『それじゃあ早速行くべ! まずは一年生からいくっしょー!』
意外にもマイクパフォーマンスが上手い戸部君。誰が推薦したのかはともかく、割と場をしっかりと盛り上げている。その証拠に、ここにいる人達はわぁーわぁー叫んでいる。
「意外な才能だな。司会芸人とか向いてるんじゃねーの? アイツ」
それこそ雄二がそんなことをポツリと呟くレベルだ。でも、戸部君がテレビで司会とかやっている様子かぁ……悲しいけど、サッカーやってるよりは浮かぶ気がする。
『トップバッターはこの人! 工藤愛子さんっしょー!』
まずステージに現れたのは、制服姿の工藤さんだ。にこにこと笑顔を振りまいているのに、何故だろう……胸がドキドキする!
工藤さんはその場でくるりと回転して、スカートをわざとふわっとさせているのだ!!
スカートをふわっとさせているのだ!!
「くっ……これくらいじゃ……負けない……!!」
パシャパシャパシャ ←ムッツリーニがシャッターを切り続ける音。
鼻血をたらりと垂らしながら写真を撮り続ける君は、今一番輝いてるよ……あとでその写真買わせてもらうね!
『っべー! 俺までドキドキしてきたっしょ! この胸の高鳴りは一体何なのか!?』
もし工藤さんが他の衣装を着てきていたとしたら、僕たちは果たして正気でいられただろうか……?
そんな心配すらさせてしまう、工藤さんのえっちさ。控えめに言ってえっちだよ。えっちすぎて鼻血が止まらないレベル。
ちなみに、質問の受け答え自体は普通だったんだけど……。
「実技は好きですね♪」
「色んなことを試してみたいですね……なんて♪」
「気になります? それは……ひ、み、つ♪」
何故だろう。
全てのツボを的確に抑えてきている。さっきからもう興奮が止まらない。
「……吉井、土屋。鼻血だらだらだぞ」
「…………これしきのこと、問題ない!」
「問題あるから指摘してんだよ。まず鼻血拭けよ」
男らしくサムズアップしているムッツリーニに対して、八幡からの冷静な指摘が入った。言われてから、僕も鼻血を止める為にティッシュを詰め込んだ。ムッツリーニも、これ以上血を流したらそろそろ輸血パックが必要になりそうな予感がするので、応急処置として同じようにティッシュを詰め込んでいる。
「なんだか締まらぬ図じゃのう……」
秀吉が呆れたような顔でそう言ってきたけど、僕たちはえらく本気だ。そうしないと命の危機すら感じるからね!
『次はこの子! チャイナ服に身を包んだ島田美波さんっしょー!』
おっ、次は美波の番か!
ステージに現れた美波は、チャイナドレスから伺える脚を見せながらゆっくりと歩いてくる。工藤さんとはまた違った登場の仕方だったけど……。
「おねえさまぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
…………うん、分かってた。
「あれ、清水だよな?」
「…………熱烈な応援」
「周りの誰よりも大きな叫び声じゃのう。あの声量は見習いたい位じゃ」
「やりづらいだろうなぁ……島田」
雄二、ムッツリーニ、秀吉、八幡の順番でそれぞれが感想を溢していた。ところで秀吉だけ着眼点おかしくない?
『っべー! これはなかなかに熱烈な応援っしょ! 固定ファンがついてる島田さんまじっべーわ!』
「ち、ちがう! それは美春が勝手に……」
「そんな!? あの日美春とお姉様は永遠の愛を誓い合ったはずです!! 放課後の教室、二人きりでランデブー……」
「した覚えないわよ!? それ絶対夢の話よね!?」
暴走超特急の清水さんがアップを始めたみたいです。
「私はこんなにもお姉様を愛しているというのに……!!」
「ウチは男の子が好きなの!!」
「「「うぉおおおおおおおお!!」」」
顔を真っ赤にしながら必死に訴える様子を見て、会場にいる人たちの盛り上がりが激しくなった!
『これはっべーわ! まだなにも質問してないけど、これだけでも十分に島田さんの魅力が発揮されてるっしょ!』
「へ? あ、ちが……っ」
顔を赤くしながら両手をぶんぶんと振っている美波。
そんな彼女をムッツリーニは凄い勢いでカメラに収めていく。
「八幡? どうかしたのか? 顔を背けたりしてどうしたのじゃ」
「…………なんでもない」
お?
意外にも八幡に効果あり?
※
『さてさて気を取り直して、次もF組からのご登場! 由比ヶ浜結衣さんっしょー!』
あくまで司会に徹しているらしい戸部君は、友人だけどちゃんとさん付けで呼んでいた。意外にも任された仕事についてはしっかりとこなすタイプなのかな? 言葉は軽いけど。
とかそんな感想を抱いていると。
「…………っ!?!?」
僕らの視線は釘付けになった。
そう…………おっぱいだ。
「な、なんだかすごい視線を感じる……恥ずかしいよ……」
少し恥ずかしがりながらも、両手で胸を隠す素振りをみせる由比ヶ浜さん。だけどね、君はまだ気付いていないみたいだよ。
そうすることによって、余計におっぱいが強調されているという事実に……!
「明久よ。目がとんでもないことになっておるのじゃ……八幡もじゃぞ」
「万乳引力の法則には逆らえない」
「なにを言っておるのじゃ?」
八幡が難しい言葉を言っているけれど、何故か僕は素直に同意できそうな気がした。
思わず八幡と僕は手を取り合ったレベル。
「何を妙な所で分かり合っておるのじゃ……」
秀吉が呆れたような感じで言ってくるけど、気にしない!
『っべーわ! まじぱねぇっしょ!』
それより戸部君。ちゃんと司会して。
もう何を言っているのか分からなくなってきているよ。
『魅力を最大限に発揮しているチャイナドレス! その破壊力を存分に見せつけてくるとはまじっべーわ!』
「も、もう……そんなに言わないでよぉ……」
さ い こ う で す 。
『というわけで、ありがとうございました!』
戸部君がそう言うと、由比ヶ浜さんは全力でその場から走り去る。
正直、凄いこう、グッと来た。なんというか、えろい。
『さてさて、気を取り直して次の方へいってまいりましょうー!』
こうして、ミスコンは続いていく。
これから一体どんな子が現れてくるのか、楽しみで仕方ないね!
難産でした……。
最近本編がなかなか更新出来ない病に襲われています。
年内には文化祭編を終わらせたい所存であります……。