以下の問いに答えなさい。
「第10項が150、第25項が390である等差数列{An}の一般項を求めよ」
雪ノ下雪乃の答え
「An=16n-10」
教師のコメント
おみごとです。最初に初項Aと交差dを、公式「An=A+(n-1)d」を利用して解くことも忘れないようにしましょう。
由比ヶ浜結衣の答え
「An=390ー150」
教師のコメント
答えようとした努力は認めますが、それではただの引き算です。公式に当てはめてしっかりと答えられるようにしましょう。
吉井明久の答え
「An=あえぎ声」
教師のコメント
数学でもなんでもありません。これじゃあただの喘ぎ声です。
第一問 こうして、高校生活が始まる。(1)
四月も下旬に差し掛かり、世間ではもうすぐ大型連休が迫っていて何処か浮き足立っている学生が多い中、俺は一人陰鬱とした気持ちで学校までの道のりを自転車で走っていた。驚くべきことに、今日が俺の初登校日だ。
入学式があった日、犬を助けたことによって交通事故に遭遇した。そのせいで三週間の入院を余儀なくされ、つい先日退院したばかり。お陰様で高校生活は出遅れてしまい、ぼっちスタートが確定した。別にそれで構いやしない。むしろ充実したぼっちライフを送ることが出来ることに楽しみすら覚えている。
青春とは嘘であり、悪であり、常に欺瞞で満ちている。群れを成すことによって自身の立場を気にして、安心感を得ようとする。その為に自分の身を削るくらいならば、最初から一人でいた方が気が楽だし、何よりぼっち最高。そんなわけで俺は、高校生活が始まって二度目となる制服に身を通し、普段から腐っていると評判の目をより一層腐らせながら、学校に到着した。
「はぁ……」
辿り着いた途端に襲いかかったのは気怠さだった。思わず溜息すら零してしまった程だ。実際何度か学校へ行く道のりで帰ろうかと思った程だ。正直面倒臭い。家で読書したりアニメ見たりしている方がずっといいとさえ考えている。 早い所家に帰りたい。引きこもり最高。
などと現実逃避してても始まらないので、駐輪場に自転車を置き、重い身体を引きずって職員室に向かう。未だにここが学び舎となる実感の湧かないまま、目的地まで辿り着いた。
ノックをして、
「失礼します」
と言葉をかけた後で、扉をゆっくりと開けた。
「おお、比企谷だな。待ってたぞ」
そこに立っていたのは、屈強な大男だった。
え、まじで先生なのん? 実は学校に来た謎の大男だったりしないよな?
「何をボサッと立っている……中に入りなさい」
その男は呆れた表情を浮かべながら、中に入るように促してくる。どうやら教師であることに違いはないようだ。言われるがままに俺は職員室の中に入り、男性教師のところまで歩いていく。俺が目の前まで辿り着いたところで、
「担任の西村だ。今後ともよろしく頼むぞ、比企谷」
「よろしくお願いします、西村先生」
どうやら今度から俺の担任となる先生だったようだ。西村先生は俺の目をじっと見ると、
「災難だったな……まぁ、新しく学校生活が始まると思って、勉学に励んでくれ」
一応の慰めの言葉をかけてくれた。
多分、この先生は悪い人ではないのだろう。ただ、なんとなく見た目で損しているような気がしなくもない。だって怖いもの。どう見ても屈強な大男にしか見えねぇもん。トライアスロンでもしてるのかと本気で思うわ。
「分かりました」
とりあえず俺は当たり障りのない返事をする。それを確認した西村先生が、
「もうすぐHRの時間だ。教室の場所も分からないだろうし、着いてきてくれ」
「はい」
西村先生に言われた通り、俺は後ろをついていく。HRが始まる前で廊下は既に静かとなっている。
筈なのだが。
「雄二!! 今日という今日は決着をつけよう」
「ふん。どうせ明久のことだ。毎回俺に勝てなくて泣きべそかく未来が待ってんじゃねえのか?」
「それはどうかな? 今までの僕は本気を出していなかっただけだよ。今日こそ僕の本気を見せてあげるよ」
「何……お前、まさか……」
「そう、その通り。実は僕……左利きなんだ」
「早く教室入れバカ共が!!」
何を巡って戦っていたのかは知らないが、西村先生の雷が落ちた瞬間だった。
というか、HR前に何を騒いでたんだアイツらは……。
「げ、鉄人!」
雄二、と呼ばれた男子生徒が、西村先生を見るなりそんな反応を取っていた。いや、なんで鉄人なんだ? 実は28号だったりする?
「止めないでください、鉄人。僕達は今、昼御飯を賭けた運命の戦いに身を投じてるんです」
「その前に勉強に命を懸けろ。そうでもないと吉井の馬鹿は治らんぞ」
「そんな! 勉強に命を賭けたら死んじゃうじゃないですか!!」
「安心しろ吉井。人間、勉強するだけで死ぬことなんて早々ない」
最もな言葉だった。
確かに、勉強のやりすぎで死んだ例など聞いたことがない。風の噂によると、勉強し過ぎたことにより鼻血が出たことがあるらしいが、そんなの誇張に過ぎないだろう。
「ところで、そこに居るのは誰っすか?」
どうやら雄二とか言う男子生徒は、俺のことを見て言っているらしい。確かに今まで見たことのない生徒がいるとなれば、気にするなという方が難しいだろう。実際逆の立場だとしたら、そんなに気にしないな。どうせ自分には関係のない話だろう。なんだか言ってて虚しくなってきた。
「お前らのクラスメイトだ。紹介するから早く教室に入れ」
「えぇ!? 転校生ですか!?」
吉井が驚いたような声をあげる。西村先生が『吉井』と呼んでたし、恐らく合っているだろう。しかしなんというか……物凄くバカっぽい。頭が悪いとかではなく、『バカ』なんだと思う。
ただ、転校生というのとはちょっと事情が違う。実質同じようなものだが。
「あー……まぁその辺りもまとめて説明する。ほら、とっとと入れ。吉井も坂本も、補習の時間が伸びてもいいのか?」
と、半ば脅しのように西村先生が言った瞬間、吉井と坂本は素早く教室へと入っていった。どんだけこの先生の補習受けたくねぇんだよ……。
「そういうわけだ。比企谷、俺の後に続いてお前も教室に入れ」
「……うす」
西村先生が入った後、俺もその後をついていく形で教室に入った。
当作品は、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』と『バカとテストと召喚獣』のクロスオーバー作品となっています。
略称、『バカガイル』です。
原作ネタを盛り込みつつ、オリジナルストーリーを展開していきたいと思います。
尚、八幡や明久達が高校一年生の段階からのスタートです。