やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第二十四問 バカと騒ぎとミスターコンテスト (3)

 現在、ミスターコンテストは葉山君がサッカー部のユニフォームを着てリフティングをするアピールをしている。しかも顔色一つ変えずににこにこと笑顔を振りまきつつ、

 

「サッカー部と一年F組の出し物に是非お越しください!」

 

 というさり気ないアピールまでして見せていた。これがイケメンのオーラってやつか……! 観客の反応はかなりよく、中には目からハートを飛ばしまくっている人まで現れている。葉山君、恐ろしい人……! 

 ちなみに、ミスターコンテストは学年とか関係なく、割とランダムで順番が選ばれているらしい。さっき三年生の人がアピールしたと思ったら、次は一年生である葉山君だったのがその例だ。

 

『続きましてステージに立つのはこの人っしょ!』

 

 司会役は昨日に引き続いて戸部君だ。マイクパフォーマンスが気に入ったのか、とても楽しそうに司会をしている。あれ? 確かサッカー部だったよね……? というか彼は誰に頼まれて司会してるんだろう? 

 

「……っす」

 

 って、そうこうしている内にステージに現れたのは、チャイナ服に身を包んで、秀吉プロデュースによって伊達眼鏡込みのメイクが済まされた八幡じゃん! 

 なんか物凄い面倒臭そうに対応しているのは気のせいではないのだろう。だけど、周りから聞こえてくる声としては、

 

「あんなやつうちにいたか?」

「クールで一匹狼って感じがする……」

「チャイナ服に伊達眼鏡ですか。興味深いですね」

「八幡……貴様……我に見せていたのは仮の姿だというのか……複数の顔を持ち合わせているとは……まさか……!?」

「はや×はちください!!」

「こんな所で出すなし! 擬態しろって言ってるし!」

 

 こんな感じ。

 なんか最後三人ほど聞き覚えのある声が飛んできた気がしたけど、一先ず置いておこう。特に聞いてはいけない呪文のようなものも聞こえてきたことだし……。

 ちなみに、秀吉は今回のコンテストには参加していない。確かに秀吉はミスターコンテストには参加出来ないよね! それだけに昨日のミスコンには期待していたのに、結局出られなかったというのはかなり悲しい……。ムッツリーニと一緒に血の涙を流したのが記憶に新しい。

 ……と、話が逸れてしまった。全く、秀吉の可愛さと言ったら恐ろしいよね。とにかく今はあの常夏コンビだ。八幡からのヒントを頼りに何とかそれらしき答えは見つかったけど、これをやるには僕一人じゃ出来ない。誰かに協力してもらわなければ……。

 

「よぅ、明久。なんか妙に顔がかてぇな。柄にもなく緊張してんのか?」

 

 そこに現れたのは、八幡と同じくチャイナ服に身を包んでいる雄二だった。

 そうだ。雄二ならもしかしたら僕がこれからやろうとしていることに協力してくれるかもしれない。正直八幡にお願いしようかと思ったんだけど、生憎八幡は八幡でやることがあるらしくて断られてしまっている。その点、雄二は他の誰かに優勝してもらいたいと思っているから、その為だったら色々やろうとするはず。

 

「ん? つかお前は制服なのな」

 

 そう。

 僕は今制服を着ている。どのみちこのあと着替える必要があるから、今のところはこのままでいい。さて、後は雄二に依頼すればいいだけの話。そして常夏コンビを見返すんだ!

 

「雄二。頼みがあるんだ」

「……なんだよ」

 

 雄二の表情が真剣なものに変わる。僕の話をしっかりと聞いてくれるようだ。ふざけないでいてくれてとても助かる。今から僕は、雄二に対して相当勇気のいるお願いをしなくてはいけないからだ。

 覚悟は決まった。後は決行するだけ。

 さぁ、雄二。良い返答を期待しているからね。

 

「ミスターコンテストで……僕に告白して欲しいんだ」

 

 ブゥン!! ← 雄二が思い切りぶん殴って風を切った音。

 ズザァアアアアアア!! ← 僕が思い切り滑って避けた音。

 ガシィッ!! ← 雄二が思い切り僕の胸倉をつかんだ音。

 

「何考えてんだテメェは!? 俺を人生の墓場へと送るつもりか!?」

「そうじゃないよ!? これは必要なことなんだ!!」

「どういう状況で、男が男に公開告白する状況が必要になってくるんだよ!? テメェの頭に蛆でも湧いてんじゃねえのか?!」

「違うってば! これにはわけがあるんだよ!!」

 

 しまった!

 肝心の目的を話していなかったせいで、雄二に完全に誤解されてしまっている!!

 何とか誤解を解かなくては、僕が変態のままになってしまう!

 

「常夏コンビを見返さなきゃいけないんだよ!」

「それがどうして告白に繋がるんだよ!? 奴ら見返す前に俺が振り向けなくなるだろ!?」

 

 確かに。

 

「……順を追って説明するよ」

 

 僕は、今朝あったことを含めて、ここまでの経緯を説明する。

 その間、雄二は口を挟むことなく聞いてくれた。正直言ってそれはかなりありがたいことだった。

 そして雄二の答えはというと、

 

「なるほどな。要は奴らに赤っ恥かかせることで見返してやろうってことか」

「僕のせいで姫路さんを泣かせたんだ。せめて僕の手でアイツらに仕返ししてやりたい。だけど、僕一人の力じゃどうすることも出来ない……だから雄二にお願いしているんだ」

「……まぁ、思う所がないわけではない。アイツら、店に来て評判下げるようなことを言ってきやがるからイライラしていた所だ」

「そうなの?」

 

 それは知らなかった……僕がシフト入っていなかった時間帯に、わざわざ僕等の教室に来てたのか。近づかなければいいのに……。

 

「そういうことなら乗るぜ。それに、比企谷の言葉でそこまで導けたってんなら、やってみる価値はあるだろうしな」

「ありがとう……」

「そういうことなら準備が居るな。奴にも連絡しとく」

「奴?」

 

 雄二は不敵な笑みを浮かべながら、こう言った。

 

「どうせなら祭りを盛り上げようぜ。せっかくだから、テメェの経験活かして、思い切りやってやろうじゃねえか。その為にも、協力者がいる……明久、お前を完全に変装させる為のな」

 

 

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