文化祭についてのアンケートにご協力ください。
「あなたが今欲しいものはなんですか?」
戸部翔の答え
「司会としてのやり甲斐」
教師のコメント
ミスコンでの司会頑張ってください。
土屋康太の答え
「美少女の写真」
教師のコメント
盗撮には十分気を付けてください。
清水美春の答え
「お姉様とのハネムーン!!」
教師のコメント
叶うといいですね。
はじめの内は、戸部が司会を務めているということもあって大丈夫なのかと心配になったミスコンだが、いざはじまってみると思いのほか普通に進行していて驚かされた。マイクパフォーマンスだけならば戸部は割と普通に出来るのではないだろうか。サッカー部に所属しているよりも適性あるのではないかと思わされる程だ。実際の所どうなのかはさっぱり分からんが。部活での戸部の様子とか知らんし。
「ここまで霧島さんまだ出てきてないよね?」
横に居る吉井は、わくわくしながら俺に話しかけてくる。
ミスコンのような行事は、見ている側として楽しめる奴とそうでない奴に分かれると思う。参加している側は知らんが。ただ惰性で見ているのとは違い、楽しんで見ている奴は誰が出てきたとしてもそれなりに喜んでしまう。まして知り合いがステージに立っているとくれば尚更だ。いわば普段とは違う場所から見るというだけで、それなりに見方が変わる。例えば、普段はただ隣で話しているだけの相手でも、着飾ってステージの上に立つとそれだけでいつもとは違う魅力を感じ取ることが出来る、といったような感じだ。だから決して、さっきまで舞台に立っていた島田や由比ヶ浜に対して邪な感情を抱いたりなんてしていない。あれはチャイナ服と万乳引力が悪い。そうだ。そうに決まっている。俺は悪くねぇ。
「……メイド服をおさめなければならない」
土屋が何やら決意をしている。いやまぁ、コイツはいつもこんな感じだけどな。
『さてさてお次はこの方っしょー! 国際教養科からメイド服に身を包み、この人が登場!!』
この口ぶりから察するに、恐らくは霧島なのだろう。確かJ組でミスコンに参加するのは霧島だという話を聞いたからな。坂本曰く、ディスティニーランドのチケットが欲しいから出場しているとのことだが……。
『大変お待たせいたしました!! 雪ノ下雪乃さんっしょー!!』
な ん で お ま え が で て い る ん だ 。
「……!?!?!?!?」
土屋が物凄い勢いで写真を撮っている。
木下は茫然としていて、吉井も見惚れている様子だった。
坂本は……何故か目を抑えながら悶絶していた。
「いやお前なにしてんの」
「わからねぇ……わからねぇけど、何故か突然目にダメージが……っ」
……まさかな。
いや、まさかな……ここにアイツはいない……そんなわけ、ねぇよな?
兎にも角にも、今こうして雪ノ下雪乃はステージに立っている。見世物パンダになることを嫌ってミスコンに出場しないと思っていたアイツは、パンさんにつられてまんまと引きずり出されたということなのだろうか。
確かに、メイド服に身を包み、自信満々に歩く雪ノ下の姿は様になっている。見る者を魅了する程の魅力があるといっても過言ではないだろう。だからこそ、今この場に居る誰もが言葉を失い、見入っている。
しかし……。
「雪ノ下さん……受け答えが普通なんだよなぁ」
ボソッと吉井がそんなことを漏らす。
そう。雪ノ下雪乃は完璧すぎるが故に、戸部からの質問に対する答え方が普通になってしまっている。いや、本来ならばそれだけでも十分に様になるのだが、前までの参加メンバーのせいで目立っていない。何でも完璧にこなせてしまう雪ノ下だからこそ、その違いが如実に出てしまっていた。
「俺としても、翔子に優勝されるよりは雪ノ下に優勝してもらった方がいい……そうすればディスティニーランドのチケットを翔子に取られることなく、俺は俺で回収して処分してしまえば回避出来る……」
コイツはそこまで行きたくないのだろうか。
坂本は何かを模索しているようだ。それは土屋や吉井も同様であり、何か悪だくみをしているように見えなくもない。いや、コイツらが絡まるとマジで何が起きるか分かったもんじゃない。木下が溜め息ついているレベルだ。
「……いい方法を思いついた」
「本当? ムッツリーニ。一体どんなことを?」
「……今の服装」
「なる程。スカート捲りだね」
「いやちょっと待て。どうしてお前らその会話だけでそんなに通じ合ってんの」
なんなの?
変態同士でシンパシー感じちゃってるの? というかこの短い間でスカート巡りに思い至るお前らの発想力が怖すぎるわ。一体どんな思考回路してんの?
「お主ら一体何をしようとしておるのじゃ……」
流石に木下も止めようとするレベル。
「しかし、あの鉄壁の雪ノ下のスカートをめくるとなると相当難易度が高いな。無策で挑むのは無意味だからな……」
「けど、雄二は何か思いついているんじゃないの?」
「まぁな。ここから直接やるのは当たり前だが無理だ。だから遠距離からでもどうにかなる物を使う」
そう言いながら、坂本はポケットから何かを取り出した。
「スーパーボール?」
吉井がその物体の答えを述べた。
それはスーパーボール。
「コイツを投げて……跳ねた反動を利用してスカートをめくる。どうだ?」
「なるほど! そうすればここからでもスカートを合法的にめくれるし、何よりスカートをめくるのは僕等じゃなくてスーパーボールだもんね! これなら安心だね!」
「全然安心じゃないからな? 血迷ってんのか?」
もしかしなくてもこれ、バレたら血祭りにされるの分かってる?
俺他人のフリするよ? 止められないの分かってるからな……。
「ま、これバレたら明久が殺されちまうかもしれねぇが、持ち前の図太さがあれば平気だろ」
「ちょっと待って? なんで僕がやる運びになってるのさ!?」
「……明久がスカート捲りって言った」
「誘導したのはムッツリーニでしょ!?」
それ以前に雪ノ下に勝ってもらわなくてはいけない理由もないだろうに……。
コイツらはその場の盛り上がりも相まってか、そのことに気付けていないのかもしれない。
「しゃーねぇなぁ。実行犯分からねぇように複数で投げりゃいいんだろ? それなら文句ねぇな?」
「木を隠すなら森の中、ってか?」
「流石だな比企谷。つーわけでお前も」
「やらない」
「即答かよ」
後で雪ノ下にどやされる可能性も考えたら、何もしない方がいいに決まっている。何か行動を起こして自分の身を危険に晒す必要など何処にもない。
「しゃーない。そしたら俺達三人で……せーのっ!!」
そして俺の見ている横で、スーパーボールは投げられた……。
――吉井の手から、のみ。
文化祭編が終わるまで、バカテストはアンケートに統一しようと思います。
本編更新するの久しぶりですが、分かる人には分かるネタを投下しました(原作者同じですし)。
よりによって雪ノ下さん相手に……彼らは怖い物知らずでしょうか(しろめ