽しそうに話すよね」

『そうですか~? 結構ふつうに話していると思うんですけど?』

 

 いろはちゃん自身も、もしかしたら気づいていないのかもしれない。

 だって、葉山君のことを話すときよりも、八幡のことを話しているときのほうが生き生きしているというか、心なしか声が弾んでいるというか。

 その小さな変化に、自分でも気づいていないのかな? 

 

『第一、あのせんぱいですよ? 女の子の努力を『あざとい』の一言でバッサリと切り捨ててしまうような人は、私のほうからごめんなさいしてあげるんです! 男の人を落とすには、時々女の子から行くだけじゃダメなんですよ~。男の人から、女の子に好かれたいっておもわせなきゃいけない時だってあると思うんですよね~』

 

 うん、たぶんその戦法だと葉山君や八幡には通じないと思うんだ。

 

『……って、前までの私ならおもってたんですけどね。どうも今私が気になっている人は、そううまくもいかないかもしれないんですよね。話を聞いている感じとか、雰囲気とか。生半可な気持ちで挑めば敗北するのは間違いなし、って感じがします』

「そうなの?」

 

 あれ、そのあたりは意外と感じ取っていたんだ。

 さすがはいろはちゃんっていうべきかもしれない。

 

『吉井先輩からたくさん情報はいただいていますからね~。少なくともその話を聞く限りだと、今まで通りの私で攻めていったらなかなか振り向いてもらえないんじゃないかなっておもってます。素直に気持ちを伝えたとしても、うまいこと躱されてしまいそうな気がしますし』

「あー……ひねくれているからねぇ」

『え? 葉山先輩ってひねくれてるんですか? せんぱいならわかるんですけど』

 

 あ、つい八幡のことだとおもって聞いてしまっていた。

 

「あ、ごめんごめん。でも、葉山君もああ見えて結構素直じゃないところもありそうだからなぁ……時々何考えているのかわからなくなる時もあるし」

『そうなんですか?』

「うん。特に八幡と話しているときなんかは、何やらちょっとだけいつもと違う感じになるというか……僕と話しているときも、時々何かしら意味深な視線を向けられている気がするし」

 

 それこそまるで、何か羨ましがっているような、それとも憎んでいるような。

 なんともいえないし、うまく言葉では表現できないけれど。

 それでも、快いとはあまり思えない。

 

『なるほど……その話、今度詳しく聞かせてくださいね!』

「うん。僕がわかる範囲でよかったら、だけどね」

『それで大丈夫です! ではでは、夜も遅くなってきちゃいましたので、これで失礼します~。また文化祭でお会いしましょう! せんぱいにもよろしくで~す』

「うん、またね!」

 

 そうしていろはちゃんからの電話は切られる。

 ベッドに寝転がった僕は、改めておもった。

 

「一体どんな文化祭になるんだろうなぁ……」

 




今週の投稿についてですが、月曜日の今日が祝日ということもあり、投稿予定がバラバラになってしまうことが懸念されるため、本編の更新はお休みさせていただきます……。
その代わり、リクエスト箱にきているお題消化や、そのほか番外編の更新をしていくつもりです!
よろしくお願いします!
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