以下の問いに答えなさい。
「江戸幕府八代将軍徳川吉宗が、法に基づく合理的な政治を進める為に整備した書物の名を答えなさい」
姫路瑞希の答え
「公事方御定書」
教師のコメント
正解です。吉宗は他にも上げ米の制や相対済まし令を出すなどの政策をとっています。また、彼の行った改革のことを享保の改革とも呼びます。
戸部翔の答え
「六法全書」
教師のコメント
吉宗は何世紀生きているのですか?
吉井明久の答え
「ルールブック」
教師のコメント
それは反則でしょう。
GW四日目。奉仕部の活動ということでキャンプに行くことになった僕は、千葉駅に来ていた。平塚先生の話ではここが集合場所として指定されていたからだ。
どうやら一番最初に僕が到着したみたいだ。八幡達はまだ来ていそうにない。
「よぅ、明久」
そんな時だった。
背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。僕はその人物を確認する為に振り向くと、そこにいたのは。
「雄二!?」
大きな旅行カバンから伸びた紐を肩にかけている雄二だった。
「ワシらもおるぞ!」
「秀吉にムッツリーニまで!?」
雄二の後についてくるように、秀吉とムッツリーニもやってきた。二人とも、雄二と同じように大きな荷物を持っている。ムッツリーニはリュックサック、秀吉はキャリーケースを引っ張っていた。
三人がこうして同じように旅行カバンを持っているということは、まさか……!
「貴様ぁ! 僕のいない間に秀吉とランデブーだなんて許さないぞ!」
「おいなんでそういう解釈になるんだ」
雄二が呆れながら言ってきた。他の二人も『何考えてるんだコイツ』と目で言っている。そうじゃないとすれば一体どういうことなんだろうか。
「……平塚先生と西村先生に誘われた」
「俺に至ってはほぼほぼ脅しみてぇな感じだったけどな……」
「ワシらもボランティアに参加することになったのじゃ」
そういうことだったのか!
雄二やムッツリーニはともかくとして、秀吉とお泊まり出来るなんて夢みたいだ!
「一緒にいい思い出、作ろうね! 秀吉!」
「なんか明久の目がおかしいのじゃが……」
なんで秀吉は引いているのさ!
こんなにも目を輝かせているというのに!
「何やってるのよ、アキ……」
溜息をつきながら歩いてきたのは、島田さん……ううん、美波だった。その横には葉月ちゃんもいる!
「バカなお兄ちゃんですーっ!」
「葉月ちゃん! 美波!」
美波とはだいぶ仲良くなったこともあって、お互いに名前で呼ぶ感じになっていた。やっぱりこうしてみると親友って感じがしていいよね。それにしても葉月ちゃんまで来ても良かったのかな?
「葉月については平塚先生に確認とったから問題ないわ」
「あれ? 僕口に出してたっけ?」
「アキの考えくらい何となく想像つくわよ……」
呆れながら美波に言われる。
そんなに僕の考えは読みやすいのだろうか。
と、抱きついてきた葉月ちゃんの頭を撫でていると、何やら美波が辺りを気にしている様子。
「どうかしたの?」
「比企谷ならまだ来てねぇぞ、島田」
「べ、別に! ウチはハチを探してたわけじゃ……」
「「「「ハチ?」」」」
僕達の声がハモった。
ハチって、忠犬ハチ公?
いつの間に美波は犬を飼い始めたの?
「おい、明久がどんどんバカな発想してんぞ」
「…………とてもユニーク」
「恐らく、ハチとは八幡のニックネームのことだと思うのじゃが……」
あーっ! なるほどね!
比企谷八幡だから、ハチか!
ヒッキーといい、ハチといい、いろんなニックネーム付けられるなぁ……。
ちなみに、ぽろっとこぼしてしまった美波は顔を赤くしている。怒らせちゃったかな?
「やっはろー!」
そんな中、次に合流してきたのは由比ヶ浜さんだった。相変わらず元気な声だなぁ。その後ろからは雪ノ下さんがついてきている。
「やっはろー! 由比ヶ浜さん!」
「やっはろー! ヨッシー!」
「「ぷっ!」」
ちょっと待って。
ニックネーム呼ばれただけで雄二とムッツリーニに笑われるのは心外だ。
「わ、わりぃわりぃ。聞き慣れないアダ名だったもんでな……でっていう」
「…………乗り捨てられる」
「絶対わざとだよね!? わざと言ってるよね!?」
この二人は本当ネタに対して謎の全力出してくるね! 雄二は僕を貶すことと陥れることなら全力を注ぐのではないだろうか!? そっちがその気なら僕だって考えがあるからね!?
「全く……騒がしいわね」
「お前が雪ノ下雪乃か?」
いつの間にか雄二が雪ノ下さんに話しかけていた。そういえばこの二人って初対面だったね……時にムッツリーニ。何で君はこっそりと雪ノ下さんと由比ヶ浜さん、そして美波の写真を撮りまくっているんだい? あとで良い値で買うよ? 秀吉も撮って欲しいな。
「そうだけど……」
「俺は坂本雄二だ。今日はよろしくな」
「そう……貴方が……」
何やら雪ノ下さんがポツリと零した気がした。
「霧島さんは後で合流するそうよ。せっかくだから後で話すと良いのではないかしら?」
「……もう知ってる。お前ら、仲が良かったのな」
霧島さんも来るの!?
