やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第二十二問 バカとノリとミスコン (4)

 午後の時間帯となり、まずはミスコンから始まることとなった文化祭。

 この文化祭における目玉企画ということもあって、色んな所から人が集まってきている。やっぱり人気企画なんだなぁってことを改めて認識させられる。でも、正直僕も楽しみであることには変わりない。何せ色んな人の可愛い所が見られるんだからね!

 

「明久よ。鼻の下が伸びておるぞ」

 

 何より、僕の隣には秀吉が……って、秀吉?

 

「どうしてここにいるのさ秀吉!? 大会はもうはじまるんだよ!? 控室に行かなくていいの!?」

「ワシは男じゃぞ!? それにそもそもどっちにもエントリーしておらんのじゃ!!」

「なんでさ!?」

 

 はじめて明かされる衝撃の真実!!

 なんで秀吉が参加していないの!?!? 秀吉のウェディングドレスコスチュームは一体どこに!?

 

「そもそもワシは参加しようと思ったら運営に困られてしまってのぅ……」

「……男だか女だか分からなくて、どっちにエントリーさせようか実行委員すら迷うのかよ」

 

 八幡がポツリとそんなことを口にしていた。

 でも、冷静に考えたらしょうがないのかもしれない。だって秀吉が出ちゃったら絶対優勝するもんね。それを未然に防ごうという実行委員からのメッセージなんだね!

 

「凄いな明久。変な解答させようものなら間違いなくトップレベルだな」

「あれ? 僕まだ何も言ってないよね?」

「大体顔で分かる」

 

 雄二が溜め息をつきながらそんなことを言って来る。

 そこまで言われる筋合いはないんだけどなぁ……。

 

「……確かに、分かりやすい」

 

 ムッツリーニはカメラの手入れをしながら呟いた。

 

「ムッツリーニ。いい写真をよろしくね」

「……任せろ。すべて収めてみせる」

 

 いつになく気合い十分。

 これはいい写真が期待できそうだね!

 と、ここで気になることが一つ出てくる。

 

「あれ? そういえば小町ちゃん達は?」

 

 こういう行事に食いつきそうな二人が、近くを見渡してみても見つからない。一体何処にいるんだろう?

 

「そういえば小町達見てないな……二人で何処か回ってんのか」

 

 八幡も若干気になる様子。

 美波が出ているということは、葉月ちゃんもその場面は見ておきたい所だろう。だからきっとここに居るのかなぁって思ってたんだけど……。

 

「……まさかな」

 

 八幡が何かに気付いたのが、ポツリとそんなことを呟いていた。

 

「ん?」

 

 僕がその先を聞こうとしたその時――。

 

『みなさま! 大変乍らくお待たせいたしました~。総武高校文化祭実行委員主催、ミス総武高コンテスト開催です』

 

 マイクを持って現れたのは、制服姿の城廻先輩!?

 ということはこのイベントは生徒会も絡んでいるってことなのか!?

 

『今年はじまったこの企画ですが、私達生徒会も協力しちゃいました~。皆さん是非とも楽しんでくださいね~』

 

 相変わらず城廻先輩はポヤポヤしていて癒し効果あるなぁ……。

 

「「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」」

 

 うるさっ!?

 何だこの熱狂的なファンは!?

 ……って思って辺りを見渡してみると。

 

「……常夏コンビだ」

 

 少し離れたところで、常夏コンビが謎に盛り上がっていた。

 

「なんだ明久? 常夏気分を味わいたいのか? センチメンタルなお年頃?」

「そういうわけじゃないよ。前に突っかかってきた先輩コンビのニックネームみたいなもの」

「常村と夏川で常夏コンビらしい……確かに頭の中が毎日常夏気分そうな二人にはちょうどいいのかもしれないな」

 

 八幡が補足してくれたけど、何気にその補足も結構失礼だよね?

 仮にも一応先輩だよ? 多分。

 

「しかし、ああしてみると何かのアイドルのおっかけみたいに見えるのぅ……」

「……相手は生徒会長」

 

 そうなんだよなぁ……まだミスコン始まってすらいないのに、二人だけあの熱狂っぷり。

 他の人達も多少なりとも引いているレベルだよ。

 

『ルールを説明します。出場者の皆さんは、一人ずつ順番にステージに立ってもらいます。服装は自由ですが、過激すぎる物についてはNGとしますのでそのつもりでお願いします。そして自己アピールをした後、こちらからいくつか質問をしますので、それにこたえてもらいます。投票の仕方につきましては、全員の審査が終わった後、会場にいる皆さんにアンケート用紙をお配りしますので、そちらに記入の上投票してもらう形を取ります』

 

 なる程……要するに僕達が予選通過者を決めるってわけだね。

 

『今日行われた予選の結果は、明日午前中に発表となります。尚、今日は特別に一般参加者枠を設けておりますが、こちらは結果には反映されませんのでご了承ください』

「一般参加枠? いつの間にそんな枠が設けられていたのか」

 

 雄二が意外そうな表情で呟いた。

 

「……審査自体は二日連続で来ることが約束されている生徒達のみ。今日特別に希望すれば壇上に上がれる仕組みになっている」

「流石ムッツリーニじゃのぅ……こういうことに関しては詳しいのじゃ」

「ムッツリの名に恥じぬ行動だな」

「!! ……(ブンブン)」

 

 いやムッツリーニ。今の君がどれだけ否定しようとも、僕達が知り得なかったことを知っている段階で詮索していたのは見え見えだからね?

 

「……何となく、嫌な予感がしてきた」

 

 八幡がそんなことを口にしている。何となくだけど、八幡が考えている可能性について少しだけ分かってきたような気がする。

 一般参加枠があるということは、もしかして……。

 

『それではこれから先につきましては、司会者を変えて場を盛り上げてもらっちゃいます~。今回司会を引き受けてくださったのは、この人です~』

 

 そう言って、城廻先輩はステージから降りる。

 代わりに壇上に上がってきたのは――。

 

『ただいまご紹介にあずかりました、戸部っしょー! 今日はミスコンでガンガン盛り上がっていくしかないっしょー!!』

 

 な ぜ 戸 部 君 な ん だ 。

 

「アイツ……戸部だよな? 何してんのアイツ」

 

 八幡まで溜め息をついている始末。

 いや、本当に彼は一体何をしているの……?

 盛り上げるという意味では最適なのかもしれないけれど……。

 

『それじゃあ早速~! ミスコンの開幕だー! っべーわ!!』

 

 何がやばいのか聞きたい所である。

 

 




更新遅れてしまい申し訳ありません。
今回は、本日と明日に本編を投稿した後、その後からは番外編週とさせていただきたいと思います……。
最近平日の予定とかが安定していないので……。

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