文化祭についてのアンケートにご協力ください。
「あなたが今欲しいものはなんですか?」
由比ヶ浜結衣の答え
「みんなとの楽しい時間」
教師のコメント
文化祭は是非とも色んな人と交流を深めて下さいね。
海老名姫菜の答え
「ハヤ×ハチ!!」
教師のコメント
濃密な展開は存在しません。
霧島翔子の答え
「雄二との婚姻届」
教師のコメント
文化祭関係ありませんよね?
雪ノ下さんや霧島さんが所属している国際教養科のクラスでは、執事メイド喫茶をやっているという情報を既に得ている。多分だけどムッツリーニはさっきの自由時間で写真を収めているはずだ……後できちんと買わせてもらわないとね! もちろん、演劇部の練習でドレスを着ている秀吉とかも押さえておかなきゃだよ! それにしても、メイド喫茶にチャイナ服の集団が訪れるというのもなかなかにシュールな光景だなって思えてきた……他の学校でもそうそうない光景なんじゃないかな……?
とか、色々考えていると、
「……あ? テメェは……!」
「この前の……!」
なんか、二人組の声が聞こえてきた。
何処かで久しぶりに会った人でもいるのかな?
「……ねぇ、アキ。なんかあの人達、アキのことじっと見てるみたいだけど?」
何やら美波がこっそり耳打ちしてくる。ははは、まさかそんなぁ……モヒカン坊主コンビなんて僕の知り合いにいるわけないじゃないか。きっと僕達とは無関係……。
「そこの一年坊!!」
「バカの一年坊!!」
「呼ばれてんぞ吉井」
「短い言葉だけで僕だと特定するのはやめてよ八幡!!」
バカの一年坊だけならばまだ他にも雄二とかムッツリーニの可能性だってあるじゃないか!! それに八幡も自分のことを棚に上げないでよね!?
という僕の考えとは裏腹に、モヒカンと坊主頭の人が僕達のところにズカズカと歩み寄ってくる……ん? モヒカンに坊主頭?
「あぁ! 常夏コンビ!」
「「誰が青春常夏時代だコノヤロウ!!」」
ツッコミの息もぴったりじゃないか。
思い出したと言っても、名前までは思い出せないんだよなぁ……というか、完全に常夏コンビで固定しちゃってたから、もうそれでいいかなって。
「常村に」
「夏川だ!」
「「いい加減覚えやがれ!!」」
なんかすごい怒ってる。僕何かしたかな?
「ねぇ、ヨッシー。このお笑い芸人みたいな人達はお知り合い?」
「「俺たちは別にコンビ組んでお笑いやってるわけじゃねえ!」」
由比ヶ浜さん、ナイス天然発言!
思わず僕も吹き出しちゃったよ!
「何笑ってんだゴラァ!」
「ってか、俺達はテメェに話があるんだよ!」
僕のことを指差しながら、常夏コンビが叫んでいる。僕に話?
「吉井。お前ミスターコンテストに出るんだってな?」
あれ? どうして既に僕が出ること知ってるんだろう? 確かに雄二には、僕と八幡の分の登録をしておいてって伝えているけど……。
「出場者リストか何かが何処かに載ってるんだろ。一応校内の目玉行事らしいし、別段そこまでおかしい話でもないだろう?」
「あー、確かに。誰が出てるかってちょっと知りたい気持ちも分からなくもないわ」
「ということは、私達の名前も載ってるんだ……ちょっと、照れちゃうかも」
なるほどね。
確かに僕も、ミスコンに誰が出るのか気になるからね……そういえば秀吉はミスコンにちゃんと出場するのかな? 後でしっかり確認とっておかないと。
「そのミスターコンテスト、お前が出て優勝出来るとはおもえねぇ!」
「だったら、出場してもしなくても同じだよな?」
んん?
だいぶ極端な意見が飛んできた気がするぞ?
「……ハチ。共感しようとしちゃダメよ? その人達だいぶおかしなこと言っているからね?」
「……………………うす」
美波が八幡の考えを先読みして事前に注意する。というか流石は八幡……今の意見を盾にして棄権しようとしてたね……?
「それにしても、なんで僕なの? 優勝候補なら間違いなく僕ではなくて葉山君だと思うんだけど……」
分からないのは、この人達がなぜ僕に言ってきたのか、だ。校内でも有名人である葉山君のことを知らないとは思えないし、それを差し引いても僕が優勝する可能性でもあるというのだろうか?
「お前がそもそも参加していること自体が気に食わないんだよ!!」
「だいぶ自分本位かつ身勝手な理由だね!?」
とんでもなく身勝手な理由すぎて流石に僕も驚いたよ!? ここまで理不尽な仕打ちは流石に初めてだからね!?
「ちなみに、アキに対してここまで言うってことは、貴方達もコンテストに参加するんですか?」
美波がそう尋ねる。
すると常夏コンビは、決めポーズを作りながら、
「「当然だろ?」」
と言ってきた。
「……先輩方。先ほど、優勝出来ないのなら参加しなくても同じとおっしゃってましたよね?」
「あぁ」
「確かにそう言ったな」
八幡が前に出る。
あ、この表情は何か企んでそうな顔だ……。
「なら、先輩方が参加しなくても同じではないんすか?」
「「……………………あぁ!?」」
何火に油注いじゃってるのー!?
「いや、流石に吉井相手にそこまで言うのだから、純粋に自信がないのかと思って……しかもよりによって葉山とかじゃなくて、優勝出来るとは思ってない吉井相手に妨害してきたんだろ? それなら、自分達はそれ以下だからどうぞ辞退してくださいって言ってるようなものじゃねえか? なら、この二人が参加しなくても同じなんじゃないかと思ってな」
「たしかに……ハチの言葉も一理あるわね」
「んー?」
八幡の言葉に対して、美波が何か理解したような顔をしていて、由比ヶ浜さんは頭の上にはてなマークを飛ばしまくっている。えーとつまり……。
「この二人は自信がない?」
「「上等だテメェら。あとで覚えてやがれ!?」」
常夏コンビは僕たちに対してそう捨て台詞を吐くと、そのまま何処かへ歩き去ってしまって。
「……ざっとこんなもんだろ。少なからず、吉井だけに向いていたヘイトは分散されたし、アイツらもプライド逆撫にされたわけだから、流石に正々堂々くるだろ……別にそれで勝ってくれるなら俺もすぐに帰ることが出来ていい。下手に騒がれて妨害されるほうがよほど面倒だ」
「ヒッキーってばよくそこまで頭まわるね……」
すごいな……短時間でここまでのことを考えていたなんて。僕ならオーバーヒートで頭パンクしちゃうところだよ。
「アキはそうかもしれないわね……」
なんで僕口に出してないのに美波に伝わったんだろうか?