何だか本当に大勢来るなぁ……。
そして雄二は、霧島さんの名前が出た時に少し複雑そうな表情を浮かべた。何だろう、この二人ってやっぱり何かあるのかな?
「同じクラスだから話くらいはするわ。けど、生憎友人とは言い難いかもしれないわね……」
「私はゆきのんの友達だからね!」
そう言いながら由比ヶ浜さんが雪ノ下さんに抱きついていた。何だこの百合百合空間は!? それに、豊満な胸が! 雪ノ下さんに! 吸い付いている!!
「……っ!!」
流石はムッツリーニ!
君の反応速度はやはり世界一だよ!!
「何やら浮かない表情じゃが、どうしたのじゃ?」
その横では秀吉が心配そうに雄二に話しかけていた。雄二は『何でもない』とだけ言ってその場から一度離れる。うーん、このキャンプ中に何か分かるのかな?
「遅れてごめん!」
その後にやってきたのは、息を切らしながら駆け寄ってくる彩加だった。なんてことだ! 今日は二大天使が揃ったではないか!
「あ、やっはろー! 彩ちゃん!」
「やっはろー! 由比ヶ浜さん!」
なんだこれ、すごく可愛いぞ。
くっ……でも僕には秀吉が……っ!
「何を葛藤しておるのじゃ……」
「止めないでくれ秀吉……今僕は愛を試されているんだ……っ!」
「そんなに歯を食いしばる程のものなのか!? 一体何を悩んでおるのじゃ!?」
「……相変わらずのバカっぷりみたいね。課題の方は進んでいるのかしら……?」
最後に雪ノ下さんからのキツイ一言が降り注いできたけど、今の僕は愛の戦士だから問題ない!
ちなみに雪ノ下さんの課題は進めている。やらないと後が怖いし……。
「……なんでこんなにいるんだ?」
最後にやってきたのは、目を存分に腐らせている八幡だった。その横には見知らぬ女の子がいる。まさか……っ!
「八幡! 歯を食いしばれぇ!!」
僕の拳が真っ赤に燃える!!
「いやなんでだよ!? 前に言っただろ? こいつはその妹だ」
「どもー! 愚兄がいつもお世話になっております。比企谷小町です! 今日はよろしくお願いします!」
あ、妹だったんだ。
良かった……僕はてっきり八幡に彼女が出来たのかと思ったよ。危うくFFF団に通報しなきゃいけないかと思った。
「ハチ!」
「ヒッキー! やっはろー!」
八幡を見つけると、美波と由比ヶ浜さんの二人が駆け寄っていく。雪ノ下さんも後からゆっくりとついてきた。
「小町ちゃん……だよね? 私は由比ヶ浜結衣だよ! ヒッキーのクラスメイトなんだ! よろしくね?」
「ウチは島田美波。こっちは妹の葉月。同じくハチのクラスメイトよ。よろしく!」
「よろしくですー!」
由比ヶ浜さんと美波が自己紹介をする。
そんな中で葉月ちゃんは八幡に抱きついていた。そして最後に雪ノ下さんの番なのだが。
「私は雪ノ下雪乃。彼は……クラスメイト……でもないし、友達……でもないわね……誠に遺憾ながら彼が所属している部活の部長を務めているわ」
「誠に遺憾ながら俺もそんな部長の元で部員やらせて貰ってるんですがね……」
「あら、光栄に思いなさい? 貴方のような人がこうして美少女と会話出来る機会なんてそうそうないことかもしれないのだから」
「相変わらず絶好調だな雪ノ下……」
八幡がポツリと零していた。
そんな様子を見ていた小町ちゃんが、目をパチクリとさせながら、
「え、これは一体どういうこと? いつの間にこんなに義姉ちゃん候補が……? それに小町の妹としてのポジションも危ぶまれている……? お兄ちゃんこれは一体何があったの!? 高校生デビューしちゃってるよ!? 小町びっくりだよ!? 感動のあまり涙が流れまくりだよ!」
「落ち着け小町」
八幡はそう言うと、小町ちゃんの頭を軽く叩いて、そのままわしゃわしゃと撫で回す。きゃーって言いながらも、小町ちゃんはあまり抵抗していない。
そんな様子を、由比ヶ浜さんや美波、そして葉月ちゃんは羨ましそうに見ていた。
「…………悔しい」
「同感だよ、ムッツリーニ……やはりFFF団を呼ぶべきかな……」
「何を言っておるのじゃ!?」
それから数分後。
「全員集まっているな?」
「これから移動するから乗り込め!」
車を運転しながらやってきた、平塚先生と……鉄人だった。
鉄人まで来るなんて聞いてないよ!?
ついにやってきました林間学校編!
今回のエピソードより、バカテス側からは霧島さんが登場します!
俺ガイル側からは葉山グループの本格参戦です!
あ、バカテスキャラ、もう少し登場します。