やはりバカ達の青春ラブコメはまちがっている。   作:風並将吾

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第三問 【英語】
以下の問いに答えなさい。
「『The American West of the 19th century has been a favorite subject on which to build modern myths.』という英文を訳しなさい。

姫路瑞希の答え
「19世紀の西アメリカは近代の神話を作るのにかっこうな主題でした」

教師のコメント
正解です。並び替え等の問題で出されたときに『on which』をつなげられるかどうかもポイントです。

土屋康太の答え
「19番目のアメリカ人のウエストはモダンな私のフェーバリットなサブジェクトでした」

教師のコメント
せめて文章の構成を考えて書いてください。

戸部翔の答え
「19センチュリーのアメリカンウエストはマイスをモダンなフェーバリットでした」

教師のコメント
ほとんど英語そのままじゃないですか。



第三問 そして、彼らは少女と出会う。(1)

 世間は大型連休を前にして心が躍っていることだろう。教室においても何人もの学生達が予定について話し合っているのが聞こえてくる。ディスティニーランド行こうだの、ららぽで買い物しに行くだの、家でゲーム三昧だの。ん、最後の奴気が合いそうだな。

 とにかく、周りが大いにはしゃいでいる中、俺はというと気分が落ち込んでいく一方だった。

 理由は明確で、昨日平塚先生より突然の呼び出しを喰らい、本日の放課後に職員室へ行かなければならないからだ。しかも何故か吉井と共に。

 あぁ、早く帰って小町に癒されたいと思ったのに……やっぱり現実は糞ゲーだ。

 

「どうしたの? 比企谷。なんか元気ない?」

 

 隣の席である島田は、今も尚相変わらず話しかけてくる。

 あの時、島田が俺に対して『友達になりたい』と言ってきたのは、単に自分が助かったことによる一時的な物だと思っていた。だからこそ俺は、あの日関係をリセットしようと思った。勘違いを正そうと思ったからだ。

 しかし、それでも尚島田は俺に話しかけてくる。

 ぼっちの俺は、それだけで勘違いしそうになるが――理性がそれを抑え込む。

 やめろ、勘違いしてはいけない。比企谷八幡は孤高な存在だろう?

 よし、大丈夫だ。今日も落ち着いて生きていける。

 

「平塚先生から呼び出し喰らったんだ……吉井と一緒に」

「珍しいじゃない。吉井はともかく、比企谷も……?」

 

 最近、島田は日本語を猛勉強しているらしく、以前よりも流暢に話すことが出来るようになっていた。

 その為なのか、時々俺も島田の勉強を見る機会が出来ている。これは友達だからとかではない。頼まれたことは基本的に断らないのが流儀だ。本当なら仕事なんてしたくないのだが、依頼とあっては仕方ない。中途半端で放り投げるよりはマシだ。

 

「このまま社会に出ると大変なことになるから、奉仕活動しろとのことだ」

「……ごめん、ちょっと納得しちゃったかも」

「おいちょっと?」

 

 思わず声が漏れてしまった。

 まさか島田にも納得されるとは思っていなかっただけに、予想外だった。

 

「まぁそういうわけだ。ほれ、HR始まるみたいだぞ」

「ほら席に着け!」

 

 教室の扉が開かれて、そこから西村先生の声が聞こえてくる。

 教卓まで歩いてきたと思ったら、机の上に何故か大きな袋を置いた。中身は空っぽのようで、ぽさっという音が聞こえてきたような気がした。

 そして、一言。

 

「突然だが、抜き打ち荷物検査を始める!」

 

 なる程、あれは荷物検査して取り上げた物を入れる為の袋だったのか。

 西村先生の言葉を聞いて、他の生徒達はざわざわと騒ぎ出す。

 

「静かにしろ!」

 

 それを、西村先生の怒鳴り声が抑え込んだ。

 効果抜群かよ。

 

「順番に見て回るから全員鞄を開いて机の上に置け!」

 

 それを聞いて、机の上に鞄を置く教室中の人々。

 俺もそれに倣って机の上に置いた。別に見られて困るような物は入っていない。ラノベ位は別に問題ない筈だ。

 大体はそれで終わっているようだ。中には鞄の中に漫画とかが入っていて没収されている生徒もいるが、そんなに多くはない。

 

「坂本。お前はズボンのポケットの中身も出せ」

「くっ……」

 

 西村先生は坂本相手に、ズボンのポケットの中まで検めさせた。

 悔しそうに坂本がズボンのポケットに手を突っ込むと、そこから出てきたのはウォークマンだった。

 流石……生徒の動きを読んでいらっしゃる。

 

「っべー……まじっべーわ……」

 

 どこかからそんな、感心しているんだかバカにしてるんだかよくわからない呟きが聞こえてきた。

 っべー、まじ意味伝わってこなくてっべーわ……やめとこ。

 そうこうしている内に、西村先生は吉井の前に立ち、

 

「お前は制服を着替えてジャージになれ」

 

 よりによって全然信じていないアピールをしてきたのだった。

 

「ちょっと! なんで僕だけ着替えなきゃいけないんですか!?」

 

 これには流石の吉井もご立腹のようだ。

 机を叩き、勢いよく立ち上がった所で。

 カツン、と何かが床に落ちた音が響いた。

 

「おい明久。ヴィータ落としたぞ」

「あ、ありがとう雄二……少しは僕を信じてくれてもいいじゃないですか!」

「お前はジャージすら着るな……」

 

 いや、吉井。

 今の状態で何を信じろと言うんだ。

 当然、落としたゲーム機は没収。その他にも漫画本を数冊没収された模様。

 アイツ学校に何しに来てるんだよ……。

 

「これらの物については連休明けの帰りのHRまで預かることにする。勉学に関係ないものを持ち込むなど、本来ならば違反行為としてそのまま返さないこともあるからな。次から気を付けること!!」

 

 吉井と坂本の二人は明らかに悔しがっている。もう崩れ落ちていると言っても過言ではないな。

 ちなみに、土屋の持っているカメラは見逃されていた。あれは勉学に関係ない物ではないのか……?

 隣に居る島田についても、特に何も取り上げられていないようだ。

 いや、普通なら取り上げられることの方が珍しいのだが。

 

「それと、吉井と比企谷の二人は放課後平塚先生からの呼び出しがある。忘れるんじゃないぞ」

 

 くっそ。

 西村先生にもしっかりと伝えてたか……これで逃げ道は完全に防がれたというわけか。

 忘れてましたすみません、という作戦が通じなくなった瞬間である。

 

 




まさかの……UA数17000突破……っ
連載初めて一週間ちょっとですが、まさかここまで反響があるとは……。
これからも頑張っていきます!!
俺ガイルキャラも、バカテスキャラも、まだまだたくさん出てきますよ!

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