やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

120 / 130
第二十二問 バカとノリとミスコン (3)

「それにしても、本当に貴方達が来るとは思っていなかったわ……」

「何言ってるのゆきのん! ゆきのんのメイドさん姿だよ? 見に来ないわけないじゃん!」

 

 出された物を頂きながら、僕達は雪ノ下さんと会話をしていた。

 霧島さんが配慮してくれたみたいで、雪ノ下さんはメイド姿のまま僕達のテーブルの所に椅子をくっ付けて話をしている。メイドさんが一緒にいる光景ってなんだかいいよね!?

 

「……何故かしら。今の吉井君からは邪な感情しか読み取れないわ」

「……アキ。少し自重したほうがいいわよ」

「僕ってそこまで分かりやすい!?」

 

 いや、確かにメイドさんが居るのはいいなぁとか考えていたけれども!

 そこまで伝わりやすいとは正直思ってもみなかったよ!?

 

「女性は視線に敏感らしいからな……気を付けた方がいいぞ」

「八幡は何を悟ったような目をしているのさ!?」

 

 一体八幡に何があったんだ!?

 

「私も明日は貴方達のクラスにお邪魔してみようかしら……」

「……それがいい。私も興味ある」

 

 そこにまさかの霧島さんが乱入!

 それってもしかしなくても、雄二が居るからだよね?

 

「いいよ! ゆきのんも霧島さんも、是非来てよ!」

「そうね。おもてなしは十分にするわよ。坂本のチャイナ服姿も見られるし」

「……雄二のチャイナ服。……お持ち帰りは可能?」

「「受け付けてません」」

 

 八幡と美波による華麗なるツッコミが入った。

 いや、雄二の身一つで繁盛するなら是非とも持っていってほしい所だ……というかやっぱりこの二人がディスティニーランドに行くべきじゃないだろうか。

 

「……ところで。貴方達もミスコンに参加するって聞いた」

 

 霧島さんが、由比ヶ浜さんと美波に対してそう言った。

 そうか、霧島さんも参加するんだもんね。言ってしまえばライバルという感じだろうか。

 ……それにしても、改めて考えてみれば、メイド服にチャイナドレスの女の子が参加するミスコンなんて、凄く贅沢だよね。これは是非ともムッツリーニに写真を撮ってもらわなくちゃ。

 

「えぇ。せっかくだし、思い出にもなるかなーって」

「ゆきのんも参加するの?」

「私はしないわ。何故私が見世物としてステージに立たなければならないのかしら」

「相変わらずだなお前……なんだかんだで夏祭りの時はステージ立とうとしたじゃねえか」

「あの時はそうしなければ、比企谷君をステージに立たせることが出来なかったから、仕方なくやっただけよ。そして結果的にそれは成功したわけなのだから、私の勝ちね」

「何の勝敗が決まったんだよ……いや確かに結果として女装させられたけどな」

 

 雪ノ下さんと八幡による夫婦漫才に近い何かが繰り広げられていた。

 こういう時、雪ノ下さんは本当に楽しそうに会話するよなぁ……八幡のこと好きなんじゃないかな?

 

「あの時のハチってば、本当に似合ってたわよ?」

「冗談でもそれだけはやめてくれ……」

「小町ちゃんもヒッキーのこと『まさかのお姉ちゃん!?』みたいなこと言ってたよね?」

「やめろ由比ヶ浜……あの時のことは黒歴史として封印するんだ……」

 

 正直僕としても、女装してステージに立たされたことについては封印したい。

 今回もやらされそうで困っているんだけどね!

 

「吉井もミスコンに?」

「ちょっと待って!? なんで僕がミスコンの方なのさ!?」

 

 流石にそれは予想外だよ霧島さん!?

 ていうか何故か遠くの方で久保君が顔を赤くしているのは気のせいだよね? 気のせいだって言って!

 

「アキなら確かにミスコンに居てもおかしくないわね……」

「今からでも遅くないから、ヨッシーはミスコンにしてもらう?」

「それ本気で言ってる!? それじゃあある意味本当の『ミス』コンになっちゃうからね!?」

 

 僕がミスコンに出ることそのものがミスだよ!?

 

「……吉井。そのギャグはどうかと思う」

「薄々思ってたけど寒いギャグだなって思ったよ!」

 

 八幡に冷静に返されると、なんだか一気に恥ずかしさが増してきた気分だよ!

 

「……コンテストではライバル。私も、負けない」

 

 霧島さんはいつになく本気の目をしている。

 それだけ、雄二と一緒にディスティニーランドに行きたいんだろうなぁ。

 

「そういえばディスティニーランドって、パンさんとかそう言ったマスコットが……」

「なんですって」

 

 凄い喰いついてきた。

 僕がポロっと零した言葉に、雪ノ下さんが食いついてきた。

 

「……もしかして雪ノ下」

「何を言っているのかしら? 比企谷君のそれは思い違いよ。私はただ、そんなキャラクターが居るのだということを知って驚いただけよ」

「……その割には、前パンさんグッズを」

「何を言っているのかしら? 比企谷君のそれは思い違いよ」

 

 同じことしか言わなくなった。

 雪ノ下さん、頑なに認めない気だ……。

 

「パンさんいいよねー。なんだか可愛くて私好きだなぁ」

「ウチもあのマスコットキャラクター、ゆるくていい感じだと思うわ」

「そうよね」

「「……ん?」」

 

 うん、今絶対反応したよね。

 思わず八幡とハモった位には驚いたからね?

 だから雪ノ下さん。何しれっとした表情浮かべているの? 何もなかったかのように振る舞っても流石に無理があるからね?

 

「……とりあえず、そろそろ会場移動したほうがいい」

「へ? あ、もうこんな時間なんだ!」

 

 霧島さんに言われて由比ヶ浜さんが携帯で時間を確認すると、確かにもうすぐミスコンが始まるような時間帯だった。先にミスコン、その後でミスターコンテストだから、由比ヶ浜さんや美波の出番はすぐに来るといった感じだ。

 

「えへへ。恥ずかしいけど、頑張るからさ……ヒッキー、見ててね?」

「ハチ。ウチも頑張るから……応援、よろしくね?」

「お、おう……」

 

 なにこれ。

 なんだこれ。

 何だこの甘酸っぱい空間は!?

 何故か八幡の周りだけ青春ラブコメが展開されているように見えるよ!?

 

「比企谷……意外とモテる」

「そう見えるか? 霧島。これは多分違うぞ」

 

 そして八幡。

 君は一体何処まで好意に対して鈍いんだい……?

 

 そんなわけで、ミスコンの始まりが迫っていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。